上 下
374 / 455

平穏

しおりを挟む
ところは戻り、魔物じじいの家ではシュウとフローラが変わらず毎晩好き放題におたのしみにふけている・・・光景に変化が訪れた。


「昨夜ハおたのしみでしたネ」


「あ、はい・・・」


「今夜モおたのしみでスカ?精力が付く物ヲをメニューに入れておきまショウ」


「お、おかまいなく・・・」


家の奥から出てきたオーガ君は、シュウ達の身の回りの世話を買って出てくれるようになった。
流石に家に世話になっている身でそれは・・・と、流石に親しいとはいえ他人様の家で性行為にふけるほど図太いシュウ達ですら遠慮しようとしても「そういうワケには参りませン」と頑なに譲らなかった。

オーガ君は魔物じじいに飼われている魔物だ。世間的には非公認で飼われている魔物だから、当然ながら外出が出来ない。
それ故に、普段身の回りの世話をする相手である魔物じじいが一度研究室に籠ってしまうと、日課の掃除以外にやることが無くなってしまうのだ。
魔物じじいの地下迷宮を散歩して回ったところで景色がそうそう変わるわけでもない。つまりは・・・オーガ君はとても暇だった。

シュウ達のような滅多に来ない客人が訪れたことで、オーガ君はここぞとばかりにおもてなしをしたくて仕方がないのだ。

情事の後の部屋の後始末に始まり、おたのしみを盛り上げるために献立を考えたり、果ては部屋に香を焚いたり・・・などと至れり尽くせりのオーガ君のおもてなしに、流石にシュウも恥を感じた。


「フローラ・・・あの、しばらくおたのしみは控えておきましょう・・・」


「そ、そうですね・・・」


ある朝の食卓で、ついにシュウ達は居たたまれなくなり、夜のおたのしみを控えるという決断を下した。


「ていうか、そんなものもっと早くに決断を下すべきだろ。そもそもなんで他人様の家で堂々とセッ〇スしてんだよ。おかしいんじゃないのか?」


同じ食卓でオーガが作った朝食を摂りながら、呆れ顔でそう言ったのはトールだ。完膚無きまでに正論である。


「おかしいのは普通に私達と一緒に食事をしてる貴方のほうではないですか!」


シュウのツッコミに対し、トールで鼻で笑った。


「俺は囚われの身だ。ちゃんと身を弁えているさ・・・あ、味噌汁お代わりで」


「どこが弁えているんですか!」


トールは鎖付きの首輪こそつけられているものの、普通にシュウ達と食事を摂るようになっている。彼が言うように囚われの身であるので外出は出来ないが、それ以外は比較的自由にのびのびと寛いでいた。
「逃げないのであれば、必要以上に苦しめる必要はないデショウ」というオーガ君の方針によりそうなったのだが、単純にもてなす相手が一人でも多いほうがオーガ君は嬉しいからではないか?とシュウは考えている。


「本当にこんな首輪なんかで、この人の動きを制限できるのでしょうか?きちんと牢屋にでも入れておいたほうが・・・」


フローラの指摘に、トールは「チッチッ」と舌を鳴らして首を横に振る。フローラはちょっとイラッとした。


「この首輪・・・何だかわかるか?首輪に扮したミミックという魔物なんだ。俺が変なことをすれば、即座に首が食いちぎられるようになっているようだ。この鎖なんてオマケみたいなものさ。俺が何かしなくても、気まぐれでいつ俺の首と体がおさらばするかもわからない。常に死と隣り合わせの恐怖が付きまとう、生きた心地のしない状況だ・・・こうしている今でも気が気でないさ・・・あぁ~・・・」


恐怖が付きまとうと言いながら、恍惚した表情で言うトールは、この場にいる誰よりも現状を満喫しているようであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ニューハーフな生活

フロイライン
恋愛
東京で浪人生活を送るユキこと西村幸洋は、ニューハーフの店でアルバイトを始めるが

処理中です...