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臆病者サーラ その10
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「間違いない。前に同じパーティーだったサーラだ」
近くのテーブルについた冒険者は二人。剣士と魔法使いの男で、既に違う店でもひっかけてきたのか、酒に酔って顔を真っ赤にしていた。
彼らはサーラの顔を見て顔なじみだと確信すると、ずかずかと近くに歩み寄ってくる。
「おぉ、本当だサーラだ。一度見たら忘れられない美人だもんな」
剣士は下品な笑みを浮かべると、嘗め回すようにサーラに視線を這わせた。
顔を見て、それから胸を見るという明らかに不躾な目線に、サーラは怯えて身を竦ませる。
先ほどまで紅潮していた顔は青ざめ、テンパッていたサーラの頭はこの瞬間に一気に冷めた。
「サーラ、どうしました?」
明らかに普通ではないサーラに、シュウが心配そうに様子を伺うと、魔法使いの男が意地悪そうに笑みを浮かべ、顔を近づけて口を開く。
「君はもしかしてサーラの男かい?」
「いえ、同じパーティーの仲間です」
小指を立てながら聞いて来る魔法使いの男に、シュウは穏やかな笑みを浮かべたまま答えた。
シュウの答えを聞いた男達は、二人してドッと笑いだした。
「あっはっは!そうかい、そりゃ災難だな!」
目じりに涙を浮かべるほど笑った剣士の男は、そう言いながらサーラに目をやる。
サーラはその視線から逃れるようにプイッと顔を逸らした。
不穏な空気に僅かに眉を寄せながらも、シュウはそのまま話を聞いていた。
「悪いことは言わねぇ。この女は何の役にも立ちはしねぇから、期待するだけ無駄だ。さっさとパーティーから追放したほうがいいぜ」
「・・・っ!」
剣士の男がそう言うと、サーラは俯き、ぎゅっと拳を握りしめる。
顔は真っ青で、体は僅かに震えている・・・ようにシュウには見えた。
「お言葉ですが、サーラは類稀な剣術の才能を持っていると思います。役に立たないということはないと思いますが」
サーラの鍛錬を見て、彼女の剣術のレベルが極めて高いことを知っているシュウはそう反論するが、男達は鼻で笑った。
「なんだ、まだ一緒に冒険に出て実戦を共に経験してないのか?」
「サーラはね、実戦になると身が竦んで動けなくなるんだよ。しまいには涙まで流して震えちまう。何度かトライしても駄目だ。冒険者には全く向いてないよ」
そう言って男達は二人して小馬鹿にするような目を俯いているサーラに向ける。
「ふむ。実戦で身が竦むというのは、実物の魔物を前に恐怖を抱きやすい経験不足の冒険者にはありがちなことではないですか?それはどこかおかしいことなのでしょうか」
シュウの反論に、剣士の男はイラついたように顔を歪める。
「だから言ったろ。何度かトライしてもだな・・・」
「はて、何度のトライでしょう。戦えるようになるまでフォローはしてあげなかったのですか?冒険者として先輩なのに、後輩一人満足に戦えるまでフォローして上げることもできなかったのですか?貴方がたはそこまで余裕がない実力なのですか?あぁ・・・なるほど、サーラより少しマシな程度の、脱初心者クラスの冒険者の方でしたか」
穏やかな笑みを浮かべたまま辛辣な物言いをするシュウに、男達の表情が険しくなる。
「てめぇ・・・」
酔いだけのせいではなく、怒りで顔を赤くした男達と一触即発の空気になる。
さっきまで俯いて震えていたサーラは、今は顔を上げてシュウをポカンと見つめていた。自分を庇ってくれているシュウから目が離せなかった。
近くのテーブルについた冒険者は二人。剣士と魔法使いの男で、既に違う店でもひっかけてきたのか、酒に酔って顔を真っ赤にしていた。
彼らはサーラの顔を見て顔なじみだと確信すると、ずかずかと近くに歩み寄ってくる。
「おぉ、本当だサーラだ。一度見たら忘れられない美人だもんな」
剣士は下品な笑みを浮かべると、嘗め回すようにサーラに視線を這わせた。
顔を見て、それから胸を見るという明らかに不躾な目線に、サーラは怯えて身を竦ませる。
先ほどまで紅潮していた顔は青ざめ、テンパッていたサーラの頭はこの瞬間に一気に冷めた。
「サーラ、どうしました?」
明らかに普通ではないサーラに、シュウが心配そうに様子を伺うと、魔法使いの男が意地悪そうに笑みを浮かべ、顔を近づけて口を開く。
「君はもしかしてサーラの男かい?」
「いえ、同じパーティーの仲間です」
小指を立てながら聞いて来る魔法使いの男に、シュウは穏やかな笑みを浮かべたまま答えた。
シュウの答えを聞いた男達は、二人してドッと笑いだした。
「あっはっは!そうかい、そりゃ災難だな!」
目じりに涙を浮かべるほど笑った剣士の男は、そう言いながらサーラに目をやる。
サーラはその視線から逃れるようにプイッと顔を逸らした。
不穏な空気に僅かに眉を寄せながらも、シュウはそのまま話を聞いていた。
「悪いことは言わねぇ。この女は何の役にも立ちはしねぇから、期待するだけ無駄だ。さっさとパーティーから追放したほうがいいぜ」
「・・・っ!」
剣士の男がそう言うと、サーラは俯き、ぎゅっと拳を握りしめる。
顔は真っ青で、体は僅かに震えている・・・ようにシュウには見えた。
「お言葉ですが、サーラは類稀な剣術の才能を持っていると思います。役に立たないということはないと思いますが」
サーラの鍛錬を見て、彼女の剣術のレベルが極めて高いことを知っているシュウはそう反論するが、男達は鼻で笑った。
「なんだ、まだ一緒に冒険に出て実戦を共に経験してないのか?」
「サーラはね、実戦になると身が竦んで動けなくなるんだよ。しまいには涙まで流して震えちまう。何度かトライしても駄目だ。冒険者には全く向いてないよ」
そう言って男達は二人して小馬鹿にするような目を俯いているサーラに向ける。
「ふむ。実戦で身が竦むというのは、実物の魔物を前に恐怖を抱きやすい経験不足の冒険者にはありがちなことではないですか?それはどこかおかしいことなのでしょうか」
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「はて、何度のトライでしょう。戦えるようになるまでフォローはしてあげなかったのですか?冒険者として先輩なのに、後輩一人満足に戦えるまでフォローして上げることもできなかったのですか?貴方がたはそこまで余裕がない実力なのですか?あぁ・・・なるほど、サーラより少しマシな程度の、脱初心者クラスの冒険者の方でしたか」
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「てめぇ・・・」
酔いだけのせいではなく、怒りで顔を赤くした男達と一触即発の空気になる。
さっきまで俯いて震えていたサーラは、今は顔を上げてシュウをポカンと見つめていた。自分を庇ってくれているシュウから目が離せなかった。
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