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密命のゴブリン
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オーガ君がボタンを押す少し前--
『ゴブリン』を指揮するリーダー、ミケランジェロは複数のメンバーを従えながら、魔物じじいの家を奥まで進んでいた。
トールもオーガ君も数人のメンバーが足止めをしているため、今は彼らの進撃を止める者は誰もいない。
『オオオオォォォォォォ』
『ガォォォォォォォォン』
薄暗い廊下を進めば進むほど、狂暴そうな魔物の地を這うような呻き声が耳に入るようになっていく。
身の毛もよだつような場所であるが、『ゴブリン』の面々は「おお、怖い」などと軽口を叩きながらも、その歩を止めることはなかった。
「目標は『魔物じじい』だ。時間が無いから、他には目もくれるなよお前ら」
リーダーのミケランジェロの言葉に、部下の一人がニヤニヤ笑いながら答えた。
「『フローラ』というお嬢さんが目当てじゃなかったんですかい?」
部下のその言葉を、他の部下達もニヤニヤしながら聞いている。
彼の言う通り、本来ならこの魔物じじい宅の襲撃の主目的は『フローラ』の身柄である。それが『ゴブリン』をこのアンドレアに連れてきたルドルフの何よりの願いなのだから、それが優先されるのが当然だ。
だが、今のミケランジェロの言葉はその意に反するものだった。
「あぁ、そっちはついでたついで。俺達の主目標はあくまで『魔物じじい』だ」
ミケランジェロはなんてことないようにそう言うと、事前に手に入れた魔物じじい宅の広大な迷宮の地図を頼りに、ぐいぐいと奥へ進んでいく。地図がなければ進むのに躊躇うほどの複雑な迷宮だが、かつて冒険者としてダンジョンをいくつも走破した『ゴブリン』にはどうということもない。
「ここまで出くわさなかった以上、目標の魔物じじいは恐らく最奥の『研究室』にいる可能性が高い。まずはそこを調べ、いなければ順に怪しいところを調べていくことにする」
「へいへい。聖女様は二の次さんの次ってことすね?」
「そうだ。聖女の身柄はあくまでオマケだ。まぁ、出来れば殿下の所望通りにしてやりたいけどな」
ミケランジェロを始めとした、『ゴブリン』達の手には短刀、ボウガンなど、各々得意とする武器が持たれている。
だが彼らがそれを持っているのは、邪魔する者を排除するためだけではない。標的である『魔物じじい』の命を奪うためであった。
『ゴブリン』はルドルフの命令だけでここにいるわけではない。もう一つの密命を帯びて来たのであった。
「さぁ、『研究室』までもう少しだ。気を引き締めろ・・・よ・・・?
ミケランジェロは部下達に注意を促そうとして・・・違和感に気が付いた。
先ほどまで檻の向こうにしか感じていなかった魔物の気配が、すぐ近くに感じられるようになっていたのだ。
「あ、あれ・・・?魔物たち、なんか檻から出てきてねぇっすか・・・?」
『ゴブリン』の面々は、いつの間にか自分達があらゆる種類の魔物に囲まれてしまっていることに気が付いた。
オーガ君が推したボタンによって、閉じられた檻のほぼ全てが開放されていたのだ。
『ゴブリン』を指揮するリーダー、ミケランジェロは複数のメンバーを従えながら、魔物じじいの家を奥まで進んでいた。
トールもオーガ君も数人のメンバーが足止めをしているため、今は彼らの進撃を止める者は誰もいない。
『オオオオォォォォォォ』
『ガォォォォォォォォン』
薄暗い廊下を進めば進むほど、狂暴そうな魔物の地を這うような呻き声が耳に入るようになっていく。
身の毛もよだつような場所であるが、『ゴブリン』の面々は「おお、怖い」などと軽口を叩きながらも、その歩を止めることはなかった。
「目標は『魔物じじい』だ。時間が無いから、他には目もくれるなよお前ら」
リーダーのミケランジェロの言葉に、部下の一人がニヤニヤ笑いながら答えた。
「『フローラ』というお嬢さんが目当てじゃなかったんですかい?」
部下のその言葉を、他の部下達もニヤニヤしながら聞いている。
彼の言う通り、本来ならこの魔物じじい宅の襲撃の主目的は『フローラ』の身柄である。それが『ゴブリン』をこのアンドレアに連れてきたルドルフの何よりの願いなのだから、それが優先されるのが当然だ。
だが、今のミケランジェロの言葉はその意に反するものだった。
「あぁ、そっちはついでたついで。俺達の主目標はあくまで『魔物じじい』だ」
ミケランジェロはなんてことないようにそう言うと、事前に手に入れた魔物じじい宅の広大な迷宮の地図を頼りに、ぐいぐいと奥へ進んでいく。地図がなければ進むのに躊躇うほどの複雑な迷宮だが、かつて冒険者としてダンジョンをいくつも走破した『ゴブリン』にはどうということもない。
「ここまで出くわさなかった以上、目標の魔物じじいは恐らく最奥の『研究室』にいる可能性が高い。まずはそこを調べ、いなければ順に怪しいところを調べていくことにする」
「へいへい。聖女様は二の次さんの次ってことすね?」
「そうだ。聖女の身柄はあくまでオマケだ。まぁ、出来れば殿下の所望通りにしてやりたいけどな」
ミケランジェロを始めとした、『ゴブリン』達の手には短刀、ボウガンなど、各々得意とする武器が持たれている。
だが彼らがそれを持っているのは、邪魔する者を排除するためだけではない。標的である『魔物じじい』の命を奪うためであった。
『ゴブリン』はルドルフの命令だけでここにいるわけではない。もう一つの密命を帯びて来たのであった。
「さぁ、『研究室』までもう少しだ。気を引き締めろ・・・よ・・・?
ミケランジェロは部下達に注意を促そうとして・・・違和感に気が付いた。
先ほどまで檻の向こうにしか感じていなかった魔物の気配が、すぐ近くに感じられるようになっていたのだ。
「あ、あれ・・・?魔物たち、なんか檻から出てきてねぇっすか・・・?」
『ゴブリン』の面々は、いつの間にか自分達があらゆる種類の魔物に囲まれてしまっていることに気が付いた。
オーガ君が推したボタンによって、閉じられた檻のほぼ全てが開放されていたのだ。
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