442 / 473
ドラゴンパニック
しおりを挟む
ドォォォォォン
フローラの魔法防壁がさらに大きな音を立てる。
部屋の外にいるドラゴンは、どうやらシュウ達の存在に興味を持ってしまったらしく、やり過ごすというわけにはいかなくなってしまったようだ。
「フローラ。魔法防壁が破られるまでに・・・どのくらいの時間がかかりますか?」
シュウはフローラに問いながら、腕を回したり膝を曲げたりと、柔軟体操を開始する。防壁が破られたその時は、例え勝ち目が薄かろうと戦わなければならないからだ。
(かつてドラゴン族と戦ったときは、いずれもライルかサーラの剣で首を落としての決着だった。奴らの固い皮膚には、斬撃以外の攻撃が通りにくい。私の拳などもってのほかだろう。果たしてどこまで戦えるのか・・・)
シュウはかつて『光の戦士達』として戦っていた頃の記憶を呼び覚ます。
ドラゴン族は頑丈な皮膚と巨大な肉体・・・そして筋肉を持っている最恐クラスの魔族だ。
肉体が強大なだけでなく、種族によって異なるブレス攻撃・・・例えば口から炎を吐いて攻撃してきたりなど、とにかく恐ろしい存在だ。
強力な攻撃をかいくぐり、何発も殴り込んだところで恐らくドラゴンにはろくにシュウの攻撃は通用しない。
ドラゴンの固い皮膚は、高価な武具の素材にまでなるほどの強度を持っている。シュウの素手での攻撃どころか、賢者アイラの強力な攻撃魔法とて表面を傷つけるばかりで中身には対してダメージを与えられないだろう。
(聖の魔力を拳に乗せて、それを全力で叩き込んでどうなるか・・・きっとどうにもならないんだろうなぁ)
フッと、シュウは諦めたような乾いた笑いを浮かべる。
かくなるうえは、可能性は低いが魔物じじいが牢の以上に気付いて駆けつけてくるまで時間を稼ぐしかないとシュウは思った。
きっと魔物じじいの扱いに長けた彼ならどうにかしてくれるだろう・・・知らんけど、と。
そんなことを考えるシュウを前に、フローラはう~んと唸りながら考え、少しばかり時間をかけてから質問を答えを返した。
「私の防壁が破られるまで、恐らく早くて二時間くらい・・・でしょうか」
「長いですね!」
フローラの出した答えがあまりに想像より長い時間で、シュウは安堵のため息をつく。
フローラが規格外の力を持つ聖女で良かった・・・そう思ったのだが・・・
ドォォォォォン
ゴォォォォン
ガンガンガン
ドンドンドン
カーン カーン
ドラゴンは防壁に対して熾烈な攻撃を繰り広げ続けているのか、耳をつんざくような騒音がひたすら鳴り響き続けた。それに二時間耐えるだけでも苦痛も苦痛だ。
「防壁より先に・・・魔物じじいの家が崩壊するほうが先かもしれませんね・・・なんて」
苦笑いを浮かべながらそう言うフローラの顔を見て、シュウは「やっぱり自分が出るしかないのか」と肩を落とした。
フローラの魔法防壁がさらに大きな音を立てる。
部屋の外にいるドラゴンは、どうやらシュウ達の存在に興味を持ってしまったらしく、やり過ごすというわけにはいかなくなってしまったようだ。
「フローラ。魔法防壁が破られるまでに・・・どのくらいの時間がかかりますか?」
シュウはフローラに問いながら、腕を回したり膝を曲げたりと、柔軟体操を開始する。防壁が破られたその時は、例え勝ち目が薄かろうと戦わなければならないからだ。
(かつてドラゴン族と戦ったときは、いずれもライルかサーラの剣で首を落としての決着だった。奴らの固い皮膚には、斬撃以外の攻撃が通りにくい。私の拳などもってのほかだろう。果たしてどこまで戦えるのか・・・)
シュウはかつて『光の戦士達』として戦っていた頃の記憶を呼び覚ます。
ドラゴン族は頑丈な皮膚と巨大な肉体・・・そして筋肉を持っている最恐クラスの魔族だ。
肉体が強大なだけでなく、種族によって異なるブレス攻撃・・・例えば口から炎を吐いて攻撃してきたりなど、とにかく恐ろしい存在だ。
強力な攻撃をかいくぐり、何発も殴り込んだところで恐らくドラゴンにはろくにシュウの攻撃は通用しない。
ドラゴンの固い皮膚は、高価な武具の素材にまでなるほどの強度を持っている。シュウの素手での攻撃どころか、賢者アイラの強力な攻撃魔法とて表面を傷つけるばかりで中身には対してダメージを与えられないだろう。
(聖の魔力を拳に乗せて、それを全力で叩き込んでどうなるか・・・きっとどうにもならないんだろうなぁ)
フッと、シュウは諦めたような乾いた笑いを浮かべる。
かくなるうえは、可能性は低いが魔物じじいが牢の以上に気付いて駆けつけてくるまで時間を稼ぐしかないとシュウは思った。
きっと魔物じじいの扱いに長けた彼ならどうにかしてくれるだろう・・・知らんけど、と。
そんなことを考えるシュウを前に、フローラはう~んと唸りながら考え、少しばかり時間をかけてから質問を答えを返した。
「私の防壁が破られるまで、恐らく早くて二時間くらい・・・でしょうか」
「長いですね!」
フローラの出した答えがあまりに想像より長い時間で、シュウは安堵のため息をつく。
フローラが規格外の力を持つ聖女で良かった・・・そう思ったのだが・・・
ドォォォォォン
ゴォォォォン
ガンガンガン
ドンドンドン
カーン カーン
ドラゴンは防壁に対して熾烈な攻撃を繰り広げ続けているのか、耳をつんざくような騒音がひたすら鳴り響き続けた。それに二時間耐えるだけでも苦痛も苦痛だ。
「防壁より先に・・・魔物じじいの家が崩壊するほうが先かもしれませんね・・・なんて」
苦笑いを浮かべながらそう言うフローラの顔を見て、シュウは「やっぱり自分が出るしかないのか」と肩を落とした。
10
お気に入りに追加
207
あなたにおすすめの小説
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
.
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる