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黒ずくめの男達
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「彼らは・・・」
白金の騎士達の包囲網からどうにか脱しそうとなっていたシュウは、謎の勢力が追撃しようと岩山から降りてきたのを荷台から見て確認していた。
そしてその謎の勢力の姿を見たシュウはハッとする。
謎の勢力は黒のトレンチコートに中折れ帽という、異様な佇まいで統一されていたが、各々の持っている得物はボウガン、長剣、刀、斧と個人によって様々なバリエーションがあった。
使う武器が統一されていること、そして白金がシンボルカラーであること白金の騎士団とは皮肉にも対照的である。
シュウはそんな謎の勢力の正体に心当たりがあった。
「もしや彼らは・・・でも、どうして・・・?」
正体に気付きながらも、それでもどうして自分を助けてくれたのか・・・その理由だけがわからず、シュウは頭が混乱しそうになる。
だが、そんなシュウより混乱の激しいのは白金の騎士達だった。
「なっ・・・馬鹿な!?」
最初こそ「珍妙な恰好しやがって」と舐めてかかっていた白金の騎士だったが、最初に謎の勢力と交戦した騎士は、一撃で吹き飛ばされ、姿が見えなくなるまで飛んでいったのだ。
この異様な事態に、突撃していた白金の騎士全員が動きを止める。
騎士を飛ばしたのは大柄の男だった。
口には葉巻を咥え、手には見慣れない鈍器のようなものを持っている。
金棒に棘がついた武器・・・「鬼の金棒」などという呼ばれ方をされることもある武器だった。
極めてマイナーではあるが、パワーファイター系の冒険者が好んで使う武器だ。
大柄の男はこの金棒で先頭の騎士を力いっぱいぶん殴り、遥か彼方までその体を弾き飛ばしたのだ。
乗っていた馬は傷つけることなく、だ。
「・・・ほらよ、次ぃ来な?」
大柄の男が低く野太い声でそう言って挑発すると、瞬時に二人の騎士が同時にかかっていった。
左右に分かれており、どちらかがやられても残った片方が攻撃を仕掛けられるはずだった。
が、大柄の男は驚異的な速度で右側に来た騎士を殴り飛ばすと、その勢いのままぐるりと円を描くように一回りし、左側に迫っていたもう一人の騎士も金棒の餌食にしてしまった。その勢いたるや、まるで竜巻のようである。
結局、連携して挑んだ二人もあっけなく同じように金棒で弾き飛ばされてしまったのを見て、白金の騎士達はどよめいた。
まるでボールのように彼方に飛んでいった騎士は、どこまで飛んでいったのか見当もつかないが、恐ろしいまでの力でぶん殴られ飛ばされたのだから、少なくとも無事であるはずがないことだけはわかる。
「「「・・・・・・っ!」」」
流石にこれだけの物を見せつけられると、騎士達はどうしたものかと尻込みした。
飛び掛かったところで、一瞬にして金棒の餌食になることだけはわかっているからだ。
大柄の男のパワーとスピード、そしてセンスはかなり驚異的であり、考え無しに突撃したところで、鎧の防御力無視で簡単にぶっ飛ばされてしまう。
白金の騎士達は、機動力重視で重戦闘を想定していない。
だから目の前の大柄の男を倒すだけの準備が出来ているとは言い難かった。
それに目下脅威となっているのは目の前の大柄の男であるが、謎の黒ずくめの男達は他にも十数名立ちはだかっている。
彼らの戦闘力が未知数である故に、指揮官からしてみるとここで迂闊に全面対決を決行するのは危険と言えた。
「おいおいどうしたぁ!?ビビっちまってもうこねぇのかよぉ?」
「そのご立派な鎧は恰好だけか?」
黒ずくめの男達がそう言って白金の騎士達を挑発する。
他の男達も咥え煙草をしながらニヤニヤ笑っており、これでもかというほど挑発的だ。
だが、白金の騎士達は怒りで我を失って飛び出していったりはしない。
目の前の珍妙な恰好をした男達は、これまで相手をしてきた下手な魔物なんかよりもずっと強いことを誰もが認識していたからだ。
「信号弾を放て。応援を呼ぶ」
結局、指揮官は現段階での決戦を避けるという苦渋の決断をした。
準備の整っていない今の状態では、シュウ達を追うどころか立ちはだかっている黒ずくめの男達を倒すことすら不可能だと判断したからだ。
白金の騎士達は「魔術師を含む重戦闘を想定した部隊」の応援を呼ぶ内容の信号弾を放ったため、それらが出揃い合流するまでは時間がかかる。
黒ずくめの男達の目的がシュウ達の逃走のアシストであるとしたら、十分に目的は達成できてしまっているだろう。
白金の騎士の指揮官は実質的な敗北による屈辱に歯を食いしばりつつも、黒ずくめの男達と睨みあう。
黒ずくめの男達はシュウ達を追おうとさえしなければ特に何もするつもりはないようで、互いが動かないまま時間だけが経過した。
そして白金の騎士団の応援が来る頃には黒ずくめの男達はその場から撤退してしまい、結局シュウを捕まえることも出来ず、邪魔をした黒ずくめの男達もむざむざ見逃してしまうことになり、白金の騎士団のシュウ捕縛作戦は屈辱的な大失敗で終わったのだった。
