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大失敗した勇者
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『二人で今後のことについて話し合おう』
夜、ライルはサーラにそう伝え、取った宿屋の自室へ呼び出した。
これまでどれだけライルがサシ飲みや食事に誘ってものらりくねり躱して来たサーラだったし、普段なら夜に部屋でライルと二人きりになろうだなんて思わなかったが、今回ばかりは流石に戦えなくなって役立たずになったという負い目には勝てなかったし、パーティーリーダーであるライルに今後のことを話し合おうと言われては断ることはできない。
結局サーラはライルの呼び出しに応じることになった。
それが罠であることを知らずに・・・
「やぁ、良く来てくれたねサーラ。どうかそこにかけてくれ」
部屋を訪れたサーラは、穏やかに笑うライルに部屋に一人分だけある椅子に座るよう勧められた。
サッと用件を済ませて帰りたいと内心そう思っていたが、この後話し合う内容で考えると、とてもそうすぐ解放されるとは思わなかったため、サーラは言われるがままに椅子に座る。
ライルはサーラの近くにあるテーブルに煎れたばかりの紅茶を差し出すと、サーラはライルと二人でいる緊張のためか、すぐにそれを手に取って口につけた。
ちなみにサーラがライルに緊張しているのは、シュウ相手とは違って悪い意味で男として意識しているからだ。
今のライルは下心と、どうにかしてサーラを使い物に出来るようにしたいという焦燥の二つの感情が入り混じった目でサーラを見ているので尚更で、サーラはライルに見つめられているだけで酷く落ち着かない気持ちになった。
ある種自業自得とはいえ、ライルからすれば完全に男としてはマイナスで意識されているという、実に哀れな状況である。
とはいえ、サーラは男全般に苦手意識を持っているので仕方がない。シュウだけが例外なのだ。
だからといって、ライルはそんな状況を手をこまねいて見ているわけにはいかない。
「サーラ。今日は腹を割って話合おう。悩みがあるなら言って欲しいし、君が再び活躍できるためなら、僕はなんでもするつもりだ。戦えなくなったからと言って、僕は君をパーティーから外そうとは思わないし、見捨てるつもりもないんだ」
ライルはベッドに腰掛けると、サーラを見つめながら優しい声でそう言った。
ゾワゾワゾワッ
瞬間、サーラの全身に悪寒が走る。
(生理的に無理っ!)
ライルの態度に拒絶反応を示したサーラは、ガタッと音を立てて椅子から立ち上がり、後ずさりながら小さく震え「イエ、結構デス」と棒読み気味に言葉を発することしか出来なかった。
優しく接しているライルに対してあんまりなリアクションだと普通なら考えるところだが、彼の目がサーラの胸に行っているのが当人には丸わかりで下心満載なので仕方がないと言えば仕方がない。
能天気なライルとて、このサーラのリアクションで自分にはてんで脈がないこと・・・そして、この一晩の間でサーラをパーティーに繋ぎとめるだけの心変わりをさせることが厳しいことを察する。
(・・・ま、それならそれでいいけどね・・・)
いつもならライルは舌打ちの一つでもするところだが、この時だけは冷静だった。
サーラの態度がどうであっても関係なく、強引にでも自分の物にするための算段が既に出来ていたのだから。
夜、ライルはサーラにそう伝え、取った宿屋の自室へ呼び出した。
これまでどれだけライルがサシ飲みや食事に誘ってものらりくねり躱して来たサーラだったし、普段なら夜に部屋でライルと二人きりになろうだなんて思わなかったが、今回ばかりは流石に戦えなくなって役立たずになったという負い目には勝てなかったし、パーティーリーダーであるライルに今後のことを話し合おうと言われては断ることはできない。
結局サーラはライルの呼び出しに応じることになった。
それが罠であることを知らずに・・・
「やぁ、良く来てくれたねサーラ。どうかそこにかけてくれ」
部屋を訪れたサーラは、穏やかに笑うライルに部屋に一人分だけある椅子に座るよう勧められた。
サッと用件を済ませて帰りたいと内心そう思っていたが、この後話し合う内容で考えると、とてもそうすぐ解放されるとは思わなかったため、サーラは言われるがままに椅子に座る。
ライルはサーラの近くにあるテーブルに煎れたばかりの紅茶を差し出すと、サーラはライルと二人でいる緊張のためか、すぐにそれを手に取って口につけた。
ちなみにサーラがライルに緊張しているのは、シュウ相手とは違って悪い意味で男として意識しているからだ。
今のライルは下心と、どうにかしてサーラを使い物に出来るようにしたいという焦燥の二つの感情が入り混じった目でサーラを見ているので尚更で、サーラはライルに見つめられているだけで酷く落ち着かない気持ちになった。
ある種自業自得とはいえ、ライルからすれば完全に男としてはマイナスで意識されているという、実に哀れな状況である。
とはいえ、サーラは男全般に苦手意識を持っているので仕方がない。シュウだけが例外なのだ。
だからといって、ライルはそんな状況を手をこまねいて見ているわけにはいかない。
「サーラ。今日は腹を割って話合おう。悩みがあるなら言って欲しいし、君が再び活躍できるためなら、僕はなんでもするつもりだ。戦えなくなったからと言って、僕は君をパーティーから外そうとは思わないし、見捨てるつもりもないんだ」
ライルはベッドに腰掛けると、サーラを見つめながら優しい声でそう言った。
ゾワゾワゾワッ
瞬間、サーラの全身に悪寒が走る。
(生理的に無理っ!)
ライルの態度に拒絶反応を示したサーラは、ガタッと音を立てて椅子から立ち上がり、後ずさりながら小さく震え「イエ、結構デス」と棒読み気味に言葉を発することしか出来なかった。
優しく接しているライルに対してあんまりなリアクションだと普通なら考えるところだが、彼の目がサーラの胸に行っているのが当人には丸わかりで下心満載なので仕方がないと言えば仕方がない。
能天気なライルとて、このサーラのリアクションで自分にはてんで脈がないこと・・・そして、この一晩の間でサーラをパーティーに繋ぎとめるだけの心変わりをさせることが厳しいことを察する。
(・・・ま、それならそれでいいけどね・・・)
いつもならライルは舌打ちの一つでもするところだが、この時だけは冷静だった。
サーラの態度がどうであっても関係なく、強引にでも自分の物にするための算段が既に出来ていたのだから。
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