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魔物たる所以 その2
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魔物じじいの大暴れにより、店にいた数少ない他の客が逃げ出し、残りの従業員が武装して集まり出した。
剣、手斧、弓、そして魔法使い、これから冒険者による大がかりな討伐クエストでも始まるかのような騒ぎである。
とはいえ、実際魔物じじいは大柄の魔物にしか見えないので、その例えはあながち間違っていないかもしれない。
「さぁ来い!いくらでも相手になるぞ!」
邪悪な顔つきでそう従業員達を威嚇する魔物じじいは、まさに魔物そのものにしか見えなかった。
その凄まじい気迫に誰もが魔物じじいに踏み込めずにおろおろとしていると、そこに一つだけ悠然と歩いてやってくる人影が見えた。
「おいおい、随分と大暴れしてくれたじゃありませんかーっ、お客様ぁ?」
慇懃無礼な態度でフローラ達の前に現れたのは、顔に傷のある長身の男だった。
「あっ・・・」
フローラはその男を見て小さく声を洩らす。
男が誰なのかは知らない。だが、さっきまで戦っていた従業員連中はおろか、そこいらの冒険者が束になっても敵わない・・・それがはっきりわかるだけの強さを持っていることだけは発するオーラでわかった。
「ボス!」
「来てくれましたか!」
魔物じじいに怯んでいた従業員達が、男の登場に歓喜の声を上げる。
どうやらその男こそが彼らのボスであるようだ。
「初めましてぇ。ワタクシがこの店のオーナー、バットンですぅ。元Sランク冒険者などやっておりましたぁ」
バットンと名乗った男は、不敵な笑みを浮かべながら慇懃無礼な態度で一礼した。
バットンは自分より遥か大柄・・・というか、もう人間じゃなくて魔物のオーガだとかそういった類のやつにしか見えない魔物じじいに対峙しても、全く怯む様子がない。
いつでも勝てるんだぞ、という自信が満ち溢れている態度であった。
元Sランク冒険者と名乗ったのも、決してハッタリではないのだろう・・・フローラはそう思った。
(大変・・・流石に私も見ているだけというわけには・・・)
フローラは今度こそ自分も加勢しないといけない・・・と、焦りからそう感じた。
むしろフローラが加勢したところで、勝てる相手かもわからないとすら思った。
「お客さん困りますねぇ、こうまで暴れられてしまわれては。こうなるとこちらとしてもぉ、それ相応の対応をさせていただかないといけなくなりますぅ」
ニヤニヤと笑いながら、バットンはどこから出したのか身の丈ほどある大剣をこれ見よがしに構えだす。
(本当にそこから出したのかしら・・・?っ、じゃなくて!)
バットンの得物を見て、彼が魔物じじいを躊躇なく殺すつもりでいるのではないかと思ったフローラは、サッと顔を青ざめさせる。
「ははっ」
だが得物を向けられている当の魔物じじいは、まるで恐れる様子なくバットンを嘲笑うだけだった。
「で、その元Sランク冒険者がどうしてこんなところで腐っておる?もしかして何か挫折して、こんな稼業やるところまで落ちてしまったのかのぅ?」
「・・・あ?」
魔物じじいが煽ると、バットンはそれまで浮かべていた笑みを消し、怒りの形相で魔物じじいを睨みつける。
(沸点低っ!)