白金の騎士達の包囲網からどうにか脱しそうとなっていたシュウは、謎の勢力が追撃しようと岩山から降りてきたのを荷台から見て確認していた。
そしてその謎の勢力の姿を見たシュウはハッとする。
謎の勢力は黒のトレンチコートに中折れ帽という、異様な佇まいで統一されていたが、各々の持っている得物はボウガン、長剣、刀、斧と個人によって様々なバリエーションがあった。
使う武器が統一されていること、そして白金がシンボルカラーであること白金の騎士団とは皮肉にも対照的である。
シュウはそんな謎の勢力の正体に心当たりがあった。
「もしや彼らは・・・でも、どうして・・・?」
正体に気付きながらも、それでもどうして自分を助けてくれたのか・・・その理由だけがわからず、シュウは頭が混乱しそうになる。
だが、そんなシュウより混乱の激しいのは白金の騎士達だった。
「なっ・・・馬鹿な!?」
最初こそ「珍妙な恰好しやがって」と舐めてかかっていた白金の騎士だったが、最初に謎の勢力と交戦した騎士は、一撃で吹き飛ばされ、姿が見えなくなるまで飛んでいったのだ。
この異様な事態に、突撃していた白金の騎士全員が動きを止める。
騎士を飛ばしたのは大柄の男だった。
口には葉巻を咥え、手には見慣れない鈍器のようなものを持っている。
金棒に棘がついた武器・・・「鬼の金棒」などという呼ばれ方をされることもある武器だった。
極めてマイナーではあるが、パワーファイター系の冒険者が好んで使う武器だ。
大柄の男はこの金棒で先頭の騎士を力いっぱいぶん殴り、遥か彼方までその体を弾き飛ばしたのだ。
乗っていた馬は傷つけることなく、だ。
「・・・ほらよ、次ぃ来な?」
大柄の男が低く野太い声でそう言って挑発すると、瞬時に二人の騎士が同時にかかっていった。
左右に分かれており、どちらかがやられても残った片方が攻撃を仕掛けられるはずだった。
が、大柄の男は驚異的な速度で右側に来た騎士を殴り飛ばすと、その勢いのままぐるりと円を描くように一回りし、左側に迫っていたもう一人の騎士も金棒の餌食にしてしまった。その勢いたるや、まるで竜巻のようである。
結局、連携して挑んだ二人もあっけなく同じように金棒で弾き飛ばされてしまったのを見て、白金の騎士達はどよめいた。
まるでボールのように彼方に飛んでいった騎士は、どこまで飛んでいったのか見当もつかないが、恐ろしいまでの力でぶん殴られ飛ばされたのだから、少なくとも無事であるはずがないことだけはわかる。
「「「・・・・・・っ!」」」
流石にこれだけの物を見せつけられると、騎士達はどうしたものかと尻込みした。
飛び掛かったところで、一瞬にして金棒の餌食になることだけはわかっているからだ。
大柄の男のパワーとスピード、そしてセンスはかなり驚異的であり、考え無しに突撃したところで、鎧の防御力無視で簡単にぶっ飛ばされてしまう。
白金の騎士達は、機動力重視で重戦闘を想定していない。
だから目の前の大柄の男を倒すだけの準備が出来ているとは言い難かった。
それに目下脅威となっているのは目の前の大柄の男であるが、謎の黒ずくめの男達は他にも十数名立ちはだかっている。
彼らの戦闘力が未知数である故に、指揮官からしてみるとここで迂闊に全面対決を決行するのは危険と言えた。
「おいおいどうしたぁ!?ビビっちまってもうこねぇのかよぉ?」
「そのご立派な鎧は恰好だけか?」
黒ずくめの男達がそう言って白金の騎士達を挑発する。
他の男達も咥え煙草をしながらニヤニヤ笑っており、これでもかというほど挑発的だ。
だが、白金の騎士達は怒りで我を失って飛び出していったりはしない。
目の前の珍妙な恰好をした男達は、これまで相手をしてきた下手な魔物なんかよりもずっと強いことを誰もが認識していたからだ。
「信号弾を放て。応援を呼ぶ」
結局、指揮官は現段階での決戦を避けるという苦渋の決断をした。
準備の整っていない今の状態では、シュウ達を追うどころか立ちはだかっている黒ずくめの男達を倒すことすら不可能だと判断したからだ。
白金の騎士達は「魔術師を含む重戦闘を想定した部隊」の応援を呼ぶ内容の信号弾を放ったため、それらが出揃い合流するまでは時間がかかる。
黒ずくめの男達の目的がシュウ達の逃走のアシストであるとしたら、十分に目的は達成できてしまっているだろう。
白金の騎士の指揮官は実質的な敗北による屈辱に歯を食いしばりつつも、黒ずくめの男達と睨みあう。
黒ずくめの男達はシュウ達を追おうとさえしなければ特に何もするつもりはないようで、互いが動かないまま時間だけが経過した。
そして白金の騎士団の応援が来る頃には黒ずくめの男達はその場から撤退してしまい、結局シュウを捕まえることも出来ず、邪魔をした黒ずくめの男達もむざむざ見逃してしまうことになり、白金の騎士団のシュウ捕縛作戦は屈辱的な大失敗で終わったのだった。
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