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元襲撃者は襲撃される
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トールの行動は実に迅速だった。
玄関から即座に敵と判断し、相手の正体を掴む前から攻撃モーションに入っていた。
相手が僅かなり一般人である可能性もなくはなかったが、それは一切考慮していない。
トールの本能が危険を告げていたというのもあるが、裏の仕事に慣れた故に非情な決断が下せたというのが大きい。
事故で一般人を死なせてしまったのなら、それはそれで仕方がない。紛らわしいことをしたほうが悪い。その程度にしかトールは考えなかっただろう。
だが、その豪胆な決断が侵入者に対して先手を打てる結果となった。
トールのこのときの得物は飾り物のナイフという不慣れなものではあったが、心得が全くないわけではない。トールの斬撃は確実に侵入者の一人の首筋を捉えており、あと一秒もしないうちに切り裂いて絶命させられるはずだった。
トールのナイフの一撃を止めたのは、彼に狙われた侵入者と同時にやってきたもう一人の侵入者だった。
トールの攻撃も極めて素早かったが、止めた侵入者の反応もまた速かった。
「よりによって『ゴブリン』かよ!」
顔を合わせたのは一瞬。
だが、それでもトールは自分が斬りかかった相手が有名な元冒険者パーティー『ゴブリン』のメンバーであることを認識した。
何故すぐにわかったのか。それは『ゴブリン』はトールが最も戦いたくない部類に入る相手であり、メンバー全員の顔を記憶していたからだ。
トールは裏の世界の仕事をいくつも請け負ってきたが、決して敵対してはいけないと決めていた相手がいた。そのうちの一つが『ゴブリン』だ。
理由は簡単。戦っても勝ち目が無いとわかっているからである。
「ちっ、どうしてこんなところに来てるんだよ!」
トールは攻撃を受け止められた瞬間、即座に後ろに下がってゴブリン達と距離をとった。その直後、トールがいた場所の地面にボウガンの矢が数本刺さる。
トールが避けるのが遅かったら、今ごろ射貫かれていたことだろう。
「いやがったな・・・」
ちらりとトールが上に目をやると、そこにはいつの間にいたやら、天井にボーガンを持った小柄の男がまるでゴキ〇リのように張り付いている。
天井に張り付いた男がトールにボーガンを向けると、危険を察知したトールは素早く部屋にあったテーブルを立てて視界を遮り、オーガ君の肩を抱いて奥の部屋へと逃げ込んだ。
「おぉ、ちょこまかと逃げやがって!流石臆病者トールの名は伊達じゃねぇな!」
「ていうか、思わず戦っちまったが、アイツなんでターゲット側についてるんだ?俺たちより先に依頼を受けたって話だが」
「どうでもいいだろそんなこと。俺たちは仕事をするのみだぜ」
ゴブリン達の会話が耳に入っていたトールは「シュウ達早く済ませて戻ってきてくれねぇかな・・・」と現実逃避気味に冗談を一人呟いていた。
玄関から即座に敵と判断し、相手の正体を掴む前から攻撃モーションに入っていた。
相手が僅かなり一般人である可能性もなくはなかったが、それは一切考慮していない。
トールの本能が危険を告げていたというのもあるが、裏の仕事に慣れた故に非情な決断が下せたというのが大きい。
事故で一般人を死なせてしまったのなら、それはそれで仕方がない。紛らわしいことをしたほうが悪い。その程度にしかトールは考えなかっただろう。
だが、その豪胆な決断が侵入者に対して先手を打てる結果となった。
トールのこのときの得物は飾り物のナイフという不慣れなものではあったが、心得が全くないわけではない。トールの斬撃は確実に侵入者の一人の首筋を捉えており、あと一秒もしないうちに切り裂いて絶命させられるはずだった。
トールのナイフの一撃を止めたのは、彼に狙われた侵入者と同時にやってきたもう一人の侵入者だった。
トールの攻撃も極めて素早かったが、止めた侵入者の反応もまた速かった。
「よりによって『ゴブリン』かよ!」
顔を合わせたのは一瞬。
だが、それでもトールは自分が斬りかかった相手が有名な元冒険者パーティー『ゴブリン』のメンバーであることを認識した。
何故すぐにわかったのか。それは『ゴブリン』はトールが最も戦いたくない部類に入る相手であり、メンバー全員の顔を記憶していたからだ。
トールは裏の世界の仕事をいくつも請け負ってきたが、決して敵対してはいけないと決めていた相手がいた。そのうちの一つが『ゴブリン』だ。
理由は簡単。戦っても勝ち目が無いとわかっているからである。
「ちっ、どうしてこんなところに来てるんだよ!」
トールは攻撃を受け止められた瞬間、即座に後ろに下がってゴブリン達と距離をとった。その直後、トールがいた場所の地面にボウガンの矢が数本刺さる。
トールが避けるのが遅かったら、今ごろ射貫かれていたことだろう。
「いやがったな・・・」
ちらりとトールが上に目をやると、そこにはいつの間にいたやら、天井にボーガンを持った小柄の男がまるでゴキ〇リのように張り付いている。
天井に張り付いた男がトールにボーガンを向けると、危険を察知したトールは素早く部屋にあったテーブルを立てて視界を遮り、オーガ君の肩を抱いて奥の部屋へと逃げ込んだ。
「おぉ、ちょこまかと逃げやがって!流石臆病者トールの名は伊達じゃねぇな!」
「ていうか、思わず戦っちまったが、アイツなんでターゲット側についてるんだ?俺たちより先に依頼を受けたって話だが」
「どうでもいいだろそんなこと。俺たちは仕事をするのみだぜ」
ゴブリン達の会話が耳に入っていたトールは「シュウ達早く済ませて戻ってきてくれねぇかな・・・」と現実逃避気味に冗談を一人呟いていた。
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