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黒髪の女
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実はライルは怪しげな美少年を視界に入れてから、ややもしないうちに得物に手をかけていた。
レーナが考えていたように、ライル達でさえ巻き込まれないように避難するくらいの激しい爆炎の上がっていたこの地に普通の少年が近づいて来るわけがない。
少年の正体として可能性として高いのは、ライル達にとって「敵」、もしくは「敵に限りなく違い者」であるということ。
だから何か怪しい動きをしたものなら、すぐにでも攻撃に入られるようにライルは準備していたのだ。
ちなみに「怪しい」以外にもう一つ戦闘モードに入っていた理由があり、それは少年見た目が美しすぎたこと。
レーナやアイラが万が一にも心奪われたら面白くないので元より敵意を抱いていた・・・というのがあったりする。つまり嫉妬だ。
というわけで、そんな危ない理由込みで元より少年に対して敵意を抱いていたライルは、アイラが少年を敵と認識する発言をした瞬間に、その首を刎ねてやろうと斬り込んでいったのである。
ライルの踏み込みの速さは、剣神と呼ばれているサーラのそれとそこまで遜色はない。並の人間ならば、瞬きしているうちに間合いに入られてしまうくらいには速いのだ。
「!」
そんなライルの突っ込みに、少年はハッと気が付いたようだった。
(僕の動きが見えているのか。答え合わせ完了じゃないか!)
やはり敵確定だ!
ライルは剣を振り、少年の首を斬ろうとした・・・その瞬間
バキィッ
ライルは唐突に真横から衝撃をくらって吹っ飛び、あと一歩のところで少年を斬ることが出来なかった。それまで姿を見せなかった何者かが、ライルよりもいくらか速い速度で攻撃を仕掛け、ライルの剣を防いだのだ。
ライルは完全に少年を間合いに入れ、後は斬るだけだった・・・といった段階だったので、ライルも目の前の獲物に集中し過ぎて、闖入者に全く対応出来なかった。
「むっ!」
ライルは吹っ飛ばされながらもどうにか空中で体を捻って体勢を整え、剣を構えたまま綺麗に着地する。
「何者!?」
叫びながら、ライルは自分を目の前に立つ、自分を吹っ飛ばした相手の姿を見てハッとする。
そこにいるのは、スラッとした体に、浅黒い肌にセミロングの黒い髪をした、歳は20くらいの美女だった。
「ヤバイ。めっちゃ好み」
思わずライルは口からそう漏らしていた。
ライルにそう言われても、黒髪の美女は無表情のままピクリとも反応を見せない。ただただ瞳にライルの姿を映しているだけといったように、顔からは何一つ感情が取れなかった。
「アイラと少しキャラはかぶりそうだけど、悪くはないね。君、どうかな?腕に覚えがあるようだけど、僕のパーティーに入らないかい?」
この異様な雰囲気の中、ライルは普通に黒髪の美女を勧誘する。
お道化ているわけではなく、心の底からライルは彼女に惚れこみ口説いていた。
それを見て鏤骨に呆れた表情になったのはレーナ。そして黒髪の美女と同じく無表情なれど「かぶる?・・・確かに少しキャラがかぶるかもしれませんね。脅威です」と一人ごつっているのがアイラだった。
「なぁ、どうだい?僕のところに来れば、生活も高い水準になることを保証する」
レーナから呆れられているのを知らぬライルは、剣の構えを低くし、警戒心を解そうとさえした。未知なる敵の前で明らかな油断である。
「レイ」
先ほどライルからの攻撃から守られた少年は、黒髪の美女に対して無表情のままそう呼ぶと、ライルを指さして言った。
「あいつ、殺していいぞ。さっきから僕のことを無視してレイにばかり意識を向けて、なんだかムカツクからな」
