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フローラの圧力
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フローラから発せられる重苦しいほどの圧力は、何故かトールにダイレクトにぶつけられているようであった。
(お、俺、何かしたか・・・?)
心当たりがなかったトールは半ばパニックになったが、それでも一つだけわかることがあった。
それは危険察知に特化したトールの本能が、目の前で上機嫌そうな微笑みを浮かべるフローラを恐れているということだ。
何故かはわからないが、フローラはトールに対して敵意のようなものを抱いている。それはトールが捕虜にされたばかりの時以上のものだった。
「いえ、別に変わったことのない普通の会話ですよ。これからのことを話していました」
フローラから不穏な空気を感じ取ったものの、直接圧を向けられたわけではないだろうシュウは、トールと違いすぐに気を持ち直し、普通にフローラの質問に答えた。
『女難』の話をすると、まるでフローラが諸悪の根源のように思っていると言っているみたいなので、シュウはそのことについては一旦伏せる。実際女難の諸悪の根源なのは間違いないのであるが。
「そうなんですね。男の方二人だけでヒソヒソお話されていると、何か悪だくみでもしているのかと思ってしまいます」
悪戯っぽく笑って言うフローラに、シュウは乾いた笑みしか返せない。
「それで、これからのことって何ですか?」
「そのままですよ。魔物じじいの研究が終わった先のことです。方向性についてトールから一つ意見をいただきました。参考にさせていただこうかと」
「そうなのですね。私はシュウ様とご一緒できるなら、どこで何をすることになろうとも、何も言うことはありません」
フローラがにっこりと笑ってそう言うと、シュウも思わず苦笑いをして返すが、内心は若干の心苦しさを感じた。
(『女難』の解決のために魔黒の森なんていう危険な場所に同行してくれなんて、どんな顔をして下げて言ったら良いのか・・・)
言ったらフローラはどんなリアクションをするだろうか?
かと言っていく場所がいく場所だけに黙り続けているわけにもいかない。
シュウが困っていると
「それよりシュウ様。そろそろあの・・・おたのしみのほうを・・・」
体をもじもじさせて、フローラが上目遣いで言った。
ここでシュウはハッとして、弾かれたように椅子から立ち上がりだす。
クローザのことでのゴタゴタでフローラに不安な思いをさせたことのお詫びも込めて、今夜は彼女の気が済むままに情事に励む約束をしていたのだ。
「そうでしたね。私もこれから急いで湯浴みをしてくることにしましょう」
おたのしみをすることの喜びと、とりあえず難しいことはあとで考えよう的な逃避もあって、シュウはいそいそと湯浴みに向かっていくのだった。
あとには笑顔で見送るフローラと、圧と情事をほのめかす発言で気まずそうにしているトールが残った。
(お、俺、何かしたか・・・?)
心当たりがなかったトールは半ばパニックになったが、それでも一つだけわかることがあった。
それは危険察知に特化したトールの本能が、目の前で上機嫌そうな微笑みを浮かべるフローラを恐れているということだ。
何故かはわからないが、フローラはトールに対して敵意のようなものを抱いている。それはトールが捕虜にされたばかりの時以上のものだった。
「いえ、別に変わったことのない普通の会話ですよ。これからのことを話していました」
フローラから不穏な空気を感じ取ったものの、直接圧を向けられたわけではないだろうシュウは、トールと違いすぐに気を持ち直し、普通にフローラの質問に答えた。
『女難』の話をすると、まるでフローラが諸悪の根源のように思っていると言っているみたいなので、シュウはそのことについては一旦伏せる。実際女難の諸悪の根源なのは間違いないのであるが。
「そうなんですね。男の方二人だけでヒソヒソお話されていると、何か悪だくみでもしているのかと思ってしまいます」
悪戯っぽく笑って言うフローラに、シュウは乾いた笑みしか返せない。
「それで、これからのことって何ですか?」
「そのままですよ。魔物じじいの研究が終わった先のことです。方向性についてトールから一つ意見をいただきました。参考にさせていただこうかと」
「そうなのですね。私はシュウ様とご一緒できるなら、どこで何をすることになろうとも、何も言うことはありません」
フローラがにっこりと笑ってそう言うと、シュウも思わず苦笑いをして返すが、内心は若干の心苦しさを感じた。
(『女難』の解決のために魔黒の森なんていう危険な場所に同行してくれなんて、どんな顔をして下げて言ったら良いのか・・・)
言ったらフローラはどんなリアクションをするだろうか?
かと言っていく場所がいく場所だけに黙り続けているわけにもいかない。
シュウが困っていると
「それよりシュウ様。そろそろあの・・・おたのしみのほうを・・・」
体をもじもじさせて、フローラが上目遣いで言った。
ここでシュウはハッとして、弾かれたように椅子から立ち上がりだす。
クローザのことでのゴタゴタでフローラに不安な思いをさせたことのお詫びも込めて、今夜は彼女の気が済むままに情事に励む約束をしていたのだ。
「そうでしたね。私もこれから急いで湯浴みをしてくることにしましょう」
おたのしみをすることの喜びと、とりあえず難しいことはあとで考えよう的な逃避もあって、シュウはいそいそと湯浴みに向かっていくのだった。
あとには笑顔で見送るフローラと、圧と情事をほのめかす発言で気まずそうにしているトールが残った。
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