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空気を読まぬ勇者 その4
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「か弱い女性の魂を穢す外道め!僕がここで斬り伏してくれる!!」
ライルの瞳に宿るのは怒りの炎。
今のライルには微塵もディオンへの恐れは感じられなかった。
怒っている理由の大元もちょっとアレだし、性格も難があるが、ライルは『勇者』である。相手が強敵であれ、退かず挑む気概があった。
「ほぉ、不愉快なだけのやつだと思ったが、意外と楽しませてくれるじゃない・・・」
ディオンが楽しそうに笑みを浮かべて言おうとするのを終わらせることなく、ライルはディオンに向かって斬りかかっていった。
最初に斬りかかったときと違い、ディオンとはそれほど距離が離れていない。今回ばかりは死霊の術で護衛を呼び寄せようと、間に合わないはずだった・・・が。
ガキィン
「むっ!」
ライルの剣は、ディオンに命中する寸前で弾かれた。
ディオンの周囲は結界で覆われており、その結界により弾かれたのだ。
フローラ達聖女が使うような結界と同じもので、ありとあらゆるものを弾き、術者の身を守るものである。
その結界の強さは術者の能力の優劣によって大きく左右されるが、ライルの剣を受けきることが出来るレベルの結界を張られるということは、強力な魔法使いであるということの証左であった。
「ライル、やめて・・・」
ライルの剣が通じない様を見て、レーナが止めようとする。
敵うはずがない・・・レーナの頭の中には絶望の二文字しかなく、すっかりディオンの威圧に飲み込まれていた。
ガキィン
だが、ライルは再度結界に向けて剣を打ち込んだ。
ガキィン
「なにを・・・」
結界に剣が阻まれているというのに、なおも打ち込みを続けるライルにディオンは怪訝な顔をする。
「無駄なことを」
ライルの顔には全くディオンに対して恐怖を抱いた感はない。未だに瞳に怒りの炎を燃やし、一心不乱に剣を振り続ける。
そうして四度目にライルは打ち込んだときだった。
パキィン
「!?」
ディオンの結界の一部が、綻びを見せた。
これにはレーナ達だけでなく、ディオン本人も驚きの表情を見せる。
「やはりな。同じところを何度も攻撃していれば壊れる」
ライルは思った通りだと言わんばかりに得意気に笑い、そしてまた剣を振る。
バキィィィィン
一点が破られると、結界は一気にその強度を落とす。
ディオンが展開していた強力な結界は、最後のライルの剣によって瞬く間に四散して消え失せた。
「お前が思っていたより、大した結界じゃなかったみたいだな!」
ディオンにしてみれば、結界が破られたこと自体はイレギュラーだったが、それでも落ち着いて結界を再度張り直せば済むことだった。
だが、ライルの一言がディオンの怒りを買い、冷静さを失わせる。
結界を張り直すより、ライルに攻撃魔法を撃ちこむほうを優先させてしまったのだ。
「あっ・・・」
電撃魔法をくらわせようと、ライルに右の人差し指を突きだしたディオン。
次の瞬間にはライルが黒焦げになっているはずだった。
しかし、実際にはライルは黒焦げにならず、逆にディオンの突き出したその腕がゴトリと地面に落ちた。
ディオンの魔法よりライルの剣の方が速かったのである。
「歯ぁ食いしばれ。説教タイムだ」
次の瞬間、ライルの拳がディオンの顔面にめり込んだ。
ライルの瞳に宿るのは怒りの炎。
今のライルには微塵もディオンへの恐れは感じられなかった。
怒っている理由の大元もちょっとアレだし、性格も難があるが、ライルは『勇者』である。相手が強敵であれ、退かず挑む気概があった。
「ほぉ、不愉快なだけのやつだと思ったが、意外と楽しませてくれるじゃない・・・」
ディオンが楽しそうに笑みを浮かべて言おうとするのを終わらせることなく、ライルはディオンに向かって斬りかかっていった。
最初に斬りかかったときと違い、ディオンとはそれほど距離が離れていない。今回ばかりは死霊の術で護衛を呼び寄せようと、間に合わないはずだった・・・が。
ガキィン
「むっ!」
ライルの剣は、ディオンに命中する寸前で弾かれた。
ディオンの周囲は結界で覆われており、その結界により弾かれたのだ。
フローラ達聖女が使うような結界と同じもので、ありとあらゆるものを弾き、術者の身を守るものである。
その結界の強さは術者の能力の優劣によって大きく左右されるが、ライルの剣を受けきることが出来るレベルの結界を張られるということは、強力な魔法使いであるということの証左であった。
「ライル、やめて・・・」
ライルの剣が通じない様を見て、レーナが止めようとする。
敵うはずがない・・・レーナの頭の中には絶望の二文字しかなく、すっかりディオンの威圧に飲み込まれていた。
ガキィン
だが、ライルは再度結界に向けて剣を打ち込んだ。
ガキィン
「なにを・・・」
結界に剣が阻まれているというのに、なおも打ち込みを続けるライルにディオンは怪訝な顔をする。
「無駄なことを」
ライルの顔には全くディオンに対して恐怖を抱いた感はない。未だに瞳に怒りの炎を燃やし、一心不乱に剣を振り続ける。
そうして四度目にライルは打ち込んだときだった。
パキィン
「!?」
ディオンの結界の一部が、綻びを見せた。
これにはレーナ達だけでなく、ディオン本人も驚きの表情を見せる。
「やはりな。同じところを何度も攻撃していれば壊れる」
ライルは思った通りだと言わんばかりに得意気に笑い、そしてまた剣を振る。
バキィィィィン
一点が破られると、結界は一気にその強度を落とす。
ディオンが展開していた強力な結界は、最後のライルの剣によって瞬く間に四散して消え失せた。
「お前が思っていたより、大した結界じゃなかったみたいだな!」
ディオンにしてみれば、結界が破られたこと自体はイレギュラーだったが、それでも落ち着いて結界を再度張り直せば済むことだった。
だが、ライルの一言がディオンの怒りを買い、冷静さを失わせる。
結界を張り直すより、ライルに攻撃魔法を撃ちこむほうを優先させてしまったのだ。
「あっ・・・」
電撃魔法をくらわせようと、ライルに右の人差し指を突きだしたディオン。
次の瞬間にはライルが黒焦げになっているはずだった。
しかし、実際にはライルは黒焦げにならず、逆にディオンの突き出したその腕がゴトリと地面に落ちた。
ディオンの魔法よりライルの剣の方が速かったのである。
「歯ぁ食いしばれ。説教タイムだ」
次の瞬間、ライルの拳がディオンの顔面にめり込んだ。
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