先ほどまでの余裕ぶった態度は何だったのか。
もしかしたらこの沸点の低さが、こんなぼったくり酒場のオーナ-になどに身を落とした原因なのかもしれないとフローラは思った。
元Sランクが本当だとしても、そんな器は無かった人間だったのかもしれないと。
「そのお主の得物も泣いておるのぅ。魔物を倒すどころか、カモにした相手を脅すことにしか振るわれないとは、情けなさ過ぎて救われんだろうに。良くそんな状態で元Sランク冒険者などと名乗れたもんじゃ。恥ずかしくないのかのぅ」
「てめぇぇぇ!!」
魔物じじいの煽りが的確にバットンのツボを突いてしまったのか、バットンは魔物じじいを躊躇いなく両断しようと、その大剣を振り上げた。
剣、手斧、弓、そして魔法使い、これから冒険者による大がかりな討伐クエストでも始まるかのような騒ぎである。
とはいえ、実際魔物じじいは大柄の魔物にしか見えないので、その例えはあながち間違っていないかもしれない。
「さぁ来い!いくらでも相手になるぞ!」
邪悪な顔つきでそう従業員達を威嚇する魔物じじいは、まさに魔物そのものにしか見えなかった。
その凄まじい気迫に誰もが魔物じじいに踏み込めずにおろおろとしていると、そこに一つだけ悠然と歩いてやってくる人影が見えた。
「おいおい、随分と大暴れしてくれたじゃありませんかーっ、お客様ぁ?」
慇懃無礼な態度でフローラ達の前に現れたのは、顔に傷のある長身の男だった。
「あっ・・・」
フローラはその男を見て小さく声を洩らす。
男が誰なのかは知らない。だが、さっきまで戦っていた従業員連中はおろか、そこいらの冒険者が束になっても敵わない・・・それがはっきりわかるだけの強さを持っていることだけは発するオーラでわかった。
「ボス!」
「来てくれましたか!」
魔物じじいに怯んでいた従業員達が、男の登場に歓喜の声を上げる。
どうやらその男こそが彼らのボスであるようだ。
「初めましてぇ。ワタクシがこの店のオーナー、バットンですぅ。元Sランク冒険者などやっておりましたぁ」
バットンと名乗った男は、不敵な笑みを浮かべながら慇懃無礼な態度で一礼した。
バットンは自分より遥か大柄・・・というか、もう人間じゃなくて魔物のオーガだとかそういった類のやつにしか見えない魔物じじいに対峙しても、全く怯む様子がない。
いつでも勝てるんだぞ、という自信が満ち溢れている態度であった。
元Sランク冒険者と名乗ったのも、決してハッタリではないのだろう・・・フローラはそう思った。
(大変・・・流石に私も見ているだけというわけには・・・)
フローラは今度こそ自分も加勢しないといけない・・・と、焦りからそう感じた。
むしろフローラが加勢したところで、勝てる相手かもわからないとすら思った。
「お客さん困りますねぇ、こうまで暴れられてしまわれては。こうなるとこちらとしてもぉ、それ相応の対応をさせていただかないといけなくなりますぅ」
ニヤニヤと笑いながら、バットンはどこから出したのか身の丈ほどある大剣をこれ見よがしに構えだす。
(本当にそこから出したのかしら・・・?っ、じゃなくて!)
バットンの得物を見て、彼が魔物じじいを躊躇なく殺すつもりでいるのではないかと思ったフローラは、サッと顔を青ざめさせる。
「ははっ」
だが得物を向けられている当の魔物じじいは、まるで恐れる様子なくバットンを嘲笑うだけだった。
「で、その元Sランク冒険者がどうしてこんなところで腐っておる?もしかして何か挫折して、こんな稼業やるところまで落ちてしまったのかのぅ?」
「・・・あ?」
魔物じじいが煽ると、バットンはそれまで浮かべていた笑みを消し、怒りの形相で魔物じじいを睨みつける。
(沸点低っ!)
先ほどまでの余裕ぶった態度は何だったのか。
もしかしたらこの沸点の低さが、こんなぼったくり酒場のオーナ-になどに身を落とした原因なのかもしれないとフローラは思った。
元Sランクが本当だとしても、そんな器は無かった人間だったのかもしれないと。
「そのお主の得物も泣いておるのぅ。魔物を倒すどころか、カモにした相手を脅すことにしか振るわれないとは、情けなさ過ぎて救われんだろうに。良くそんな状態で元Sランク冒険者などと名乗れたもんじゃ。恥ずかしくないのかのぅ」
「てめぇぇぇ!!」
魔物じじいの煽りが的確にバットンのツボを突いてしまったのか、バットンは魔物じじいを躊躇いなく両断しようと、その大剣を振り上げた。
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