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監視する者 その2
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アンドレアの実力者であるクローザがシュウを監視していたその時、同じようにシュウを監視している者がいた。
アドネイド辺境伯から遣わされたグレース隊である。
彼らのシュウ達の監視は、当然ながらアンドレアに到着してからも続いていた。
「アンドレアかぁ!俺、一度は行ってみたいと思ってたんよねぇ!」
「他のどこよりも女が安く買えて、それもいろんな女が来るって話じゃねぇの」
グレース隊の隊員達は、長らく監視の任務のために溜まるものが溜まっているせいか、色町として有名になっているアンドレアがシュウ達の目的地だとわかった瞬間に大はしゃぎとなっていた。
「お前達、遊びで来ているんじゃないからな!」
釘を刺すグレースだが、隊員達が色めき立つのも無理はない。
長旅でずっと禁欲を強いられてきた隊員達にしてみれば、色町で有名なアンドレアはまさに桃源郷のようなものだったからだ。
「アンドレアはシュウの故郷か・・・追われる身だというのに、知り合いにわざわざ挨拶にでも来たのかねえ?」
隊員のマートが首を傾げながら言った。
アンドレアはシュウの故郷であり、普通に考えれば追手に見つかるリスクが高い。追う身からすると、まず最初に潜伏先の候補に挙げても良い場所だからだ。そんなところにわざわざ危険を冒してまで立ち入るだろうか?との疑問があった。
「調査によると、シュウ様はこのアンドレアではそれほど懇意にしていた人間が多かったわけではないようだ。帝都への配属が決まった後も、帰郷したという記録はない。そんな故郷だというのに、それでも来なければならない理由があったのか・・・何故だ?」
グレース達はシュウ達の動向を探ってはいるが、特殊なスライムの存在については把握していない。だからシュウがどうしてアンドレアにやってきたのかまでは理解出来ていなかった。
だから、この後にやってきた報告にグレースは仰天することになる。
「報告します!」
街中でぞろぞろとグレース隊の全員が追跡していたのでは目立つため、数人が先行していたのだが、そのうちの一人が報告のためにやってきた。
「なっ・・・!シュウ様が魔物じじいの拠点を訪ねただとぉ!?」
シュウが魔物じじいを訪ねたことは、グレースを大いに驚愕させた。
事前に調査したはずだが、魔物じじいが知り合いにいるという点は抜け落ちてしまっていたのか、把握していなかったのだ。
魔物じじいはグレース・・・というより、アドネイドの騎士団全員がその名を知っていた。辺境の治安維持のために魔物と戦うことの多い彼らだが、その基本戦術は魔物じじいのレポートを元にして構築されたものだからだ。
魔物じじいのお陰で、辺境の騎士団は犠牲を最低限に抑えて有利に戦うことが出来るのだ。
そんな魔物じじいはグレースにとって、もはや神様に近いような存在であった。
否、ほぼ神と認定さえしていた。
「偏屈で有名な魔物じじいの家を直接訪れるとは、流石只者ではありませんな」
マートが感心しながらそうグレースに振ると、グレースは感極まっているのか震えていた。
「流石シュウ様だ・・・あの人はどれだけ懐の深い人なのだ・・・」
この事により、グレースはよりシュウい入れ込むようになってしまった。
アドネイド辺境伯から遣わされたグレース隊である。
彼らのシュウ達の監視は、当然ながらアンドレアに到着してからも続いていた。
「アンドレアかぁ!俺、一度は行ってみたいと思ってたんよねぇ!」
「他のどこよりも女が安く買えて、それもいろんな女が来るって話じゃねぇの」
グレース隊の隊員達は、長らく監視の任務のために溜まるものが溜まっているせいか、色町として有名になっているアンドレアがシュウ達の目的地だとわかった瞬間に大はしゃぎとなっていた。
「お前達、遊びで来ているんじゃないからな!」
釘を刺すグレースだが、隊員達が色めき立つのも無理はない。
長旅でずっと禁欲を強いられてきた隊員達にしてみれば、色町で有名なアンドレアはまさに桃源郷のようなものだったからだ。
「アンドレアはシュウの故郷か・・・追われる身だというのに、知り合いにわざわざ挨拶にでも来たのかねえ?」
隊員のマートが首を傾げながら言った。
アンドレアはシュウの故郷であり、普通に考えれば追手に見つかるリスクが高い。追う身からすると、まず最初に潜伏先の候補に挙げても良い場所だからだ。そんなところにわざわざ危険を冒してまで立ち入るだろうか?との疑問があった。
「調査によると、シュウ様はこのアンドレアではそれほど懇意にしていた人間が多かったわけではないようだ。帝都への配属が決まった後も、帰郷したという記録はない。そんな故郷だというのに、それでも来なければならない理由があったのか・・・何故だ?」
グレース達はシュウ達の動向を探ってはいるが、特殊なスライムの存在については把握していない。だからシュウがどうしてアンドレアにやってきたのかまでは理解出来ていなかった。
だから、この後にやってきた報告にグレースは仰天することになる。
「報告します!」
街中でぞろぞろとグレース隊の全員が追跡していたのでは目立つため、数人が先行していたのだが、そのうちの一人が報告のためにやってきた。
「なっ・・・!シュウ様が魔物じじいの拠点を訪ねただとぉ!?」
シュウが魔物じじいを訪ねたことは、グレースを大いに驚愕させた。
事前に調査したはずだが、魔物じじいが知り合いにいるという点は抜け落ちてしまっていたのか、把握していなかったのだ。
魔物じじいはグレース・・・というより、アドネイドの騎士団全員がその名を知っていた。辺境の治安維持のために魔物と戦うことの多い彼らだが、その基本戦術は魔物じじいのレポートを元にして構築されたものだからだ。
魔物じじいのお陰で、辺境の騎士団は犠牲を最低限に抑えて有利に戦うことが出来るのだ。
そんな魔物じじいはグレースにとって、もはや神様に近いような存在であった。
否、ほぼ神と認定さえしていた。
「偏屈で有名な魔物じじいの家を直接訪れるとは、流石只者ではありませんな」
マートが感心しながらそうグレースに振ると、グレースは感極まっているのか震えていた。
「流石シュウ様だ・・・あの人はどれだけ懐の深い人なのだ・・・」
この事により、グレースはよりシュウい入れ込むようになってしまった。
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