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ハニートラップ?
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男達に怯えていたはずの少女は豹変し、今では握りこぶしで怒りをシュウにぶつけている。手も速いし、とても男に無抵抗でいるような少女には見えなかった。
「余計なことしてくれやがって!やっと釣れたカモなのに台無しじゃねーか!!」
そう言って、脛に受けたダメージで硬直するシュウを、更に殴ろうとする少女。
だが、その拳がシュウに届くことはなかった。
フローラが横から少女の拳を止めたのである。
「シュウ様に助けてもらっておいて、その態度はいかがなものでしょう?」
ビキッ ビキィッ
ニコニコ満面の笑みを浮かべているフローラだが、顔中に怒りの血管が浮かび上がり、超絶に怒っているのがわかる。
流石にこの剣幕には少女もヒいてしまい、思わず後ずさった。
が、元はとても反骨心の強い性格なのか、すぐに少女はフローラを睨み返す。
「助けてくれなんて頼んでねーよ!これからそいつらから金をむしり取る予定だったのに・・・!」
そういえば助けてくれとは叫んでなかったか?と思いながら、シュウは痛む脛をさすりつつ、いきり立っている少女に訊ねた。
「もしかして、襲われるふりをして逆に彼らから強盗しようとした・・・ということですか?」
「そうだよ」
少女の代わりに、シュウに対して言葉を発しながら、どこからともなく新たにまた一人の少女が姿を現す。
いや、一人ではなく、一人、また一人と建物の影から次々と姿を現し、最終的には十数人の少女達にシュウ達は囲まれていた。
全員何かしら得物を持っており、シュウが指摘したように男達を逆に追剥ぎするつもりだったことを裏付けている。
「アンタらのしたその男どもは餌にかかった獲物だった。逃げ場がないところまで誘いこみ、後はアタシらが狩るだけだった。それをアンタらが邪魔をしたんだ!」
最初に襲われていた少女は、シュウを睨みながら言った。
「やめな」
新たに現れた女がそれを諫める。
襲われていた少女よりも少し年上であるその少女は、どうやらリーダー格のようだった。彼女が発した言葉で、いきり立っていた襲われた少女は、シュウのことを睨みこそすれ途端に大人しくなる。
「この人たちはミル、アンタが本当に危ないと思って助けてくれた、この町には珍しい善意ある人だ。事情を知らなかったんだから仕方がない。私達が怒るのは筋違いってもんさ」
最もなことを言われ、襲われていたミルと呼ばれた少女は悔しそうに顔を歪めながらも反論した。
「けど、イル姉・・・折角準備したのに空気読まないやつのせいで台無しに・・・!」
「ミル、黙れ」
イルと呼ばれたリーダー格の女が凄みを効かせて言うと、ミルは今度こそ口を閉ざす。
そしてイルは不満そうなミルの態度とは逆に、シュウ達に対して深く頭を下げた。
ミルは「あっ」とした表情になり、また何かを反射的に口にしようとするが、先ほど凄まれたことを思い出したのか、すんでのところで思いとどまり、悔しそうにしながらも口を閉ざしたままでいる。
「ミルを助けてくれるつもりだったようで感謝している」
ゆっくり頭を上げたイルは、微笑んでからそう言った。だが、次の瞬間には表情を引き締め、言葉を続ける。
「だが、もうわかったと思うがこの町は欺瞞に満ちている。騙し騙されが当たり前だし、治安だって良くない。憲兵も神官も、その辺のゴロツキも誰もかれもが大差無いと思ったほうが良い。見たところこの町の人間じゃないみたいだけど、貴方達のような人間はすぐに狙われる。さっさと出て行ったほうが身のためだよ。私達だって、次に会うときは敵になっているかもしれない」
「まぁそう言う私達だって、ろくなモンじゃないけどな」と、ボソリと付け加えてからイルがサッと手を小さく上げると、それを見た少女達は踵を返して次々と姿を消していく。
ミルも通りがかりにこっそりシュウを睨みつけると、同じように続いて姿を消した。
「あ、そうそう・・・」
イルも姿を踵を返そうとしたが、そこでふと足を止め、思い出したかのように言った。
「認識阻害の魔法・・・だっけ?今君たちが使ってる魔法。それ、この町じゃあまり使わないほうがいいよ」
シュウとフローラはギョッとした。
イルが言うように認識阻害の魔法を使い、今こうしている間にもシュウ達は本来の姿じゃないものに他人からの見た目を変えているからだ。
だが、イルにはそれを見抜かれてしまっていた。
「この町は訳ありさんはたくさんいる。けど、そう言った見る人が見ればわかる目立つ魔法を使っていると、いろいろ邪推する人間を引き寄せることになってかえって面倒なことになるんじゃないかな。ここはそういう町だから。・・・いいね?忠告はしたよ」
最後にイルがそう言って姿を消し、辺りはシュウ達と打ちのめされた男達以外に誰の姿も見えなくなった。
呆然とするシュウ達。
やがてポツリとフローラが口を開く。
「・・・シュウ様・・・どうやらアンドレアは私が認識して以上に治安が悪いみたいですね」
「いや・・・いやいやいや、私が居た頃は流石にここまでではありませんでしたよ・・・?」
