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使用人達の後始末 その2
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近くの町に行き、憲兵団の詰所に男達は早速出頭した。
これでシャバにいられるのは最後になるだろう。寂しいやらいろいろの感情もあるにはあったが、皆の表情は概ね晴れたものだった。
バロウ達の治療と延命のためにやむに已まれず行っていたポーション強奪だが、両親の呵責に苛まれていた彼らは心のどこかで禊を済ませたいと思っていたのだ。
だからバロウ達の使用人として働くことが出来なくなることは悲しかったが、それでも誰一人として出頭することに抵抗ある者はいなかった。
だが、事態はそんな彼らには思いも寄らぬ流れとなる。
「ん~~?そんな被害届は出てないねぇ」
出頭した男達の話を聞いた憲兵は、書類を面倒くさげにチェックしてからそう言った。
「なっ・・・いや、俺達は確かに街道で商人達を襲っていたんだ!」
人間の姿になったバフォメットが言った。
そんなバフォメットに、憲兵ははぁと溜め息をつきながら言う。
「そうなんだ。けど、被害届が出ていない以上、こっちとしてはどうにもしようがないのよ。被害届が出たらまたこちらから連絡するんで、今日のところは帰っていいよ」
そう言いながらも憲兵は連絡先すら聞こうとしない。
適当にあしらってさっさと追い返したいという意思がミエミエである。
「そんなバカなことは・・・私達は何度も商人の馬車を襲って、ポーションを何百何千と強奪してきた。被害届が出ていないなんて何かの間違いだ!私達に罰を、強制労働の刑にしてくれ!」
出頭したバフォメット達は、身綺麗になりたいがために変なテンションで罰してくれと懇願する。
禊をきっちり済まさないことにはバロウ達の元には戻れないと思っているからだ。
「刑ってね、それを決めるのは我々じゃないんだよなぁ~・・・はぁ・・・」
対応している憲兵は面倒くさそうに溜め息をつきながらも、ビッとピースサインをバフォメットに突きつけて言った。
「今、私が考えている可能性は二つある。一つはその君たちが襲った商人達が、ポーション取り扱いの認可を受けていない違法商人であるということ。違法行為でポーションを持ち出しているから、強盗に遭っても被害届が出せない」
「・・・え?」
憲兵の言葉に男達は唖然とした。
「知らない?帝国は世界でも圧倒的にポーション生産量多いけど、当然だけどその分ポーションの管理も厳しい。帝国から持ち出すには量から売り先から全て管理されるし、そもそも商品として扱うにも審査を受け、それなりの税金を納めて認可を受けた商人だけなんだよ。そうじゃなきゃ帝国でポーションを買って余所の国で売れば簡単に儲けるでしょ?だから無許可で帝国からポーション持ち出して、他国でぼろ儲けしてる商人が多いんだよね。ポーションの入れ物を変えたりラベル剥がしたりわかりづらいように偽装したりね。当然、捕まると重罪になるよ。強盗よりもね」
「・・・」
そういえば、自分達が襲った商人達はいずれも普通にポーションを運んでいなかったような?からくりのある箱に隠したり、入れ物を変えたり、確かに怪しいといえば怪しいかも・・・と、バフォメット達は「あれ?」と思い出して唸り出す。
「まぁ帝国から正規の手順で売ると利益も出ないし安く売る事出来ないっていうから、多くの人の手に安価にポーションを!って、義賊かぶれの商人なんかも脱法して売ってたりするんだけどね。普通に帝国法で犯罪なんだし、この国でも違法だからただの犯罪者だけど。なんにせよ、あんたらが今まで襲って来たっていう商人はそういう類だったんじゃない?」
「そんな・・・じゃあ、もう一つの可能性というのは?」
ショックを受けて呆然としていたバフォメットだったが、憲兵が二つの可能性と言ったのを思い出して訊ねた。
「もう一つの可能性というのは・・・君たちが・・・まぁ、自分が犯罪を犯しましたと出頭して、留置所や強制労働所で飯にあり付こうとしてる、食い扶持の無い連中じゃないかって可能性だね・・・」
「なっ・・・」
「だって君たち、強制労働って言ったってどう労働するのさ」
憲兵に言われて、バフォメット以外の男達はハッとした。
誰もがシュウに腕や足を折られ、まだ完治するはずもなくそのままの状態なのだ。
「いるんだよね。働けなくなったからって、犯罪犯したりしたことにして逮捕されて、とにかく食事にだけでもあり付こうっていう食いっぱぐれが。まぁ、君たちがそうだとは限らないけどさ・・・」
疑わしい目を向けながらそう言う憲兵は、とにもかくにもバフォメット達をまともに相手にはしてくれなかった。
悲しみに暮れた別れを済ませたはずの男達は、気まずい雰囲気になりながらも結局屋敷に戻ることになってしまった。
