聖騎士は 愛のためなら 闇に墜つ

はにわ

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反逆

サンクレアという国

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神国サンクレア。

元は女神ラビスの声を聞くことが出来るとされる霊峰の麓に出来た集落から始まった国であった。
女神ラビスを信仰するラビス教の本部がここに建設されると、世界中から信徒が押しかけ生活するようになり、それはやがて大きな人口、産業、軍事力を持つ国にまで成長した。
今やサンクレアは人口、経済力、そして軍事力ともに世界最大の強国である。

そしてサンクレアは女神ラビスが人類の敵と定める魔族と数百年に渡り戦いを続け、つい半年ほど前、ついに魔族の頂である魔王を討伐することに成功する。
魔王を失った魔族はまさに残存する魔族全てを投入した玉砕覚悟の大反撃「最後の抵抗」と呼ばれる総特攻をサンクレアに仕掛け、多大な犠牲を払いながらもこれを撃退した。
世界人類に平和を取り戻したサンクレアは、世界最大の強国として君臨することになったのだ。


そんなサンクレアの王城では、今会議が行われていた。



「・・・して、聖騎士カイは命を落としたと」


サンクレアの王であり、ラビス教のトップである法王ランスは騎士団長アドルの報告書に目を通してから溜め息交じりにそう言った。


「は。面目次第もございません。栄えある聖騎士からこのような不心得者を出してしまうなど」


アドルは直立不動の姿勢から頭を深く下げ、謝罪の言葉を述べる。その隣にはハルトがおり、アドルと同じように頭を下げていた。


「そして私の力不足からかく乱のための重要各所の襲撃を許すことになってしまい、これについても深くお詫びを申し訳ます!」


「面を上げなさい」


ランスは頭を下げ続けるアドル達に対し、頭を上げるように言った。
アドル達はその言葉に従うように、ゆっくりと頭を戻す。


「アドル、貴方が最善を尽くしたことは理解しています。幸いにして人的被害は大きくありませんでした。それもこれも騎士団の頑張りがあってこそです。ご苦労様でした」


アドルはランスの労いの言葉を聞き、歓喜のあまり目を滲ませる。アドルの顔にはいくらか火傷の痕が残っており、痛々しさを感じさせるものであった。
本来火傷はポーションでは無理でも治療魔法で回復することが出来るが、それは怪我を負ってからある程度時間が経過するまでに治療を施せばの話だ。
今回アドルはカイの爆炎の符による攻撃を受けてから、すぐに回復魔法による治療を受けることが出来なかった。聖女マーサは命に危険が迫るハルトの回復に手一杯だったからである。結果、治療の遅れたアドルの顔には火傷の痕が残ることになってしまった。

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