アンドレアはかつてシュウが住んでいた頃より治安が悪くなっていた。
その事実に愕然とし、シュウはしばし呆然としてしまうのであった。
「余計なことしてくれやがって!やっと釣れたカモなのに台無しじゃねーか!!」
そう言って、脛に受けたダメージで硬直するシュウを、更に殴ろうとする少女。
だが、その拳がシュウに届くことはなかった。
フローラが横から少女の拳を止めたのである。
「シュウ様に助けてもらっておいて、その態度はいかがなものでしょう?」
ビキッ ビキィッ
ニコニコ満面の笑みを浮かべているフローラだが、顔中に怒りの血管が浮かび上がり、超絶に怒っているのがわかる。
流石にこの剣幕には少女もヒいてしまい、思わず後ずさった。
が、元はとても反骨心の強い性格なのか、すぐに少女はフローラを睨み返す。
「助けてくれなんて頼んでねーよ!これからそいつらから金をむしり取る予定だったのに・・・!」
そういえば助けてくれとは叫んでなかったか?と思いながら、シュウは痛む脛をさすりつつ、いきり立っている少女に訊ねた。
「もしかして、襲われるふりをして逆に彼らから強盗しようとした・・・ということですか?」
「そうだよ」
少女の代わりに、シュウに対して言葉を発しながら、どこからともなく新たにまた一人の少女が姿を現す。
いや、一人ではなく、一人、また一人と建物の影から次々と姿を現し、最終的には十数人の少女達にシュウ達は囲まれていた。
全員何かしら得物を持っており、シュウが指摘したように男達を逆に追剥ぎするつもりだったことを裏付けている。
「アンタらのしたその男どもは餌にかかった獲物だった。逃げ場がないところまで誘いこみ、後はアタシらが狩るだけだった。それをアンタらが邪魔をしたんだ!」
最初に襲われていた少女は、シュウを睨みながら言った。
「やめな」
新たに現れた女がそれを諫める。
襲われていた少女よりも少し年上であるその少女は、どうやらリーダー格のようだった。彼女が発した言葉で、いきり立っていた襲われた少女は、シュウのことを睨みこそすれ途端に大人しくなる。
「この人たちはミル、アンタが本当に危ないと思って助けてくれた、この町には珍しい善意ある人だ。事情を知らなかったんだから仕方がない。私達が怒るのは筋違いってもんさ」
最もなことを言われ、襲われていたミルと呼ばれた少女は悔しそうに顔を歪めながらも反論した。
「けど、イル姉・・・折角準備したのに空気読まないやつのせいで台無しに・・・!」
「ミル、黙れ」
イルと呼ばれたリーダー格の女が凄みを効かせて言うと、ミルは今度こそ口を閉ざす。
そしてイルは不満そうなミルの態度とは逆に、シュウ達に対して深く頭を下げた。
ミルは「あっ」とした表情になり、また何かを反射的に口にしようとするが、先ほど凄まれたことを思い出したのか、すんでのところで思いとどまり、悔しそうにしながらも口を閉ざしたままでいる。
「ミルを助けてくれるつもりだったようで感謝している」
ゆっくり頭を上げたイルは、微笑んでからそう言った。だが、次の瞬間には表情を引き締め、言葉を続ける。
「だが、もうわかったと思うがこの町は欺瞞に満ちている。騙し騙されが当たり前だし、治安だって良くない。憲兵も神官も、その辺のゴロツキも誰もかれもが大差無いと思ったほうが良い。見たところこの町の人間じゃないみたいだけど、貴方達のような人間はすぐに狙われる。さっさと出て行ったほうが身のためだよ。私達だって、次に会うときは敵になっているかもしれない」
「まぁそう言う私達だって、ろくなモンじゃないけどな」と、ボソリと付け加えてからイルがサッと手を小さく上げると、それを見た少女達は踵を返して次々と姿を消していく。
ミルも通りがかりにこっそりシュウを睨みつけると、同じように続いて姿を消した。
「あ、そうそう・・・」
イルも姿を踵を返そうとしたが、そこでふと足を止め、思い出したかのように言った。
「認識阻害の魔法・・・だっけ?今君たちが使ってる魔法。それ、この町じゃあまり使わないほうがいいよ」
シュウとフローラはギョッとした。
イルが言うように認識阻害の魔法を使い、今こうしている間にもシュウ達は本来の姿じゃないものに他人からの見た目を変えているからだ。
だが、イルにはそれを見抜かれてしまっていた。
「この町は訳ありさんはたくさんいる。けど、そう言った見る人が見ればわかる目立つ魔法を使っていると、いろいろ邪推する人間を引き寄せることになってかえって面倒なことになるんじゃないかな。ここはそういう町だから。・・・いいね?忠告はしたよ」
最後にイルがそう言って姿を消し、辺りはシュウ達と打ちのめされた男達以外に誰の姿も見えなくなった。
呆然とするシュウ達。
やがてポツリとフローラが口を開く。
「・・・シュウ様・・・どうやらアンドレアは私が認識して以上に治安が悪いみたいですね」
「いや・・・いやいやいや、私が居た頃は流石にここまでではありませんでしたよ・・・?」
アンドレアはかつてシュウが住んでいた頃より治安が悪くなっていた。
その事実に愕然とし、シュウはしばし呆然としてしまうのであった。
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