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今カノ(?) 対 元カノ その2

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「うふ・・・うふふふふふふふふふふ」


フローラに侮辱されて苛立ちの表情を見せた次の瞬間、クローザは先ほどのフローラのようにニンマリと口角を上げたかと思うと、声に出して含み笑いをし始めた。


「ひいっ・・・!」


「く、クローザ様が・・・!」


それを見ていた周囲のクローザの配下達は、サッと顔を青ざめさせる。
クローザの怒りのゲージが一定のレベルを超えたとき、クローザはこうして笑って心の均衡を保つようにするのを彼らは知っているからだ。
そしてその怒りの矛先を向けられた者は、例外なくその溢れそうなほどの怒りを具現化するような悲惨な報復に遭っていた。

一説ではクローザがこのように笑っているとき、「コイツ、どうやって始末してやろうかしら」とあれこれ残酷で恐ろしいことを考え、楽しさのあまり笑ってしまっていると言われている。

今のクローザはフローラに対して死ぬほどキレている。
だが、フローラとて酒が入ってタガが外れており、何をしでかすかわからない状態だ。

この二人、混ぜるな危険。
今、フローラとクローザが争えば、恐ろしいことになるのではないか--

シュウもボイドを含めた配下達も、二人の様子を固唾を飲んで見守っていた。


「・・・じゃないですよ!」


少なくともシュウはただ見守って良いだけの立場ではない。フローラとクローザが取りあっている人物・・・思いっきり当事者だ。
二人が争いだし、何かとんでもないことが起きるかもという懸念がある以上、戦いになる前に二人を宥めて止めなければならないとシュウは考えていた。それが責務であると。


「二人とも、まずは落ち着いてくださ」「シュウ様ぁ、今は黙っていてください」「黙っていなさい」


睨みあいをするフローラ達を宥めようと声をかけたシュウだったが、フローラ達に即座に言われ、「あ、はい」と即座に押し黙る。
二人とも静かにではあるが、言葉に底冷えするようなほどの圧が込められており、シュウは何も言えなくなってしまったのだ。


(馬鹿な・・・『光の戦士達』で何年も魔族と戦い、あらゆる修羅場を潜ってきたこの私が・・・!?)


生か死かの鉄火場を何度も経験したはずのシュウですら、全く動けないほどの恐怖。
それをフローラ達から感じたことに、少なからずショックを受け呆然とするシュウ。

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

誰もが口を閉ざす、一瞬とも永遠とも言える間に流れる重苦しい空気の中で続く沈黙の後、最初に口を開いたのはクローザだった。
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