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フラグブレイカー
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シュウについての資料に目を通していたグレースは、ある点で様子を一変させた。
「これは・・・」
それはシュウの女性関係についての項目だった。
「元聖女フローラとは師弟関係にあったようだが、フローラからは師弟関係を越えて非常に強く懸想されており、それが今回の駆け落ちに繋がった・・・とな。実際、外堀埋めのために、聖女としての権威を利用しての大規模な工作が行われた形跡があると。何かフローラも思っていたより断然強烈ですなぁ」
横からグレースの見ている資料を見ていたマートが声に出して読み上げる。
「フローラとは恋仲になる前からたまにこっそり街の酒場に飲みに行くこともあり、頭を撫でるなどのスキンシップも聖女になる前はそこそこ見られたようだ・・・と。なるほど、じっくりフラグを立てていたんですな」
甘酸っぱいねぇ、とマートは顎に手を当てニヤニヤと笑みを浮かべる。
「フローラに関してはそれでいい。だが、俺が気になるのは・・・」
マートと違い、真剣な表情のグレースがそう言って目を向けるのは、シュウのフローラ以外の女性に関する部分だった。
「あぁ、シュウは無自覚にフラグを立てていくタイプのようで、フローラ以外にも彼に懸想する人間は多かったようですね。お嬢もその一人です」
ピクリ
ウェージの言葉に、グレースの眉がピクリと動く。
「帝都ではまぁ、傷害事件はたびたびあることなので騒ぎにはなりませんが、人助けの絡むトラブルが多かったようです。特に女性。そういう星の元に生まれてきたのかと言いたくなるほど女性を助ける機会が多く、そして助られた女性がシュウに想いを寄せる・・・そんなケースがたくさんあったようですよ。婿探しのために猫かぶってたお嬢も、そのクチですな」
「ははっ、なんだそりゃ」
ビクスの報告にマートは失笑したが、グレースは1ミリも笑わない。むしろ顔を顰め、小刻みに震えている。
「女性関係と言えば、何より同じパーティーの女性陣です。シュウには婚約内定者・・・という微妙な立場の女性が司教レウスの計らいでおりました。同じパーティーメンバーの魔法使いレーナがそうです。レーナに他に相手が見つからず、時が経てばやがては結婚する予定でしたが、レーナの不貞によってこちらは破談。しかし、剣士サーラと法術師アリエスもまたシュウに懸想していたようで。当のシュウは気が付いていなかったようですが、見る人が見れば結構バレバレだったと」
「ひゅ~♪モテるねぇ。随分な色男だったってことだな。にしても結構鈍いなシュウさん・・・」
「そう。鈍いんですよ・・・シュウはいわゆるフラグというやつを何本も、何十本もへし折ってると言えるんです。その・・・お嬢もその一人に入りそうですが・・・」
バリィッ
「ふざけるな・・・」
ビクス達とマートが会話している中、グレースが鬼の形相で底冷えするような声を発した後、ぶ厚い資料を真っ二つに破いていた。
流れが変わった瞬間である。
「これは・・・」
それはシュウの女性関係についての項目だった。
「元聖女フローラとは師弟関係にあったようだが、フローラからは師弟関係を越えて非常に強く懸想されており、それが今回の駆け落ちに繋がった・・・とな。実際、外堀埋めのために、聖女としての権威を利用しての大規模な工作が行われた形跡があると。何かフローラも思っていたより断然強烈ですなぁ」
横からグレースの見ている資料を見ていたマートが声に出して読み上げる。
「フローラとは恋仲になる前からたまにこっそり街の酒場に飲みに行くこともあり、頭を撫でるなどのスキンシップも聖女になる前はそこそこ見られたようだ・・・と。なるほど、じっくりフラグを立てていたんですな」
甘酸っぱいねぇ、とマートは顎に手を当てニヤニヤと笑みを浮かべる。
「フローラに関してはそれでいい。だが、俺が気になるのは・・・」
マートと違い、真剣な表情のグレースがそう言って目を向けるのは、シュウのフローラ以外の女性に関する部分だった。
「あぁ、シュウは無自覚にフラグを立てていくタイプのようで、フローラ以外にも彼に懸想する人間は多かったようですね。お嬢もその一人です」
ピクリ
ウェージの言葉に、グレースの眉がピクリと動く。
「帝都ではまぁ、傷害事件はたびたびあることなので騒ぎにはなりませんが、人助けの絡むトラブルが多かったようです。特に女性。そういう星の元に生まれてきたのかと言いたくなるほど女性を助ける機会が多く、そして助られた女性がシュウに想いを寄せる・・・そんなケースがたくさんあったようですよ。婿探しのために猫かぶってたお嬢も、そのクチですな」
「ははっ、なんだそりゃ」
ビクスの報告にマートは失笑したが、グレースは1ミリも笑わない。むしろ顔を顰め、小刻みに震えている。
「女性関係と言えば、何より同じパーティーの女性陣です。シュウには婚約内定者・・・という微妙な立場の女性が司教レウスの計らいでおりました。同じパーティーメンバーの魔法使いレーナがそうです。レーナに他に相手が見つからず、時が経てばやがては結婚する予定でしたが、レーナの不貞によってこちらは破談。しかし、剣士サーラと法術師アリエスもまたシュウに懸想していたようで。当のシュウは気が付いていなかったようですが、見る人が見れば結構バレバレだったと」
「ひゅ~♪モテるねぇ。随分な色男だったってことだな。にしても結構鈍いなシュウさん・・・」
「そう。鈍いんですよ・・・シュウはいわゆるフラグというやつを何本も、何十本もへし折ってると言えるんです。その・・・お嬢もその一人に入りそうですが・・・」
バリィッ
「ふざけるな・・・」
ビクス達とマートが会話している中、グレースが鬼の形相で底冷えするような声を発した後、ぶ厚い資料を真っ二つに破いていた。
流れが変わった瞬間である。
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