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ルドルフ立つ その2
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「殿下お待ちを。それはなりません」
侍従はルドルフに縋るように言うが、ルドルフは微笑を浮かべ黙ったまま歩みを止めない・・・と思いきや、突然ピタッと止まったかと思うと、くるりと振り返った。
怪訝な顔をしてそれを眺めていたマルスを正面から見据え、ルドルフは言った。
「マルス君、君のところの人間を引き連れてきても良い。良かったら私と一緒に来てみないか?」
「・・・え?」
突然の誘いに、マルスは困惑を隠せない。
しかも笑みを浮かべているはずのルドルフからは、誘いというよりはどこか強制されているような圧が発せられているようにマルスは感じた。
「あまり部下に頼り切りだと思われても不本意であるし、私だって少しは出来るというところを君に見せてみようと思ってね。どうかな?」
ルドルフの皇族らしかぬ発言に、マルスは唖然として侍従は渋い顔をしている。
戦場に皇族が自ら行くと言っているのだ。
これまでフローラに対する執着こそありながらも、それ以外は常に余裕ある態度だったルドルフがやけにギラギラしていることに、マルスは気付く。
どうやら自分の想像以上に挑発が効いたことに、マルスは非常に高い満足感を抱いて内心ほくそ笑んだ。
ルドルフは冒険者と比較しても高い魔力を持っているとはマルスも調べはつけていた。剣術なり魔力なり、何かしら武力に通じているのがドレークの皇族の嗜みの一つ
であると言われているが、ルドルフのそれはまた頭一つ抜けているという。
優秀な冒険者達である『ゴブリン』を引き連れてはいたが、ルドルフ自身もまた自分の能力に強い自信を持っているのだろうとマルスは思った。
マルスの発言は、そのルドルフの自尊心をくすぐってしまったのだろうと。
『ゴブリン』が不発だろうと、自分なら場を制することが出来ると証明したいのだろうと。
「もちろん、微力ながら私も力になれたらと思います。是非同行させてください」
マルスはルドルフの誘いに乗った。
ルドルフをどこかで出し抜いて、自分がフローラを手にするという狙いがある彼にとって、これ以上望むべくもない状況だからだ。
「それは良かった。君の言う通り、時間は有限だ。これからすぐに突入する」
ルドルフは笑みを深めると、再び踵を返して魔物じじい宅へ進みだす。
マルスは急いで一緒にいた自分の配下に命令し、人員を手配するように言うのだった。
「ちっ、どうなっても知らんぞ・・・」
小さく侍従がマルスに向けて口汚く呟いたのだが、それは当の本人の耳には入らなかった。
侍従はルドルフに縋るように言うが、ルドルフは微笑を浮かべ黙ったまま歩みを止めない・・・と思いきや、突然ピタッと止まったかと思うと、くるりと振り返った。
怪訝な顔をしてそれを眺めていたマルスを正面から見据え、ルドルフは言った。
「マルス君、君のところの人間を引き連れてきても良い。良かったら私と一緒に来てみないか?」
「・・・え?」
突然の誘いに、マルスは困惑を隠せない。
しかも笑みを浮かべているはずのルドルフからは、誘いというよりはどこか強制されているような圧が発せられているようにマルスは感じた。
「あまり部下に頼り切りだと思われても不本意であるし、私だって少しは出来るというところを君に見せてみようと思ってね。どうかな?」
ルドルフの皇族らしかぬ発言に、マルスは唖然として侍従は渋い顔をしている。
戦場に皇族が自ら行くと言っているのだ。
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どうやら自分の想像以上に挑発が効いたことに、マルスは非常に高い満足感を抱いて内心ほくそ笑んだ。
ルドルフは冒険者と比較しても高い魔力を持っているとはマルスも調べはつけていた。剣術なり魔力なり、何かしら武力に通じているのがドレークの皇族の嗜みの一つ
であると言われているが、ルドルフのそれはまた頭一つ抜けているという。
優秀な冒険者達である『ゴブリン』を引き連れてはいたが、ルドルフ自身もまた自分の能力に強い自信を持っているのだろうとマルスは思った。
マルスの発言は、そのルドルフの自尊心をくすぐってしまったのだろうと。
『ゴブリン』が不発だろうと、自分なら場を制することが出来ると証明したいのだろうと。
「もちろん、微力ながら私も力になれたらと思います。是非同行させてください」
マルスはルドルフの誘いに乗った。
ルドルフをどこかで出し抜いて、自分がフローラを手にするという狙いがある彼にとって、これ以上望むべくもない状況だからだ。
「それは良かった。君の言う通り、時間は有限だ。これからすぐに突入する」
ルドルフは笑みを深めると、再び踵を返して魔物じじい宅へ進みだす。
マルスは急いで一緒にいた自分の配下に命令し、人員を手配するように言うのだった。
「ちっ、どうなっても知らんぞ・・・」
小さく侍従がマルスに向けて口汚く呟いたのだが、それは当の本人の耳には入らなかった。
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