235 / 473
臆病者サーラ その11
しおりを挟む
「はっ・・・サーラが臆病者のままなのは、俺達先輩のせいってか・・・言うねぇ」
頭に血が上っていた男達だったが、それでも魔法使いのほうは流石に職業柄いくらか冷静になることが出来たらしく、怒りで体を一歩乗り出そうとする剣士を手で制しながらそう言った。
「確かに彼女はいくらか剣術そのものは出来るようだけどね。待っていればいずれ使い物になるようになるなんて考えは、捨てたほうがいいよ。そんな期待を抱いたところで、裏切られるだけなんだから。俺達がどれだけ待ったと思ってるんだ」
ビシッと人差し指でサーラを指しながら、魔法使いは言った。
サーラは当時のことを思い出して申し訳ない気持ちになり、泣きそうな顔になる。
しかしシュウは表情も変えずに反論した。
「待った、ですか。才能があるとわかっている初心者の仲間が開花するのを、ただ待っていただけなのですか?フォローして上げることはしなかったのですか?」
小馬鹿にしたように言うシュウに、今度は剣士が食って掛かる。
「俺達は冒険者だぞ!冒険者だったら人に頼らねぇで自分の力で戦えるようになるべきだろうが!というかそれすらできねぇなら冒険者になんてなるべきじゃねぇだろ!」
剣士の言うことももっともなので。さーらは恥ずかし気に顔を俯かせる。
だがシュウはそれにも更に反論する。
「独り立ちできない後輩をフォローして上げるのが仲間であり、先輩がすべきことでしょう。パーティーというのはそういうものです」
「だ~か~ら~・・・」
シュウの反論に、剣士はうんざりしたように言う。
「フォローしても仕切れねぇほどに、そのサーラって女はポンコツなんだって!戦えない剣士に何の価値があるんだよ。お前だって実際にそいつを連れまわしてみろよ。きっと愛想つかすぜ」
俺達と同じようにな、と言って剣士はチラリとサーラに目を向ける。
重ね重ね蔑む視線をぶつけられ、サーラは身を小さくして縮こまる。
「愚かな」
「・・・なに?」
心底呆れたように呟かれたシュウの言葉に、男達は眉を顰めた。
「サーラさんが替えが無いほどに希少な存在であることに、気付いていないのですか?」
「・・・何がだ?胸が大きいのは認めるが」
「大きなおっぱいだけじゃないですよ、サーラさんの素晴らしいところは」
「なに・・・?」
シュウがついつられてサーラの胸を褒める発言をしたので、サーラは顔を赤くして「えっ?」と聞き返そうになる。だがシュウは依然として表情を変えずに話を続けるので、とりあえず突っ込まないでおいた。
「実際にサーラさんの鍛錬を見たことがあるのでしょう?剣術です。私の見立てでは、千人に一人いるかいないかの逸材だと思いますよ。それこそ、何か月、何年かけてでも根気強く開花を待つくらいの価値はあるほどにね」
シュウはそう言って、サーラにニコリと微笑みかけた。
「は・・・?」
呆然とする男達に、シュウはもう一度はっきりと言った。
「私は旅を重ね、いろいろな冒険者と出会ってきましたが、サーラほど圧倒的な才能を感じる剣士はそういませんね。恐らく、貴方がたは二度とサーラほどの才ある者を見つけることは出来ないでしょう。惜しいことをしたと思いますよ」
「・・・!」
シュウの言葉に男達よりも、サーラ自身が驚き、そして言葉を失った。
頭に血が上っていた男達だったが、それでも魔法使いのほうは流石に職業柄いくらか冷静になることが出来たらしく、怒りで体を一歩乗り出そうとする剣士を手で制しながらそう言った。
「確かに彼女はいくらか剣術そのものは出来るようだけどね。待っていればいずれ使い物になるようになるなんて考えは、捨てたほうがいいよ。そんな期待を抱いたところで、裏切られるだけなんだから。俺達がどれだけ待ったと思ってるんだ」
ビシッと人差し指でサーラを指しながら、魔法使いは言った。
サーラは当時のことを思い出して申し訳ない気持ちになり、泣きそうな顔になる。
しかしシュウは表情も変えずに反論した。
「待った、ですか。才能があるとわかっている初心者の仲間が開花するのを、ただ待っていただけなのですか?フォローして上げることはしなかったのですか?」
小馬鹿にしたように言うシュウに、今度は剣士が食って掛かる。
「俺達は冒険者だぞ!冒険者だったら人に頼らねぇで自分の力で戦えるようになるべきだろうが!というかそれすらできねぇなら冒険者になんてなるべきじゃねぇだろ!」
剣士の言うことももっともなので。さーらは恥ずかし気に顔を俯かせる。
だがシュウはそれにも更に反論する。
「独り立ちできない後輩をフォローして上げるのが仲間であり、先輩がすべきことでしょう。パーティーというのはそういうものです」
「だ~か~ら~・・・」
シュウの反論に、剣士はうんざりしたように言う。
「フォローしても仕切れねぇほどに、そのサーラって女はポンコツなんだって!戦えない剣士に何の価値があるんだよ。お前だって実際にそいつを連れまわしてみろよ。きっと愛想つかすぜ」
俺達と同じようにな、と言って剣士はチラリとサーラに目を向ける。
重ね重ね蔑む視線をぶつけられ、サーラは身を小さくして縮こまる。
「愚かな」
「・・・なに?」
心底呆れたように呟かれたシュウの言葉に、男達は眉を顰めた。
「サーラさんが替えが無いほどに希少な存在であることに、気付いていないのですか?」
「・・・何がだ?胸が大きいのは認めるが」
「大きなおっぱいだけじゃないですよ、サーラさんの素晴らしいところは」
「なに・・・?」
シュウがついつられてサーラの胸を褒める発言をしたので、サーラは顔を赤くして「えっ?」と聞き返そうになる。だがシュウは依然として表情を変えずに話を続けるので、とりあえず突っ込まないでおいた。
「実際にサーラさんの鍛錬を見たことがあるのでしょう?剣術です。私の見立てでは、千人に一人いるかいないかの逸材だと思いますよ。それこそ、何か月、何年かけてでも根気強く開花を待つくらいの価値はあるほどにね」
シュウはそう言って、サーラにニコリと微笑みかけた。
「は・・・?」
呆然とする男達に、シュウはもう一度はっきりと言った。
「私は旅を重ね、いろいろな冒険者と出会ってきましたが、サーラほど圧倒的な才能を感じる剣士はそういませんね。恐らく、貴方がたは二度とサーラほどの才ある者を見つけることは出来ないでしょう。惜しいことをしたと思いますよ」
「・・・!」
シュウの言葉に男達よりも、サーラ自身が驚き、そして言葉を失った。
0
お気に入りに追加
207
あなたにおすすめの小説
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
.
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる