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疑念
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サーラとアリエス達がやり取りをしていた頃、レーナとアイラはストレス発散も兼ねて強力な広範囲攻撃魔法を撃ちまくっていた。
既に数百のゾンビはその圧倒的火力の前に砕け散ったり灰となったが、それでもまだ敵は残っている。
当初こそストレス発散とばかりに思い切って撃ちまくっていたが、次から次へと湧いて来るゾンビの勢いに、次第にレーナの心に焦りが芽生え始めた。
「ちょっとアイラ。もしかしたらあまり無駄撃ちし過ぎないほうがいいかもしれないわ」
派手に魔法をぶちかましているが、レーナもアイラも持っている魔力は無限ではない。ゾンビの大群はかなり蹴散らしてきたが、魔力もその分多く使っている。
焼いても吹き飛ばしても次から次へと出現するゾンビの大群を見て、敵がまだまだこれからも現れ続けるのであれば、無駄撃ちのし過ぎて魔力の枯渇を招くようなことは避けねばとレーナは考えるようになっていた。
既に辺りはレーナ達の攻撃魔法による影響で、草木一本生えぬ荒地に変わり果てている。ライル達など舞った土砂をもろに浴び、体中土だらけである。
それだけの激しい攻撃魔法を繰り出しておきながら、なおも殲滅が出来ていないというほどの大群を相手にするのは初めてのことであり、レーナは不安になったのだ。
「・・・大丈夫です。敵の攻勢も、それほど長くは持たないでしょう。それよりも中途半端に攻撃の手を緩めて、敵に数で押し切られるほうが問題です」
レーナの提案に対し、アイラは自信ありげにそう言った。
確かにここで魔力の温存を意識して攻撃の手を緩めると、撃ち漏らした敵が攻撃魔法という防壁を突破してきてしまうかもしれないという、リスクもあるとレーナは思った。
だが、どうして敵の攻勢が長くは続かないと言い切れるのだろうか?と、レーナはその点を疑問に思い、どうにも釈然としない気持ちが拭えない。
アイラはライルと違い、根拠のない無責任な発言はしない。
「きっとこうなるはずだ」「こうに違いない」ライルは勢いで簡単にこのような発言をし、決断をしがちで、それを諫めるのがシュウやアイラといった役どころだった。
レーナは・・・というより『光の戦士達』はこのように異常なまでのゾンビの大群に襲われるという事態に遭遇することは初めてのことである。他の冒険者の話でも聞いたこともなかった。
(なのに、どうしてアイラは敵の攻勢が長くは続かないなんて言えるんだろう・・・)
アイラには今の状況と同じ経験がある?
それとも・・・
ふと戦闘中に沸いた疑念を振り払うように、レーナはひとまずアイラの言う通りに攻撃魔法を撃ち続けるのであった。
既に数百のゾンビはその圧倒的火力の前に砕け散ったり灰となったが、それでもまだ敵は残っている。
当初こそストレス発散とばかりに思い切って撃ちまくっていたが、次から次へと湧いて来るゾンビの勢いに、次第にレーナの心に焦りが芽生え始めた。
「ちょっとアイラ。もしかしたらあまり無駄撃ちし過ぎないほうがいいかもしれないわ」
派手に魔法をぶちかましているが、レーナもアイラも持っている魔力は無限ではない。ゾンビの大群はかなり蹴散らしてきたが、魔力もその分多く使っている。
焼いても吹き飛ばしても次から次へと出現するゾンビの大群を見て、敵がまだまだこれからも現れ続けるのであれば、無駄撃ちのし過ぎて魔力の枯渇を招くようなことは避けねばとレーナは考えるようになっていた。
既に辺りはレーナ達の攻撃魔法による影響で、草木一本生えぬ荒地に変わり果てている。ライル達など舞った土砂をもろに浴び、体中土だらけである。
それだけの激しい攻撃魔法を繰り出しておきながら、なおも殲滅が出来ていないというほどの大群を相手にするのは初めてのことであり、レーナは不安になったのだ。
「・・・大丈夫です。敵の攻勢も、それほど長くは持たないでしょう。それよりも中途半端に攻撃の手を緩めて、敵に数で押し切られるほうが問題です」
レーナの提案に対し、アイラは自信ありげにそう言った。
確かにここで魔力の温存を意識して攻撃の手を緩めると、撃ち漏らした敵が攻撃魔法という防壁を突破してきてしまうかもしれないという、リスクもあるとレーナは思った。
だが、どうして敵の攻勢が長くは続かないと言い切れるのだろうか?と、レーナはその点を疑問に思い、どうにも釈然としない気持ちが拭えない。
アイラはライルと違い、根拠のない無責任な発言はしない。
「きっとこうなるはずだ」「こうに違いない」ライルは勢いで簡単にこのような発言をし、決断をしがちで、それを諫めるのがシュウやアイラといった役どころだった。
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(なのに、どうしてアイラは敵の攻勢が長くは続かないなんて言えるんだろう・・・)
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ふと戦闘中に沸いた疑念を振り払うように、レーナはひとまずアイラの言う通りに攻撃魔法を撃ち続けるのであった。
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