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女難の男 ×2
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「はぁ・・・大変な目に遭った・・・」
シュウは頬をげっそりとやつれさせ、やや顔を青白くさせて呟いた。
元カノに呼び出されたと思ったら、復縁を迫られたり、その側近からはわけのわからない恨みをぶつけられ、そして何より嫉妬に狂ったフローラが酒に飲まれて暴走してやってきた。
半日もしないうちにこれだけのイベントが目白押しとなれば、疲れないほうがおかしいといえばおかしかった。
「元はと言えばアンタが悪いんじぇねぇか・・・元カノとはいえ、ほいほい呼び出しなんかに応じるからこんなことになるんだよ」
嘆いているシュウに、トールが辛辣に述べる。
トールの言うことはもっともだ。そもそもシュウがクローザの呼び出しを無視していたら、こんなことにはならなかったのである。
「うっ・・・それはそうですが・・・」
それが十分にわかっているシュウは、こめかみを押さえて俯き唸る。
チラシを見たときに、それを無視しようと思えば無視できた。
だが、強引にフローラを振り切ってでもクローザの呼び出しに応じてしまった。思えば事情くらいは話しても良かったのかも・・・とシュウは考えるが
「シュウ様は優しいお方です。クローザさんと過去に何があろうとも、暗号を使ってまで呼び出されたら、流石に応じないわけには行かなかったのでしょう」
助け船を出したのは、意外にもフローラだった。
「私の知らない二人だけの絆があっても、それは仕方がないです。幼馴染ですからね・・・」
「フローラ・・・」
疑心暗鬼と酒で暴走こそしてしまったが、冷静になってシュウの身に寄り添って考えてみれば、フローラも彼の気持ちがいくらかは理解できる余地があった。
「ですが、もう金輪際私に内緒で二人で会うのだけはやめてくださいよ?どうしても会いたいのなら、私が同席します!シュウ様がクローザさんと切れたのはわかりますが、それでもまだ迫られたら今度こそ情に絆されて万が一・・・ってこともあり得ないとも限りませんから」
「いえ、流石にそんなことは・・・」
「シュウ様!お願いしますね」
「は、はい・・・」
そしてシュウに負い目があるのを良い事に、ここぞとばかりに正妻気取りで言質を取るフローラ。
それを見て「尻に敷かれてんなぁ」と苦笑いを浮かべたトールだったが、ここで唐突にあることに気がついた。
(・・・なっ、こ、これは・・・)
ある意味女運が無く、女のために苦労の多い人生を送っているトールだが、シュウからはそんな自分よりも遥かに大きな女難の相が見えることに。
心なしか、その女難の気配が黒い靄として視覚化されているようにすらトールには感じられる。
勘でしかなかったが、トールには確信めいた予感があった。
(この男・・・今以上に女に苦労することになる気がする・・・!)
フローラとクローザという癖の強い女に先ほど振り回されたばかりだが、それ以上の苦労が降りかかると直感する。
あまりのことに憐れんだトールは、女で苦労している先輩としてシュウにフローラに内緒で話しをしようと思った。
シュウは頬をげっそりとやつれさせ、やや顔を青白くさせて呟いた。
元カノに呼び出されたと思ったら、復縁を迫られたり、その側近からはわけのわからない恨みをぶつけられ、そして何より嫉妬に狂ったフローラが酒に飲まれて暴走してやってきた。
半日もしないうちにこれだけのイベントが目白押しとなれば、疲れないほうがおかしいといえばおかしかった。
「元はと言えばアンタが悪いんじぇねぇか・・・元カノとはいえ、ほいほい呼び出しなんかに応じるからこんなことになるんだよ」
嘆いているシュウに、トールが辛辣に述べる。
トールの言うことはもっともだ。そもそもシュウがクローザの呼び出しを無視していたら、こんなことにはならなかったのである。
「うっ・・・それはそうですが・・・」
それが十分にわかっているシュウは、こめかみを押さえて俯き唸る。
チラシを見たときに、それを無視しようと思えば無視できた。
だが、強引にフローラを振り切ってでもクローザの呼び出しに応じてしまった。思えば事情くらいは話しても良かったのかも・・・とシュウは考えるが
「シュウ様は優しいお方です。クローザさんと過去に何があろうとも、暗号を使ってまで呼び出されたら、流石に応じないわけには行かなかったのでしょう」
助け船を出したのは、意外にもフローラだった。
「私の知らない二人だけの絆があっても、それは仕方がないです。幼馴染ですからね・・・」
「フローラ・・・」
疑心暗鬼と酒で暴走こそしてしまったが、冷静になってシュウの身に寄り添って考えてみれば、フローラも彼の気持ちがいくらかは理解できる余地があった。
「ですが、もう金輪際私に内緒で二人で会うのだけはやめてくださいよ?どうしても会いたいのなら、私が同席します!シュウ様がクローザさんと切れたのはわかりますが、それでもまだ迫られたら今度こそ情に絆されて万が一・・・ってこともあり得ないとも限りませんから」
「いえ、流石にそんなことは・・・」
「シュウ様!お願いしますね」
「は、はい・・・」
そしてシュウに負い目があるのを良い事に、ここぞとばかりに正妻気取りで言質を取るフローラ。
それを見て「尻に敷かれてんなぁ」と苦笑いを浮かべたトールだったが、ここで唐突にあることに気がついた。
(・・・なっ、こ、これは・・・)
ある意味女運が無く、女のために苦労の多い人生を送っているトールだが、シュウからはそんな自分よりも遥かに大きな女難の相が見えることに。
心なしか、その女難の気配が黒い靄として視覚化されているようにすらトールには感じられる。
勘でしかなかったが、トールには確信めいた予感があった。
(この男・・・今以上に女に苦労することになる気がする・・・!)
フローラとクローザという癖の強い女に先ほど振り回されたばかりだが、それ以上の苦労が降りかかると直感する。
あまりのことに憐れんだトールは、女で苦労している先輩としてシュウにフローラに内緒で話しをしようと思った。
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