それまで無表情で一言も言葉を発しなかったレイと呼ばれた黒髪の美女は、少年から命令された瞬間に、目にも止らぬ速さでライルに対して攻撃を仕掛けた。
レーナが考えていたように、ライル達でさえ巻き込まれないように避難するくらいの激しい爆炎の上がっていたこの地に普通の少年が近づいて来るわけがない。
少年の正体として可能性として高いのは、ライル達にとって「敵」、もしくは「敵に限りなく違い者」であるということ。
だから何か怪しい動きをしたものなら、すぐにでも攻撃に入られるようにライルは準備していたのだ。
ちなみに「怪しい」以外にもう一つ戦闘モードに入っていた理由があり、それは少年見た目が美しすぎたこと。
レーナやアイラが万が一にも心奪われたら面白くないので元より敵意を抱いていた・・・というのがあったりする。つまり嫉妬だ。
というわけで、そんな危ない理由込みで元より少年に対して敵意を抱いていたライルは、アイラが少年を敵と認識する発言をした瞬間に、その首を刎ねてやろうと斬り込んでいったのである。
ライルの踏み込みの速さは、剣神と呼ばれているサーラのそれとそこまで遜色はない。並の人間ならば、瞬きしているうちに間合いに入られてしまうくらいには速いのだ。
「!」
そんなライルの突っ込みに、少年はハッと気が付いたようだった。
(僕の動きが見えているのか。答え合わせ完了じゃないか!)
やはり敵確定だ!
ライルは剣を振り、少年の首を斬ろうとした・・・その瞬間
バキィッ
ライルは唐突に真横から衝撃をくらって吹っ飛び、あと一歩のところで少年を斬ることが出来なかった。それまで姿を見せなかった何者かが、ライルよりもいくらか速い速度で攻撃を仕掛け、ライルの剣を防いだのだ。
ライルは完全に少年を間合いに入れ、後は斬るだけだった・・・といった段階だったので、ライルも目の前の獲物に集中し過ぎて、闖入者に全く対応出来なかった。
「むっ!」
ライルは吹っ飛ばされながらもどうにか空中で体を捻って体勢を整え、剣を構えたまま綺麗に着地する。
「何者!?」
叫びながら、ライルは自分を目の前に立つ、自分を吹っ飛ばした相手の姿を見てハッとする。
そこにいるのは、スラッとした体に、浅黒い肌にセミロングの黒い髪をした、歳は20くらいの美女だった。
「ヤバイ。めっちゃ好み」
思わずライルは口からそう漏らしていた。
ライルにそう言われても、黒髪の美女は無表情のままピクリとも反応を見せない。ただただ瞳にライルの姿を映しているだけといったように、顔からは何一つ感情が取れなかった。
「アイラと少しキャラはかぶりそうだけど、悪くはないね。君、どうかな?腕に覚えがあるようだけど、僕のパーティーに入らないかい?」
この異様な雰囲気の中、ライルは普通に黒髪の美女を勧誘する。
お道化ているわけではなく、心の底からライルは彼女に惚れこみ口説いていた。
それを見て鏤骨に呆れた表情になったのはレーナ。そして黒髪の美女と同じく無表情なれど「かぶる?・・・確かに少しキャラがかぶるかもしれませんね。脅威です」と一人ごつっているのがアイラだった。
「なぁ、どうだい?僕のところに来れば、生活も高い水準になることを保証する」
レーナから呆れられているのを知らぬライルは、剣の構えを低くし、警戒心を解そうとさえした。未知なる敵の前で明らかな油断である。
「レイ」
先ほどライルからの攻撃から守られた少年は、黒髪の美女に対して無表情のままそう呼ぶと、ライルを指さして言った。
「あいつ、殺していいぞ。さっきから僕のことを無視してレイにばかり意識を向けて、なんだかムカツクからな」
それまで無表情で一言も言葉を発しなかったレイと呼ばれた黒髪の美女は、少年から命令された瞬間に、目にも止らぬ速さでライルに対して攻撃を仕掛けた。
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