こうしてバロウ達はいろいろとあったが、結局なんだかんだ元のサヤに戻って再出発をすることになるのだった。
これでシャバにいられるのは最後になるだろう。寂しいやらいろいろの感情もあるにはあったが、皆の表情は概ね晴れたものだった。
バロウ達の治療と延命のためにやむに已まれず行っていたポーション強奪だが、両親の呵責に苛まれていた彼らは心のどこかで禊を済ませたいと思っていたのだ。
だからバロウ達の使用人として働くことが出来なくなることは悲しかったが、それでも誰一人として出頭することに抵抗ある者はいなかった。
だが、事態はそんな彼らには思いも寄らぬ流れとなる。
「ん~~?そんな被害届は出てないねぇ」
出頭した男達の話を聞いた憲兵は、書類を面倒くさげにチェックしてからそう言った。
「なっ・・・いや、俺達は確かに街道で商人達を襲っていたんだ!」
人間の姿になったバフォメットが言った。
そんなバフォメットに、憲兵ははぁと溜め息をつきながら言う。
「そうなんだ。けど、被害届が出ていない以上、こっちとしてはどうにもしようがないのよ。被害届が出たらまたこちらから連絡するんで、今日のところは帰っていいよ」
そう言いながらも憲兵は連絡先すら聞こうとしない。
適当にあしらってさっさと追い返したいという意思がミエミエである。
「そんなバカなことは・・・私達は何度も商人の馬車を襲って、ポーションを何百何千と強奪してきた。被害届が出ていないなんて何かの間違いだ!私達に罰を、強制労働の刑にしてくれ!」
出頭したバフォメット達は、身綺麗になりたいがために変なテンションで罰してくれと懇願する。
禊をきっちり済まさないことにはバロウ達の元には戻れないと思っているからだ。
「刑ってね、それを決めるのは我々じゃないんだよなぁ~・・・はぁ・・・」
対応している憲兵は面倒くさそうに溜め息をつきながらも、ビッとピースサインをバフォメットに突きつけて言った。
「今、私が考えている可能性は二つある。一つはその君たちが襲った商人達が、ポーション取り扱いの認可を受けていない違法商人であるということ。違法行為でポーションを持ち出しているから、強盗に遭っても被害届が出せない」
「・・・え?」
憲兵の言葉に男達は唖然とした。
「知らない?帝国は世界でも圧倒的にポーション生産量多いけど、当然だけどその分ポーションの管理も厳しい。帝国から持ち出すには量から売り先から全て管理されるし、そもそも商品として扱うにも審査を受け、それなりの税金を納めて認可を受けた商人だけなんだよ。そうじゃなきゃ帝国でポーションを買って余所の国で売れば簡単に儲けるでしょ?だから無許可で帝国からポーション持ち出して、他国でぼろ儲けしてる商人が多いんだよね。ポーションの入れ物を変えたりラベル剥がしたりわかりづらいように偽装したりね。当然、捕まると重罪になるよ。強盗よりもね」
「・・・」
そういえば、自分達が襲った商人達はいずれも普通にポーションを運んでいなかったような?からくりのある箱に隠したり、入れ物を変えたり、確かに怪しいといえば怪しいかも・・・と、バフォメット達は「あれ?」と思い出して唸り出す。
「まぁ帝国から正規の手順で売ると利益も出ないし安く売る事出来ないっていうから、多くの人の手に安価にポーションを!って、義賊かぶれの商人なんかも脱法して売ってたりするんだけどね。普通に帝国法で犯罪なんだし、この国でも違法だからただの犯罪者だけど。なんにせよ、あんたらが今まで襲って来たっていう商人はそういう類だったんじゃない?」
「そんな・・・じゃあ、もう一つの可能性というのは?」
ショックを受けて呆然としていたバフォメットだったが、憲兵が二つの可能性と言ったのを思い出して訊ねた。
「もう一つの可能性というのは・・・君たちが・・・まぁ、自分が犯罪を犯しましたと出頭して、留置所や強制労働所で飯にあり付こうとしてる、食い扶持の無い連中じゃないかって可能性だね・・・」
「なっ・・・」
「だって君たち、強制労働って言ったってどう労働するのさ」
憲兵に言われて、バフォメット以外の男達はハッとした。
誰もがシュウに腕や足を折られ、まだ完治するはずもなくそのままの状態なのだ。
「いるんだよね。働けなくなったからって、犯罪犯したりしたことにして逮捕されて、とにかく食事にだけでもあり付こうっていう食いっぱぐれが。まぁ、君たちがそうだとは限らないけどさ・・・」
疑わしい目を向けながらそう言う憲兵は、とにもかくにもバフォメット達をまともに相手にはしてくれなかった。
悲しみに暮れた別れを済ませたはずの男達は、気まずい雰囲気になりながらも結局屋敷に戻ることになってしまった。
こうしてバロウ達はいろいろとあったが、結局なんだかんだ元のサヤに戻って再出発をすることになるのだった。
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