356 / 452
罠 その2
しおりを挟む
(失敗した!まさかこの俺が失敗だと!?)
トールには天賦の才があったのか、これまで自分でも面白いくらい簡単に依頼を達成出来ていた。
若干の計画の変更などはあっても、最終的に目的を果たせないことは無かった。
しかし、今はどうだ?
(動けんっ・・・!)
どれだけ力を入れてもトールを縛り付けるフローラの拘束魔法《バインド》は振りほどけそうになく、焦燥のあまり思考が定まらなくなってくる。
(こんなときはどうすればいい・・・!?状態異常解除の魔法・・・?習得してから何年も使っていないが、こんな強力な拘束魔法に効くのか??それくらいだったら俺の筋肉でもって無理矢理にでも拘束魔法を撃ち破った方が・・・!筋肉は全てを解決するというし・・・)
どうにかピンチを脱しようと、あれこれ思考した末に変な結論が出ようとしたその時、トールの真後ろから声が発せられた。
「ふむ、抜刀からの動きは本当に素晴らしいものがありましたが、どうやら反撃をされることには慣れていらっしゃらないようですね」
「!?」
トールが気が付かぬ間に、真後ろにシュウが立っていた。
体が動かせず視界に収めることは出来ないが、声だけは後頭部辺りから聞こえて来る感覚に、トールはゾワリとする。
(二、三十代くらいの男の声・・・まさか・・・コイツがシュウか!?)
ターゲットと思わしき男が間近に迫っているというのに、まさに手も足も出せない状態であることに、トールは歯がゆい気持ちになる。
「まさか、本当に襲撃してくる者が出て来るとは・・・ここがどういう所かわかっているのですかね。あれこれ大問題を引き起こすことになるんですよ?」
呆れ顔でシュウはトールの手から剣をひったくる。
そしてそのまま彼の体をまさぐり、短剣、隠し投げナイフ、毒針仕込みの指輪までトールの持っていた武器という武器を手際よく剥がして無力化していく。
「これはまた準備万端な・・・随分腕の良い刺客のようだ。道具も一級品です。罠にあっさりかかったのは僥倖でしたね。まともにぶつかるのは避けたい相手です」
「一応念のため、シュウ様の言う通りにバインドの罠を仕掛けておいて良かったですね」
「えぇ、まさか本当に襲撃者が出てきて、そしてこうもあっさり引っかかると思いませんでしたが。挫折を知らないエリートみたいなものなのでしょうか」
シュウとフローラの会話を聞いて、自分が罠にかかったことに気が付いたトール。
あまりの赤っ恥に顔を真っ赤にするが、その次にシュウが言った言葉に今度は逆に顔を真っ青にするのであった。
「さて、それではあれこれ聞きだすために、楽しい楽しい拷問と行きましょうか」
トールには天賦の才があったのか、これまで自分でも面白いくらい簡単に依頼を達成出来ていた。
若干の計画の変更などはあっても、最終的に目的を果たせないことは無かった。
しかし、今はどうだ?
(動けんっ・・・!)
どれだけ力を入れてもトールを縛り付けるフローラの拘束魔法《バインド》は振りほどけそうになく、焦燥のあまり思考が定まらなくなってくる。
(こんなときはどうすればいい・・・!?状態異常解除の魔法・・・?習得してから何年も使っていないが、こんな強力な拘束魔法に効くのか??それくらいだったら俺の筋肉でもって無理矢理にでも拘束魔法を撃ち破った方が・・・!筋肉は全てを解決するというし・・・)
どうにかピンチを脱しようと、あれこれ思考した末に変な結論が出ようとしたその時、トールの真後ろから声が発せられた。
「ふむ、抜刀からの動きは本当に素晴らしいものがありましたが、どうやら反撃をされることには慣れていらっしゃらないようですね」
「!?」
トールが気が付かぬ間に、真後ろにシュウが立っていた。
体が動かせず視界に収めることは出来ないが、声だけは後頭部辺りから聞こえて来る感覚に、トールはゾワリとする。
(二、三十代くらいの男の声・・・まさか・・・コイツがシュウか!?)
ターゲットと思わしき男が間近に迫っているというのに、まさに手も足も出せない状態であることに、トールは歯がゆい気持ちになる。
「まさか、本当に襲撃してくる者が出て来るとは・・・ここがどういう所かわかっているのですかね。あれこれ大問題を引き起こすことになるんですよ?」
呆れ顔でシュウはトールの手から剣をひったくる。
そしてそのまま彼の体をまさぐり、短剣、隠し投げナイフ、毒針仕込みの指輪までトールの持っていた武器という武器を手際よく剥がして無力化していく。
「これはまた準備万端な・・・随分腕の良い刺客のようだ。道具も一級品です。罠にあっさりかかったのは僥倖でしたね。まともにぶつかるのは避けたい相手です」
「一応念のため、シュウ様の言う通りにバインドの罠を仕掛けておいて良かったですね」
「えぇ、まさか本当に襲撃者が出てきて、そしてこうもあっさり引っかかると思いませんでしたが。挫折を知らないエリートみたいなものなのでしょうか」
シュウとフローラの会話を聞いて、自分が罠にかかったことに気が付いたトール。
あまりの赤っ恥に顔を真っ赤にするが、その次にシュウが言った言葉に今度は逆に顔を真っ青にするのであった。
「さて、それではあれこれ聞きだすために、楽しい楽しい拷問と行きましょうか」
10
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる