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女難の男 ×2 その5

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「俺はアンタに浄化をすることを断固として勧める」


自分に女難の相が纏わりついていると聞いて、急に得体の知れない不安感に襲われていたシュウはトールの言葉に前のめりになって聞き入っている。

シュウは静かにスローライフを送りたい。だが、このままトールが言うように災難が続くというのであれば、スローライフどころか生きていくことさえ難しいことになるのではないか?そう思えてならなかった。
だから、トールの言葉はシュウにとって救いの言葉そのものであった。


「浄化と言ってもピンと来ないだろう?だが、かつては俺もアンタと同じように凶悪な女難の相があったんだが、ある人にそれを浄化してもらう方法を聞いて、そして実行したんだ。その結果・・・前よりだいぶマシになったぜ」


「マシ・・・?完全に無くならないのですか?」


シュウはトールの話を聞いて少しばかりげんなりした。
気の持ちようなのではないか?と、一気に話が微妙なものになったからだ。


「まぁ聞けって。浄化する前は嫁達が一月に一度はやらかして死にかけたが、今じゃそういうのは年に一度あるかないかだ。浄化することに大きな意味があるんだよ」


「嫁?死にかけ?しかもまだ継続中?貴方は一体どんな生活をしているんですか!?」


シュウはこれまでにいろいろな人間を見て来たので、トールの顔や目を見れば、彼が本気で言っているのか冗談で言っているのかはわかるつもりだった。


(ほ、本気だ・・・)


シュウから見て、トールが冗談みたいな話を真剣に言っていることがわかった。


「俺はこの話をして、俺と同じ女難に苦する男を何人も救ってきたつもりだ。言う通りにせずに死んでしまったやつも何人もいる」


「ひぃっ」


残念なことにこれも真剣に言っていたので、シュウは思わず悲鳴を漏らす。

こうまで話を聞くと、シュウとてトールの言う通りにしないとなんともすっきりしない気持ちが芽生えた。
トールが苦労人なのは捕虜にする際に脳の中身を読み取ったことから、嘘ではないことは知っている。そのトールがこのままではシュウが多難により死ぬというのだから、きっと本当にそうなるのかもしれないと思った。


「さて、浄化の方法を教えよう。まず『魔黒の森』という所にあるバルマ湖の畔にフローラちゃんが待機した上でアンタが中に飛び込むんだ。そうすると湖の女神がアンタを拾い、湖面に浮上する。女神がフローラちゃんに『貴方が落としたのは女難で汚れた男ですか?それとも浄化され綺麗になった男ですか?』と問う。そうしたらフローラちゃんが『後者です』と答える。それだけだ」


にっこりと笑いながらそう言ったトールを見て、シュウは「どこかで聞いたような話だな」と思った。
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