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恨む者 その3

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「シュウ・・・ようやくお前に復讐が出来るぜ」


執務室で一人、ようやくズボンをはいたマルスは、一人ほくそ笑みながら高価なソファに体を預けた。
そして虚空を見つめながら、もの思いにふける。

シュウに出し抜かれてから、マルスはシュウへの復讐のために教会内で出世することを決めた。
聖神教会とて聖人だけの集まりではない。むしろ俗物と言えるような人間は多数いる。たまたま敵対しただけで、どちらかと言えばシュウだってそちらの類だ。

そう言った俗物だらけの教会内では、それに見合うだけの金さえあれば出世することは難しくなかった。とはいえ目的を達するためには相当な金が必要だったが、教会内で手に入れた地位を利用して実家の商会に利益が渡るように忖度すると約束することで、マルスは実家から金を必要なだけ都合することが出来た。

アンドレアの教会は元々本部からの比較的行き届いておらず、腐敗が進んでいたこともあって、マルスは飛躍的な速度で出世する。
そしてアンドレアの教会内がマルスの自由になるようになると、元より乱れていた教会の風紀はより悪化。影響力のある教会の風紀の乱れに伴って、町の風紀も乱れに乱れ、シュウですら驚く今のアンドレアを形成していった。

金に物を言わせて領主すらも意のままに操れるようになったマルスは、アンドレアに置いて誰も逆らえない存在となり、どこまでも突き進むようになる。


「これか。シュウが駆け落ちしたとかいう記事は」


マルスは執務机の上に山積みにしてあった書類から一つひったくり、目を通す。
立場こそ司教だが、本来目を通すべき本部からの通達すら満足に見ていない体たらくであり、シュウの駆け落ちに関わる通達所ですら後から存在を知ったレベルだった。


「こ、これはっ・・・!」


マルスは写真付きの資料を見て、驚愕の声を上げた。
帝都の新聞社の記事からの抜粋だったが、それにはシュウとフローラの二人が映っている写真が載っていた。


「う、美しい・・・!」


マルスの目が行ったのはフローラの写真だった。元より美少女であるフローラの容姿は、マルスの好みそのものであったのだ。


「こんな可愛い子と駆け落ちしただなんてシュウ・・・!こいつどこまでムカツクんだよ!!」


権力は手に入れたが、未だパートナーは見つけていないマルスは、ますますシュウに憎しみを募らせる。
だが、ここでマルスは邪悪なことを思いついた。


「あっ・・・そうだ。シュウの前でこの子を抱いてやろう。泣いて悔しがるところを見てやるぞ。ひひっ、楽しみだなぁ・・・」


舌なめずりをして、想像を膨らせる。
泣いて縋らせ謝らせ、自分が誰を敵に回したのか、自分がどれだけ愚かだったのかを思い知らせた上で、フローラを手籠めにする。

そのときの光景を想像するだけで、マルスは股間をたぎらせていた。
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