427 / 464
憲兵 その3
しおりを挟む
「ふぅ・・・まいったわね。これじゃあ損害がいくらになるかわかったもんじゃないわ」
憲兵団副団長のビリーの指示によって、クローザとその配下は一人残らず憲兵の監視下に置かれることになった。
監視中は一切の職務どころか外出すらが禁止され、クローザの組織が関わる事業も全てが強制的に停止となり、町では騒ぎになっていた。何しろクローザの経営する風俗店が、軒並み閉まっているのだから欲を発散しようとしていた男達にしてみれば一大事なのだ。
「今日せっかくあの子が予約取れたのに、どうして休業してんだよ!」
「しょうがねぇ違う店・・・って、あれ、どこもやってなくね?」
「店がやってないなら立ちんぼにしとくかって思ってたけど、同じこと考えてるライバルが多すぎて争奪戦激化で誰もつかまらねぇ・・・」
「俺のこの性欲はどうすりゃいいんだよ!」
「もう・・・相手が男でもいいや!」
「いやそうはならんやろ」
たかが性欲、されど性欲・・・
クローザが関係していた多くの風俗店が軒並み休業することにより、アンドレアは狂乱状態となった。
「こんなんじゃ監視が解かれる頃には経営破綻してるわ。本当、どうしてくれるのかしらね」
執務のできない執務室で、クローザは監視している憲兵に聞こえるように嫌味ったらしくボイドにそう語りかける。
今のクローザは、筆一本握ることすら許されていない。
食事も憲兵の決めたものを決まった時間、決まった場所で摂ることを強要され、用を足すときさえ同性の憲兵に同行しなければならないという状態であった。
それはクローザだけでなく、配下一人一人全員に強要されていることであり、今いる建物がそのまま監獄に変わっているのと同じである。
クローザがこれ見よがしにため息をつこうが、嫌味を口からねちねちと発しようとが、監視する憲兵達は一言も返すことはない。クローザ達が禁止されていることを勝手に行わない限りは、ただ置物のように立っているだけである。
一体なぜこのようなことが突然起きたのか。何を聞いてもビリーは「上からの指示」としか答えなかったが、クローザには何となく予想はついていた。
帝国の第四皇子がシュウに対して何かしらの動きを見せているという情報・・・それと同時にクローザの拘束。それらを結び合わせると、近々シュウに対して何らかの行動に出ることが予想された。
(組織というより、私自身の動きを徹底的にマークしたいんでしょうね)
恐らく皇子がクローザを拘束しているのは、彼女がシュウの協力者となって妨害するだろうことを予想してのことだろう。
今のクローザは業務から何から全てが禁止されており、寝る食う以外のことが行える状況ではないので、シュウに対して増援どころか警告一つ送ってやれない。
(シュウ・・・無事でいて・・・!)
クローザは動くに動けない今の状況を、とても歯がゆく思いながら爪を噛んだ。
憲兵団副団長のビリーの指示によって、クローザとその配下は一人残らず憲兵の監視下に置かれることになった。
監視中は一切の職務どころか外出すらが禁止され、クローザの組織が関わる事業も全てが強制的に停止となり、町では騒ぎになっていた。何しろクローザの経営する風俗店が、軒並み閉まっているのだから欲を発散しようとしていた男達にしてみれば一大事なのだ。
「今日せっかくあの子が予約取れたのに、どうして休業してんだよ!」
「しょうがねぇ違う店・・・って、あれ、どこもやってなくね?」
「店がやってないなら立ちんぼにしとくかって思ってたけど、同じこと考えてるライバルが多すぎて争奪戦激化で誰もつかまらねぇ・・・」
「俺のこの性欲はどうすりゃいいんだよ!」
「もう・・・相手が男でもいいや!」
「いやそうはならんやろ」
たかが性欲、されど性欲・・・
クローザが関係していた多くの風俗店が軒並み休業することにより、アンドレアは狂乱状態となった。
「こんなんじゃ監視が解かれる頃には経営破綻してるわ。本当、どうしてくれるのかしらね」
執務のできない執務室で、クローザは監視している憲兵に聞こえるように嫌味ったらしくボイドにそう語りかける。
今のクローザは、筆一本握ることすら許されていない。
食事も憲兵の決めたものを決まった時間、決まった場所で摂ることを強要され、用を足すときさえ同性の憲兵に同行しなければならないという状態であった。
それはクローザだけでなく、配下一人一人全員に強要されていることであり、今いる建物がそのまま監獄に変わっているのと同じである。
クローザがこれ見よがしにため息をつこうが、嫌味を口からねちねちと発しようとが、監視する憲兵達は一言も返すことはない。クローザ達が禁止されていることを勝手に行わない限りは、ただ置物のように立っているだけである。
一体なぜこのようなことが突然起きたのか。何を聞いてもビリーは「上からの指示」としか答えなかったが、クローザには何となく予想はついていた。
帝国の第四皇子がシュウに対して何かしらの動きを見せているという情報・・・それと同時にクローザの拘束。それらを結び合わせると、近々シュウに対して何らかの行動に出ることが予想された。
(組織というより、私自身の動きを徹底的にマークしたいんでしょうね)
恐らく皇子がクローザを拘束しているのは、彼女がシュウの協力者となって妨害するだろうことを予想してのことだろう。
今のクローザは業務から何から全てが禁止されており、寝る食う以外のことが行える状況ではないので、シュウに対して増援どころか警告一つ送ってやれない。
(シュウ・・・無事でいて・・・!)
クローザは動くに動けない今の状況を、とても歯がゆく思いながら爪を噛んだ。
10
お気に入りに追加
206
あなたにおすすめの小説
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる