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シュウ争奪戦の決着
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「フローラは、『少し手のかかる後輩』くらいであることが私には望ましいですね。そっちの方が可愛い。『完璧な聖女』だった頃は、正直なところ少し寂しく思えたものです。頭を撫でることができませんでしたから・・・なんてね」
シュウは苦笑いをしながら、呆然とするフローラを見つめてそう続けた。
「フローラの完璧なガイドの元に安全に逃避行するよりは、あれこれトラブルがあったほうが面白い。世間では大騒ぎされているほどの駆け落ちなのに、リスクマネジメントから何から後輩に任せきりで、年上の私が何ら苦なく過ごせていたら、それはそれで情けないでしょう?確かにこれまでにはきわどい局面もありましたが、それをフローラが気にかける必要はないのです。そもそもが大変な逃避行になることは、私とて納得した上で貴方と一緒にいるのですから」
シュウの言葉に、フローラの脳裏に駆け落ちすると決めた日の出来事が浮かび上がった。
ともに地獄へ。
駆け落ちするにいたり、やがて訪れるだろう苦難も、二人一緒に分かち合い乗り越えよう。
そう誓ったことをフローラは思い出した。
「完璧で私をきっちり守ってくれるフローラよりも、やはり私が守る余地があるほど危なっかしくて、成長を見て楽しめる程度に未熟な方が・・・うん、まだフローラはそっちのほうが私は良いと思いますね」
優しい笑みを浮かべてシュウはそう言った。
「決着!」と、ギャラリー達は心の中で叫ぶ。
どう見ても今のシュウとフローラの間に、もはやクローザが挟まるスペースは無さそうだと誰もが気付いたのだ。
「成長を見て楽しむ・・・胸の話ですか?」
「なんでそうなる」
フローラだけは何故か意味を曲解して、照れながら胸元を隠すしぐさをする。
シュウがそれを見てげんなり応対していると、やや表情に焦りの色が滲ませたクローザがずいっとシュウに顔を寄せた。
「シュウ。貴方本気なの?私に任せてくれれば、今日からでも追われる身から解放されるよう手を打ってあげられるのよ。それができるのは、そこのお嬢さんじゃなくて私なのよ?」
だから私を選びなさい。
クローザは暗にそう示したが、シュウは苦笑いを浮かべて首を横に振った。
「平穏な生活は魅力的ですが、それでもやはり誰かの手の中でそれを享受するのは私の性には合いませんね。いろいろと長年少なからずトラブル続きの日を送っていたせいか、少しばかりはスパイスがないと物足りないと考えてしまうようです」
シュウの脳裏には『光の戦士達』にいたときの命の危険と隣り合わせの冒険のこと、レウス司教の無茶振りに苦労し続けた神官生活のことが浮かび上がってきていた。
苦労ばかりで凡そ人並の幸せとは縁がなかった気がするが、それでも思い返してみれば充実していたなと考える。
そんな風に考えられるようになったのは、国レベルのお尋ね者になってしまっているという今の状況に身を置かれているからかもしれないが。
「マゾなの?変態なの?おかしいじゃないそんなの!」
「・・・他にもっと言い様はありませんか?」
シュウは苦笑いをしながら、呆然とするフローラを見つめてそう続けた。
「フローラの完璧なガイドの元に安全に逃避行するよりは、あれこれトラブルがあったほうが面白い。世間では大騒ぎされているほどの駆け落ちなのに、リスクマネジメントから何から後輩に任せきりで、年上の私が何ら苦なく過ごせていたら、それはそれで情けないでしょう?確かにこれまでにはきわどい局面もありましたが、それをフローラが気にかける必要はないのです。そもそもが大変な逃避行になることは、私とて納得した上で貴方と一緒にいるのですから」
シュウの言葉に、フローラの脳裏に駆け落ちすると決めた日の出来事が浮かび上がった。
ともに地獄へ。
駆け落ちするにいたり、やがて訪れるだろう苦難も、二人一緒に分かち合い乗り越えよう。
そう誓ったことをフローラは思い出した。
「完璧で私をきっちり守ってくれるフローラよりも、やはり私が守る余地があるほど危なっかしくて、成長を見て楽しめる程度に未熟な方が・・・うん、まだフローラはそっちのほうが私は良いと思いますね」
優しい笑みを浮かべてシュウはそう言った。
「決着!」と、ギャラリー達は心の中で叫ぶ。
どう見ても今のシュウとフローラの間に、もはやクローザが挟まるスペースは無さそうだと誰もが気付いたのだ。
「成長を見て楽しむ・・・胸の話ですか?」
「なんでそうなる」
フローラだけは何故か意味を曲解して、照れながら胸元を隠すしぐさをする。
シュウがそれを見てげんなり応対していると、やや表情に焦りの色が滲ませたクローザがずいっとシュウに顔を寄せた。
「シュウ。貴方本気なの?私に任せてくれれば、今日からでも追われる身から解放されるよう手を打ってあげられるのよ。それができるのは、そこのお嬢さんじゃなくて私なのよ?」
だから私を選びなさい。
クローザは暗にそう示したが、シュウは苦笑いを浮かべて首を横に振った。
「平穏な生活は魅力的ですが、それでもやはり誰かの手の中でそれを享受するのは私の性には合いませんね。いろいろと長年少なからずトラブル続きの日を送っていたせいか、少しばかりはスパイスがないと物足りないと考えてしまうようです」
シュウの脳裏には『光の戦士達』にいたときの命の危険と隣り合わせの冒険のこと、レウス司教の無茶振りに苦労し続けた神官生活のことが浮かび上がってきていた。
苦労ばかりで凡そ人並の幸せとは縁がなかった気がするが、それでも思い返してみれば充実していたなと考える。
そんな風に考えられるようになったのは、国レベルのお尋ね者になってしまっているという今の状況に身を置かれているからかもしれないが。
「マゾなの?変態なの?おかしいじゃないそんなの!」
「・・・他にもっと言い様はありませんか?」
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