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その頃のサーラ達
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一方その頃、ライル率いる『光の戦士達』を抜け、シュウを独自に追うことにした剣士サーラと法術師アリエスは路銀が無いために、極力金をかけず、かつスピーディーに行動できるように、商人の馬車の護衛などしつつ移動していた。
商人の護衛なら馬車にも乗られるし金も貰えるして一石二鳥なのだ。問題は自分達が狙う通りの目的地に向かう商人を探して交渉しなければならないところだが、それでもどうにかこうにか少しずつサーラ達は歩みを進められていた。
元勇者パーティーであるサーラ達の実力は本物なので、商人達も相場より格安で雇えるとなると喜んで彼女達を歓迎する。
これも勇者パーティーとして第一線で魔物と戦ってきたことの成果だと思うと、皮肉なものである。
「・・・それにしても、シュウ先輩の行先ってホントに合ってるんですかね・・・」
馬車の荷台で膝を抱えて蹲るようにしているアリエスは、不安そうな顔でそう言った。
「間違いない・・・と思う。アタシの勘だ。これで違っていたら、そのときはそのときだろ」
「まぁ・・・今のところ他に候補も思い浮かばないから仕方ないっすけど・・・」
サーラ達は今、サーラの勘によって行先を決めて行動していた。
行先はなんと偶然にもシュウ達と同じ、シュウの故郷であった。
「前にサシ飲みしてたときに故郷についてこぼしてたからな。前までライルといたときにナビが指し示した方角とで考えたら、可能性は高いと思う」
サーラは達は『光の戦士達』を抜けてナビが使えなくなり、シュウの居所の心当たりがなくて途方にくれていたが、ふと以前サーラがシュウから故郷のことについて話を聞いていたことを思い出したのだ。
「良く話してくれましたね。シュウ先輩、自分の昔のことあまり話さないのに」
「口を割りやすくなる秘薬を少しだけ盛ったんだ。シュウのことを少しでも知りたいと思って。だけど、あまり深いことは聞きだせなかった・・・」
「えっ、何それは・・・」
さらりとサーラが爆弾発言したので、アリエスはドン引きする。
「故郷にはあまりいい思い出がないみたいだ」
「まぁ・・・聞いてもはぐらかしてたッスからね。何となく察してはいましたけど」
「だからつい聞きたくなって・・・仕方が無かったんだ」
「・・・」
つい、で薬を盛って話を聞きだそうとするサーラに、アリエスは戦慄した。
「それで・・・シュウ先輩は故郷で何があったんスか?」
が、サーラを非行を糾弾したい気持ちより、懸想するシュウのことを知りたい欲求の方が僅かに上回り、アリエスは思わず訊ねてしまっていた。
シュウはいつも仲間の前では笑顔を絶やさず、周りを落ち込ませまいとしているムードメーカーみたいなところがあった。
しかし、ときおり一瞬だけどこか影のある顔を見せることもあり、アリエスはそんなミステリアスなところのあるシュウのことが気になって仕方が無かったのだ。
サーラの口からそのシュウの本質に迫る何かが聞けるかもしれない--
そのアリエスはその一心でいつしか身を乗り出してサーラに迫っていた。
「ちょ、そこまで迫られなくても言うってば。・・・まぁ、大体予想はつくだろうけどさ・・・」
サーラは迫るアリエスにたじたじになりながらも、少しばかり表情を曇らせ、少し間を空けてから口を開く。
「女、だってさ。酷い失恋をしたらしい・・・んだ」
商人の護衛なら馬車にも乗られるし金も貰えるして一石二鳥なのだ。問題は自分達が狙う通りの目的地に向かう商人を探して交渉しなければならないところだが、それでもどうにかこうにか少しずつサーラ達は歩みを進められていた。
元勇者パーティーであるサーラ達の実力は本物なので、商人達も相場より格安で雇えるとなると喜んで彼女達を歓迎する。
これも勇者パーティーとして第一線で魔物と戦ってきたことの成果だと思うと、皮肉なものである。
「・・・それにしても、シュウ先輩の行先ってホントに合ってるんですかね・・・」
馬車の荷台で膝を抱えて蹲るようにしているアリエスは、不安そうな顔でそう言った。
「間違いない・・・と思う。アタシの勘だ。これで違っていたら、そのときはそのときだろ」
「まぁ・・・今のところ他に候補も思い浮かばないから仕方ないっすけど・・・」
サーラ達は今、サーラの勘によって行先を決めて行動していた。
行先はなんと偶然にもシュウ達と同じ、シュウの故郷であった。
「前にサシ飲みしてたときに故郷についてこぼしてたからな。前までライルといたときにナビが指し示した方角とで考えたら、可能性は高いと思う」
サーラは達は『光の戦士達』を抜けてナビが使えなくなり、シュウの居所の心当たりがなくて途方にくれていたが、ふと以前サーラがシュウから故郷のことについて話を聞いていたことを思い出したのだ。
「良く話してくれましたね。シュウ先輩、自分の昔のことあまり話さないのに」
「口を割りやすくなる秘薬を少しだけ盛ったんだ。シュウのことを少しでも知りたいと思って。だけど、あまり深いことは聞きだせなかった・・・」
「えっ、何それは・・・」
さらりとサーラが爆弾発言したので、アリエスはドン引きする。
「故郷にはあまりいい思い出がないみたいだ」
「まぁ・・・聞いてもはぐらかしてたッスからね。何となく察してはいましたけど」
「だからつい聞きたくなって・・・仕方が無かったんだ」
「・・・」
つい、で薬を盛って話を聞きだそうとするサーラに、アリエスは戦慄した。
「それで・・・シュウ先輩は故郷で何があったんスか?」
が、サーラを非行を糾弾したい気持ちより、懸想するシュウのことを知りたい欲求の方が僅かに上回り、アリエスは思わず訊ねてしまっていた。
シュウはいつも仲間の前では笑顔を絶やさず、周りを落ち込ませまいとしているムードメーカーみたいなところがあった。
しかし、ときおり一瞬だけどこか影のある顔を見せることもあり、アリエスはそんなミステリアスなところのあるシュウのことが気になって仕方が無かったのだ。
サーラの口からそのシュウの本質に迫る何かが聞けるかもしれない--
そのアリエスはその一心でいつしか身を乗り出してサーラに迫っていた。
「ちょ、そこまで迫られなくても言うってば。・・・まぁ、大体予想はつくだろうけどさ・・・」
サーラは迫るアリエスにたじたじになりながらも、少しばかり表情を曇らせ、少し間を空けてから口を開く。
「女、だってさ。酷い失恋をしたらしい・・・んだ」
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