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ルドルフ立つ
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一方その頃・・・成功を信じて『ゴブリン』に魔物じじい宅への突入を命じ、余裕の笑みを浮かべて待っていたルドルフは、懐中時計に何度も視線を落としては、また魔物じじい宅へ視線を戻していた。
ルドルフはすました顔をして皇族故に悪感情をそう表に出さないように心がけているが、古くから仕えている侍従にはわかっていた。
ルドルフは苛立っている、と。それもかなりだ。
侍従はいつ雷が落ちるかわからない雷雲の下で、ただただ被雷しないようにと大人しく地面に這いつくばっているような心境だった。
だが、愚行を犯す者はいつだっているものだ。
「思っていたよりは時間がかかるようですな」
先ほど協力の申し出を断られ、不愉快な思いをしたマルスは内心ほくそ笑みながらそう言った。
ルドルフの言った通りなら、そろそろ『ゴブリン』達が戻ってきて吉報が届くはずだった。だが、一向に『ゴブリン』達は戻ってこない。
それどころか、定時連絡があるはずなのにそれすら途絶えていた。
「黙れ」
侍従がマルスを黙らせようと圧を込めていうが、マルスは黙らない。
「時間は有限です。打てるときに打てる手は打っておくべきかと具申します」
マルスは自分の協力を受け入れろと言っている。
先ほどは断られたが、『ゴブリン』の進捗が思わしくないとされる現状、ルドルフにマルスの申し出を跳ね除けるだけの理由がない。
何しろこうして魔物じじい宅襲撃のために、マルスとてリスクを負って時間稼ぎに貢献したのだから、このまま何も成果なく空振りでした・・・とはいかないのだ。
「さぁ、ご決断を」
マルスがそう言って迫り、ルドルフが僅かに眉を寄せる。
涼しい顔をしていたルドルフが、内心悔しさで震えているだろうことにマルスは優越感を抱いていた。ざまぁみろと罵っていた。
マルスが言っているように、時間は有限である。目的を確実に達成するためには、ルドルフはマルスの協力の申し出を受け入れるべき状況だ。
マルスは自分の下心を満たすために、ルドルフが屈するだろうと確信していたが・・・
状況はマルスの思ってもいない方向へ動いた。
「仕方があるまい。こうなったら私が行く」
「へ・・・?」
ふぅ、とほんの小さくため息をついたかと思うと、突然ルドルフはつかつかと魔物じじい宅へと歩みを進めたのだった。
呆けているマルスを他所に、侍従が「おやめくださいそれだけは!」と焦ったように諫めているが、ルドルフが止まる様子はない。
あまりに予想外の展開に、マルスはその様子を茫然と見送るしかなかった。
ルドルフはすました顔をして皇族故に悪感情をそう表に出さないように心がけているが、古くから仕えている侍従にはわかっていた。
ルドルフは苛立っている、と。それもかなりだ。
侍従はいつ雷が落ちるかわからない雷雲の下で、ただただ被雷しないようにと大人しく地面に這いつくばっているような心境だった。
だが、愚行を犯す者はいつだっているものだ。
「思っていたよりは時間がかかるようですな」
先ほど協力の申し出を断られ、不愉快な思いをしたマルスは内心ほくそ笑みながらそう言った。
ルドルフの言った通りなら、そろそろ『ゴブリン』達が戻ってきて吉報が届くはずだった。だが、一向に『ゴブリン』達は戻ってこない。
それどころか、定時連絡があるはずなのにそれすら途絶えていた。
「黙れ」
侍従がマルスを黙らせようと圧を込めていうが、マルスは黙らない。
「時間は有限です。打てるときに打てる手は打っておくべきかと具申します」
マルスは自分の協力を受け入れろと言っている。
先ほどは断られたが、『ゴブリン』の進捗が思わしくないとされる現状、ルドルフにマルスの申し出を跳ね除けるだけの理由がない。
何しろこうして魔物じじい宅襲撃のために、マルスとてリスクを負って時間稼ぎに貢献したのだから、このまま何も成果なく空振りでした・・・とはいかないのだ。
「さぁ、ご決断を」
マルスがそう言って迫り、ルドルフが僅かに眉を寄せる。
涼しい顔をしていたルドルフが、内心悔しさで震えているだろうことにマルスは優越感を抱いていた。ざまぁみろと罵っていた。
マルスが言っているように、時間は有限である。目的を確実に達成するためには、ルドルフはマルスの協力の申し出を受け入れるべき状況だ。
マルスは自分の下心を満たすために、ルドルフが屈するだろうと確信していたが・・・
状況はマルスの思ってもいない方向へ動いた。
「仕方があるまい。こうなったら私が行く」
「へ・・・?」
ふぅ、とほんの小さくため息をついたかと思うと、突然ルドルフはつかつかと魔物じじい宅へと歩みを進めたのだった。
呆けているマルスを他所に、侍従が「おやめくださいそれだけは!」と焦ったように諫めているが、ルドルフが止まる様子はない。
あまりに予想外の展開に、マルスはその様子を茫然と見送るしかなかった。
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