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強い自称ドラゴン
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それはまるで獰猛な番犬が、主の「待て」一言でピタリと動きを止めたかのような光景だった。
しーーーーん
ジーラの一言で動きを一斉に止めた魔物達は、待てをされた犬のように、整列を命じられた兵隊のように、一歩たりとも動きを見せることがなかった。
「こんな奴ら、シュウ君がわざわざ手を下すほどのものではないよ」
魔物達を制して見せたジーラは、クールに微笑みながら言う。
中身がドラゴンではあるが、外見は少女でしかないジーラが凶暴な魔物達を前にして平然としているのが、とても不釣り合いな光景にシュウには見えた。
魔物達は本能で実力がわかるのか、それとも元々人間に変身することを知っているのか、少女の姿であるジーラに逆らうようなことはなかった。
(これは・・・)
シュウは動きを止めた魔物達の様子をじっと見る。
皆、ただ言うことを聞いているだけではなかった。
静かに震え、怯えていたのだ。
嵐が通り過ぎるのを待つかのように、絶対的な力を持つ暴君が自分達への興味を失うのを待つかのようのに、ただずっと耐えているかのようである。
ジーラはシュウが思っている以上に、凄まじい力を秘めているドラゴンなのかもしれないと思った。
現状気安く口を聞けている間柄だが、本当はそれはとても幸運なことなのではないかとも。
「・・・うん?ふんふん・・・ふ~ん・・・」
ジーラは先頭にいた魔物に何やら話を聞いており、しきりに小さく頷いたかと思うと、最後に納得したように大きくまた頷いた。
そして突然くるっとシュウに対して振り返る。
「ごめんシュウ。何か奥の方で面倒なやつが解放されちゃったからコイツら逃げてきたらしいんだ。一応ほっとくと面倒なことになるから、ボクが対応しなくちゃいけない。ちょっと行ってきていいかな?」
「え?あ、はい」
魔物じじいの迷宮内で起きている出来事の何もかもが把握できていないシュウは、もはや奥で何があろうがなかろうが干渉できるわけもない。望むことなら、問題があるのなら自分が知らぬ間に全部終わっていればなー、ってどれだけである。
だからジーラの言葉に、シュウは特に何か言及することなく頷いた。
そうした瞬間・・・ジーラは「すぐ戻るね」という言葉だけ残して駆け出し、一瞬で姿を長い回廊の闇に溶け込ませていく。
「あっ・・・」
後に残されたのは、シュウとさっきまで暴れていた魔物達。
魔物を統制できるジーラがいなくなったことで、シュウは魔物らが再び暴れだすかと思ったが・・・
「帰っていく・・・」
魔物達は用が終わったとばかりに、自分達が来た方向へ再び戻っていった。
「あいつ(ジーラ)が対処するなら、問題ないだろ」的な会話を魔物言葉でしているのを、勉強してある程度の魔物言葉を理解していたシュウは聞き取って「こうまで恐れられつつも信頼されているなんて、ジーラはどれだけ強いんだ?」と戦慄した。
しーーーーん
ジーラの一言で動きを一斉に止めた魔物達は、待てをされた犬のように、整列を命じられた兵隊のように、一歩たりとも動きを見せることがなかった。
「こんな奴ら、シュウ君がわざわざ手を下すほどのものではないよ」
魔物達を制して見せたジーラは、クールに微笑みながら言う。
中身がドラゴンではあるが、外見は少女でしかないジーラが凶暴な魔物達を前にして平然としているのが、とても不釣り合いな光景にシュウには見えた。
魔物達は本能で実力がわかるのか、それとも元々人間に変身することを知っているのか、少女の姿であるジーラに逆らうようなことはなかった。
(これは・・・)
シュウは動きを止めた魔物達の様子をじっと見る。
皆、ただ言うことを聞いているだけではなかった。
静かに震え、怯えていたのだ。
嵐が通り過ぎるのを待つかのように、絶対的な力を持つ暴君が自分達への興味を失うのを待つかのようのに、ただずっと耐えているかのようである。
ジーラはシュウが思っている以上に、凄まじい力を秘めているドラゴンなのかもしれないと思った。
現状気安く口を聞けている間柄だが、本当はそれはとても幸運なことなのではないかとも。
「・・・うん?ふんふん・・・ふ~ん・・・」
ジーラは先頭にいた魔物に何やら話を聞いており、しきりに小さく頷いたかと思うと、最後に納得したように大きくまた頷いた。
そして突然くるっとシュウに対して振り返る。
「ごめんシュウ。何か奥の方で面倒なやつが解放されちゃったからコイツら逃げてきたらしいんだ。一応ほっとくと面倒なことになるから、ボクが対応しなくちゃいけない。ちょっと行ってきていいかな?」
「え?あ、はい」
魔物じじいの迷宮内で起きている出来事の何もかもが把握できていないシュウは、もはや奥で何があろうがなかろうが干渉できるわけもない。望むことなら、問題があるのなら自分が知らぬ間に全部終わっていればなー、ってどれだけである。
だからジーラの言葉に、シュウは特に何か言及することなく頷いた。
そうした瞬間・・・ジーラは「すぐ戻るね」という言葉だけ残して駆け出し、一瞬で姿を長い回廊の闇に溶け込ませていく。
「あっ・・・」
後に残されたのは、シュウとさっきまで暴れていた魔物達。
魔物を統制できるジーラがいなくなったことで、シュウは魔物らが再び暴れだすかと思ったが・・・
「帰っていく・・・」
魔物達は用が終わったとばかりに、自分達が来た方向へ再び戻っていった。
「あいつ(ジーラ)が対処するなら、問題ないだろ」的な会話を魔物言葉でしているのを、勉強してある程度の魔物言葉を理解していたシュウは聞き取って「こうまで恐れられつつも信頼されているなんて、ジーラはどれだけ強いんだ?」と戦慄した。
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