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罠 その2

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(失敗した!まさかこの俺が失敗だと!?)


トールには天賦の才があったのか、これまで自分でも面白いくらい簡単に依頼を達成出来ていた。
若干の計画の変更などはあっても、最終的に目的を果たせないことは無かった。

しかし、今はどうだ?


(動けんっ・・・!)


どれだけ力を入れてもトールを縛り付けるフローラの拘束魔法《バインド》は振りほどけそうになく、焦燥のあまり思考が定まらなくなってくる。


(こんなときはどうすればいい・・・!?状態異常解除の魔法・・・?習得してから何年も使っていないが、こんな強力な拘束魔法に効くのか??それくらいだったら俺の筋肉でもって無理矢理にでも拘束魔法を撃ち破った方が・・・!筋肉は全てを解決するというし・・・)


どうにかピンチを脱しようと、あれこれ思考した末に変な結論が出ようとしたその時、トールの真後ろから声が発せられた。


「ふむ、抜刀からの動きは本当に素晴らしいものがありましたが、どうやら反撃をされることには慣れていらっしゃらないようですね」


「!?」


トールが気が付かぬ間に、真後ろにシュウが立っていた。
体が動かせず視界に収めることは出来ないが、声だけは後頭部辺りから聞こえて来る感覚に、トールはゾワリとする。


(二、三十代くらいの男の声・・・まさか・・・コイツがシュウか!?)


ターゲットと思わしき男が間近に迫っているというのに、まさに手も足も出せない状態であることに、トールは歯がゆい気持ちになる。


「まさか、本当に襲撃してくる者が出て来るとは・・・ここがどういう所かわかっているのですかね。あれこれ大問題を引き起こすことになるんですよ?」


呆れ顔でシュウはトールの手から剣をひったくる。
そしてそのまま彼の体をまさぐり、短剣、隠し投げナイフ、毒針仕込みの指輪までトールの持っていた武器という武器を手際よく剥がして無力化していく。


「これはまた準備万端な・・・随分腕の良い刺客のようだ。道具も一級品です。罠にあっさりかかったのは僥倖でしたね。まともにぶつかるのは避けたい相手です」


「一応念のため、シュウ様の言う通りにバインドの罠を仕掛けておいて良かったですね」


「えぇ、まさか本当に襲撃者が出てきて、そしてこうもあっさり引っかかると思いませんでしたが。挫折を知らないエリートみたいなものなのでしょうか」


シュウとフローラの会話を聞いて、自分が罠にかかったことに気が付いたトール。
あまりの赤っ恥に顔を真っ赤にするが、その次にシュウが言った言葉に今度は逆に顔を真っ青にするのであった。


「さて、それではあれこれ聞きだすために、楽しい楽しい拷問と行きましょうか」
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