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女難の男 ×2 その4
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「ちゃんと思い出してみろよ。今まで女関連で大変な目に遭ったことないか?フローラちゃんとのことも含めてだ」
エピソードの詳細を聞けたわけではないが、チラホラ聞いた中で既にザ・女難と呼べる男であるトールにそう言われると、シュウはなんとも自分の認識に甘さがあったのではないかと思い始めた。
そして疑いを持ちながら考えてみると、元婚約(内定)者レーナのこともある意味で人生を振り回されたのだからこれも一つの女難なのだろうかと思いついた。
ルーシエとは一旦離れたが、今後何かしら縁があってまた何かに巻き込まれる可能性もゼロではなかった。彼女の能力が能力だけに。
そして何よりフローラとのことは自分で決心してのことだからカウントしないだろうとは思っていたが、客観的にみれば一応女難だ。
「あと何か浅黒くてうるさい男が『妹がどうとか』って言ってただろ?自分が気付いてないだけで、何かあったんじゃねぇか?アレの妹がアンタに懸想していたとか」
「あれは全然心当たりありませんよ!普通懸想されるだけであそこまで執着されますか?あれだけ殺意を向けられるようなことなんて、私はしていない!あれは誰か他の人間と勘違いしているのです!」
「いや・・・あれだけの執念・・・とても人違いには見えなかったが・・・女遊びで心当たりないのか?」
「・・・ありませんよ。・・・ない。・・・ないはずです・・・ないよね?きっとない・・・」
ボイドの妹云々については、シュウも本当に心当たりが無かった。
が、どうにも記憶力に自信がなく歯切れが悪くて「やっぱり何かあるかもしれないんじゃねぇか」とトールは呆れ顔になる。
しかし、シュウには少なくともボイドが言っていたような、女に恨まれるようなことをした記憶は頭のどこを探しても見つからなかった。
ただ、シュウは人助けと称して様々な悪を殲滅した過去がある。
大義名分を利用して、自身の体に燻る暴力的衝動を存分にぶつけていたという到底褒められたようなものではない行いだ。
もしかしたらその潰した相手の中にその妹がいたのかもしれない・・・シュウはその可能性についてもチラリと考えた。
「・・・あ」
朧気ながら記憶の底に一つの心当たりが浮かんで見え、シュウは思わず声を上げた。
「昔、山賊か何かだったはねっ返りの強い少女を一人、懲らしめたことがあるような・・・」
シュウの記憶の中にある少女は、瞬足の使い手だった。
そう、まさにボイドのそれに近いような・・・
えぇ・・・?まさか、とシュウが顔を青ざめさせる。
「心当たりがあったようだな」
シュウのリアクションを見て、トールがニヤリと笑った。
「『あんなことくらいで?』とか思ってるだろ?アンタに憑りついてる女難の相ってのは、そういうものなんだ。ふとした僅かな縁でも、気が付いたら巻き付いて雁字搦めになることがある。そのテの縁がある女と会ったら死ぬまで憑りつかれ、不幸に見舞われる。アンタはその女難を祓わなきゃ・・・多分長生き出来ねぇ」
シュウはゴクリと生唾を飲み、トールの次の言葉を待った。
エピソードの詳細を聞けたわけではないが、チラホラ聞いた中で既にザ・女難と呼べる男であるトールにそう言われると、シュウはなんとも自分の認識に甘さがあったのではないかと思い始めた。
そして疑いを持ちながら考えてみると、元婚約(内定)者レーナのこともある意味で人生を振り回されたのだからこれも一つの女難なのだろうかと思いついた。
ルーシエとは一旦離れたが、今後何かしら縁があってまた何かに巻き込まれる可能性もゼロではなかった。彼女の能力が能力だけに。
そして何よりフローラとのことは自分で決心してのことだからカウントしないだろうとは思っていたが、客観的にみれば一応女難だ。
「あと何か浅黒くてうるさい男が『妹がどうとか』って言ってただろ?自分が気付いてないだけで、何かあったんじゃねぇか?アレの妹がアンタに懸想していたとか」
「あれは全然心当たりありませんよ!普通懸想されるだけであそこまで執着されますか?あれだけ殺意を向けられるようなことなんて、私はしていない!あれは誰か他の人間と勘違いしているのです!」
「いや・・・あれだけの執念・・・とても人違いには見えなかったが・・・女遊びで心当たりないのか?」
「・・・ありませんよ。・・・ない。・・・ないはずです・・・ないよね?きっとない・・・」
ボイドの妹云々については、シュウも本当に心当たりが無かった。
が、どうにも記憶力に自信がなく歯切れが悪くて「やっぱり何かあるかもしれないんじゃねぇか」とトールは呆れ顔になる。
しかし、シュウには少なくともボイドが言っていたような、女に恨まれるようなことをした記憶は頭のどこを探しても見つからなかった。
ただ、シュウは人助けと称して様々な悪を殲滅した過去がある。
大義名分を利用して、自身の体に燻る暴力的衝動を存分にぶつけていたという到底褒められたようなものではない行いだ。
もしかしたらその潰した相手の中にその妹がいたのかもしれない・・・シュウはその可能性についてもチラリと考えた。
「・・・あ」
朧気ながら記憶の底に一つの心当たりが浮かんで見え、シュウは思わず声を上げた。
「昔、山賊か何かだったはねっ返りの強い少女を一人、懲らしめたことがあるような・・・」
シュウの記憶の中にある少女は、瞬足の使い手だった。
そう、まさにボイドのそれに近いような・・・
えぇ・・・?まさか、とシュウが顔を青ざめさせる。
「心当たりがあったようだな」
シュウのリアクションを見て、トールがニヤリと笑った。
「『あんなことくらいで?』とか思ってるだろ?アンタに憑りついてる女難の相ってのは、そういうものなんだ。ふとした僅かな縁でも、気が付いたら巻き付いて雁字搦めになることがある。そのテの縁がある女と会ったら死ぬまで憑りつかれ、不幸に見舞われる。アンタはその女難を祓わなきゃ・・・多分長生き出来ねぇ」
シュウはゴクリと生唾を飲み、トールの次の言葉を待った。
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