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袂を分かった者達

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ライルやディオンがそれぞれ大変な目に遭っている頃、サーラとアリエスは二人して夜道を歩いていた。
夜になれば馬車が通りかかることもないため自力で歩くしかないのだが、それでも二人は朝まで過ごしてから馬車を待つということもせず、黙々と歩を進める。
サーラはとにかくもうライルから少しでも離れてしまいたかったし、アリエスもライルがもし万が一追ってきて、それで捕まればいろいろ面倒だと思っていたからだ。


「ま・・・結果としてこれで良かったんスよね・・・」


アリエスがポツリと呟いた。

ここ最近のライルの迷走は目も当てられないレベルのものだったし、彼に同行したところでシュウに会えるかは微妙なところだと思っていた。
それにこれ以上『光の戦士達』に属していれば、一緒に商人からの賠償金によって借金まみれになってしまうリスクまである。
サーラの事件のことが無くても、どのみちさっさと離れておいたほうが良かったのだろうなとアリエスは思った。

正直なところ、シュウがいなくなった『光の戦士達』にそれほど強い思い入れはなかったというのもある。


「借金のことさえなければ、本当はさっさと自分でシュウのことを追っていたからな」


帝都でシュウ追跡の際の大怪我を負ってしまい、発生した治療費の支払いでライルに借りを作ってしまったという痛恨の経験が記憶に蘇り、サーラが渋面した。


「まぁ良かったじゃないッスか。勇者・・・じゃない、ライルに犯されそうになったお陰で、借金を帳消しにしてパーティーを抜け出る大義名分は出来たし、私も便乗することが出来た。結果オーライっすよ」


あっけらかんと言うアリエスに、サーラが激昂した。


「良いわけあるか!アタシは本当に怖かったんだぞ!!本当にあんなやつに純潔を散らされるところだったんだ!今思い出しても腹が立つっ・・・!」


ザンッ


苛立ちのあまり、サーラは持っていた剣を一振りする。
それによって発生した真空刃によって、周囲にあった木と岩が真っ二つに切れた。


「・・・いつの間にか、すっかり調子戻ったみたいっすね」


怖くて剣を手放しこそしていたサーラだったが、今ではすっかり剣を振れるようになったことをアリエスは感心する。


「あぁ・・・ライルのことを思い出すと、恐怖よりも怒りが増してきて・・・当面はあいつの顔を思い出すだけで剣を振れるかもしれない。切り刻みたい衝動に駆られるんだ・・・」


「それはそれで危ないような・・・」


「まぁ、こんなのは一時的なものだよ・・・やっぱり私はシュウがいないと戦えない。何も出来ない」


「まぁ・・・そうっすね。どちらにせよ、早くシュウ先輩と合流しましょう」


一時的にサーラが調子を取り戻したことで、どうにか旅をすることが出来るようになった二人はライル達とは別れ、独自にシュウを追跡することにした。

だが後になって気付く。
帝都でシュウ捜索のために金を使い切った二人は、ライル達に経済面で依存していたのだと。
今は二人とも無一文で、シュウの追跡はおろか普通に旅をすることすら困難であったと。


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