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アンドレアの教会 その2
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「おい、今なんつった?」
部屋の主は動きを止めたまま、首だけダレウスに向けて訊ねる。
器用なやつだ・・・と思いつつ、ダレウスは再度口を開いた。
「シュウがこの町に入ったらしい、と言いましたぜ」
「おい本当か!」
男は女から体を離し、露わになった陰部を隠そうともせずダレウスに詰め寄った。
「え、あの、ちょっと、近寄らないで」
たった今までおたのしみに使っていた陰部を晒したまま近づかれ、それまで平静を装っていたダレウスも流石にヒいた。何かの拍子に陰部が触れたら凄く嫌だからである。
「おい、お前もう行っていいぞ」
男が女に向けてそう言うと、女は慌てた様子で部屋を出て行った。
後には部屋の主である男と、ダレウスだけ。
部屋の主の男は歳の頃は30中盤、そこそこの肥満体で、清貧を旨とするべき聖神教会の神官の悪しき手本のようなナリだった。
彼は、このアンドレアの聖神教会の一番の権力者である司教マルスである。
従来の聖神教会の神官の姿とはかけ離れた男だが、ある意味では秩序の乱れた教会の象徴らしい姿と言えるかもしれない。
ダレウスはマルスの側近として仕えていた。
「で、シュウがこの町に来たっていうのは本当か?」
「とりあえずズボンをはいてください」
「そんなことはどうでもいいっ!」
マルスは激昂し、執務机に拳を叩きつけた。
どうでも良くはないが、とりあえずダレウスは話が進まないので泣く泣く話を続けることにする。
「あらゆる角度からの情報から、シュウがこの町に来ていることは間違いなさそうです。早速ウチの若い者らと揉めたようで。目的は不明ですが、今は魔物じじいの家にいるみたいですがね」
「魔物じじい・・・?あぁ、あの忌々しいじじいか・・・」
魔物じじいの名を聞いて、マルスは忌々しげに呟いて爪を噛んだ。
「シュウ・・・!アイツだけは許さねえ!いつか借りを返してやろうと思ったが、まさかアイツからやってくるとはな。・・・だが、魔物じじいのとこにいるとあっちゃあ、すぐには手は出せねぇ・・・」
マルスはシュウに個人的な恨みがあった。それを晴らしたい気持ちがあるが、魔物じじいの家は不可侵の領域であり、現状では手も足も出すことが出来ず、マルスは歯がゆい気持ちを抱く。
「シュウと言えば聖女フローラと駆け落ちをしたなどと言う噂を聞きましたが、聖女を連れ戻すという名目で踏み込んでも良いのではないですか?」
脱走した聖女を連れ戻すという名分を利用して復讐を遂げれば良いというダレウスの提案にも、マルスは首を横に振る。
「駄目だ。教会の権力でも魔物じじいにだけは手を出せねぇ。世界中の権力者が関わってくる事案になるからな・・・」
「では当面は様子見ですか?」
「そうだ。常に監視を張り着かせろ。シュウだって追われる身だ・・・ずっとここにいるわけじゃねぇだろう。この町を離れて魔物じじいの庇護下を抜けるときがチャンスだ。それまでに腕利きをとにかく集めろ。奴は必ずぶっ殺す」
マルスは鼻息荒く、そうダレウスに命令した。
部屋の主は動きを止めたまま、首だけダレウスに向けて訊ねる。
器用なやつだ・・・と思いつつ、ダレウスは再度口を開いた。
「シュウがこの町に入ったらしい、と言いましたぜ」
「おい本当か!」
男は女から体を離し、露わになった陰部を隠そうともせずダレウスに詰め寄った。
「え、あの、ちょっと、近寄らないで」
たった今までおたのしみに使っていた陰部を晒したまま近づかれ、それまで平静を装っていたダレウスも流石にヒいた。何かの拍子に陰部が触れたら凄く嫌だからである。
「おい、お前もう行っていいぞ」
男が女に向けてそう言うと、女は慌てた様子で部屋を出て行った。
後には部屋の主である男と、ダレウスだけ。
部屋の主の男は歳の頃は30中盤、そこそこの肥満体で、清貧を旨とするべき聖神教会の神官の悪しき手本のようなナリだった。
彼は、このアンドレアの聖神教会の一番の権力者である司教マルスである。
従来の聖神教会の神官の姿とはかけ離れた男だが、ある意味では秩序の乱れた教会の象徴らしい姿と言えるかもしれない。
ダレウスはマルスの側近として仕えていた。
「で、シュウがこの町に来たっていうのは本当か?」
「とりあえずズボンをはいてください」
「そんなことはどうでもいいっ!」
マルスは激昂し、執務机に拳を叩きつけた。
どうでも良くはないが、とりあえずダレウスは話が進まないので泣く泣く話を続けることにする。
「あらゆる角度からの情報から、シュウがこの町に来ていることは間違いなさそうです。早速ウチの若い者らと揉めたようで。目的は不明ですが、今は魔物じじいの家にいるみたいですがね」
「魔物じじい・・・?あぁ、あの忌々しいじじいか・・・」
魔物じじいの名を聞いて、マルスは忌々しげに呟いて爪を噛んだ。
「シュウ・・・!アイツだけは許さねえ!いつか借りを返してやろうと思ったが、まさかアイツからやってくるとはな。・・・だが、魔物じじいのとこにいるとあっちゃあ、すぐには手は出せねぇ・・・」
マルスはシュウに個人的な恨みがあった。それを晴らしたい気持ちがあるが、魔物じじいの家は不可侵の領域であり、現状では手も足も出すことが出来ず、マルスは歯がゆい気持ちを抱く。
「シュウと言えば聖女フローラと駆け落ちをしたなどと言う噂を聞きましたが、聖女を連れ戻すという名目で踏み込んでも良いのではないですか?」
脱走した聖女を連れ戻すという名分を利用して復讐を遂げれば良いというダレウスの提案にも、マルスは首を横に振る。
「駄目だ。教会の権力でも魔物じじいにだけは手を出せねぇ。世界中の権力者が関わってくる事案になるからな・・・」
「では当面は様子見ですか?」
「そうだ。常に監視を張り着かせろ。シュウだって追われる身だ・・・ずっとここにいるわけじゃねぇだろう。この町を離れて魔物じじいの庇護下を抜けるときがチャンスだ。それまでに腕利きをとにかく集めろ。奴は必ずぶっ殺す」
マルスは鼻息荒く、そうダレウスに命令した。
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