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反逆
か弱い乙女(仮)
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サンクレアと戦争を始め、首都を陥落されたユーライ国の王家と国軍の一部は、追撃してくるサンクレアの征討部隊から逃れつつ、反撃の機会を伺っていた。
とある大森林に逃げ込み姿を眩ませていたが、この日、ついに見つかることになった。
「うふふ・・・見つけましたわぁ」
自分の身長以上の長さと、太ももほどはある図太さを持つ大剣を持つサンクレアの聖騎士クリスは恍惚な表情でそう言った。
クリスの見つめる先は逃亡しているユーライ国国王と、その近衛兵達だ。
「くっ・・・どうしてここが・・・」
国王達は大森林の中で軍が警護しているエリアの遥か後方でひっそりと暮らしていた。
追撃がくれば前方で展開されている軍が時間を稼いでいる間に、逃亡できるようにするためである。
だが、クリスはその軍を迂回してドンピシャで国王達を探し当てていた。軍には見つかっていない。
「ふふっ、ワタクシ・・・殿方に言うことを聞かせることは得意ですの」
妖艶な顔でそう言って見つめてくるクリスに、国王は恐怖で身が引き締まった。
クリスの後ろにいる聖女アルマは無表情で控えている。
「ワタクシ、魅了の魔眼というスキルを持っていますの。これを使えば、どんな殿方だってワタクシの言う通りになりますわ。軍に知られないルートを教えてくれたり、守らねばならぬはずの自国の国王の元に案内してくれたり、本当、ただの傀儡に成り果てますのよ?・・・ま、このスキルの効かない例外もいましたけどね」
国王はハッとして目を瞑る。
クリスの目を見てはいけないと、彼女の言葉から判断したのだ。
「アッハハ!ご心配なく。別にこの力を使うつもりはありませんわ。貴方を今更言う事聞かせたところで何も良いことはありませんから」
クリスがそう言って笑った次の瞬間、木々の間から数人の近衛騎士が飛び出した。
「死ね!悪魔め!!」
皆が一斉に剣を振りかざし、クリスに振り下ろす。
「あら酷い」
だがクリスに斬りかかった近衛騎士達は、その剣を振り落とすことなく一瞬にして胴体が真っ二つになり地面に身を落とした。
クリスは自分の持つ大剣で円を描くように綺麗に一回転して一閃し、近衛騎士のそれよりも速く彼ら全員を一刀で切り裂いたのだ。体に見合わぬほどに巨大な大剣を、クリスはまるで苦にせずに自在に操っていた。
この大剣がクリス・ラミアスの大剣である。
「もう、か弱い乙女に対して悪魔だなんて酷いことを言うから、神罰が下ったんですのよ?」
わざとらしくいじけるような仕草をするクリスを、国王は恐怖で引きつった表情で見ていた。
「あ・・・ああ・・・」
「では、そろそろ終わりにしましょうか」
恐怖に怯える国王によく見えるように、クリスは大剣を頭上高く掲げた。
もう終わりだ、国王は目を瞑って自らの死を覚悟した。
その時であった。
「だぁれがか弱い乙女だ。お前のようなか弱い乙女がいるか。鏡を見ろ鏡を」
目を瞑る国王の耳に、聞き慣れぬ男の声が入った。
とある大森林に逃げ込み姿を眩ませていたが、この日、ついに見つかることになった。
「うふふ・・・見つけましたわぁ」
自分の身長以上の長さと、太ももほどはある図太さを持つ大剣を持つサンクレアの聖騎士クリスは恍惚な表情でそう言った。
クリスの見つめる先は逃亡しているユーライ国国王と、その近衛兵達だ。
「くっ・・・どうしてここが・・・」
国王達は大森林の中で軍が警護しているエリアの遥か後方でひっそりと暮らしていた。
追撃がくれば前方で展開されている軍が時間を稼いでいる間に、逃亡できるようにするためである。
だが、クリスはその軍を迂回してドンピシャで国王達を探し当てていた。軍には見つかっていない。
「ふふっ、ワタクシ・・・殿方に言うことを聞かせることは得意ですの」
妖艶な顔でそう言って見つめてくるクリスに、国王は恐怖で身が引き締まった。
クリスの後ろにいる聖女アルマは無表情で控えている。
「ワタクシ、魅了の魔眼というスキルを持っていますの。これを使えば、どんな殿方だってワタクシの言う通りになりますわ。軍に知られないルートを教えてくれたり、守らねばならぬはずの自国の国王の元に案内してくれたり、本当、ただの傀儡に成り果てますのよ?・・・ま、このスキルの効かない例外もいましたけどね」
国王はハッとして目を瞑る。
クリスの目を見てはいけないと、彼女の言葉から判断したのだ。
「アッハハ!ご心配なく。別にこの力を使うつもりはありませんわ。貴方を今更言う事聞かせたところで何も良いことはありませんから」
クリスがそう言って笑った次の瞬間、木々の間から数人の近衛騎士が飛び出した。
「死ね!悪魔め!!」
皆が一斉に剣を振りかざし、クリスに振り下ろす。
「あら酷い」
だがクリスに斬りかかった近衛騎士達は、その剣を振り落とすことなく一瞬にして胴体が真っ二つになり地面に身を落とした。
クリスは自分の持つ大剣で円を描くように綺麗に一回転して一閃し、近衛騎士のそれよりも速く彼ら全員を一刀で切り裂いたのだ。体に見合わぬほどに巨大な大剣を、クリスはまるで苦にせずに自在に操っていた。
この大剣がクリス・ラミアスの大剣である。
「もう、か弱い乙女に対して悪魔だなんて酷いことを言うから、神罰が下ったんですのよ?」
わざとらしくいじけるような仕草をするクリスを、国王は恐怖で引きつった表情で見ていた。
「あ・・・ああ・・・」
「では、そろそろ終わりにしましょうか」
恐怖に怯える国王によく見えるように、クリスは大剣を頭上高く掲げた。
もう終わりだ、国王は目を瞑って自らの死を覚悟した。
その時であった。
「だぁれがか弱い乙女だ。お前のようなか弱い乙女がいるか。鏡を見ろ鏡を」
目を瞑る国王の耳に、聞き慣れぬ男の声が入った。
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