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哀れ白金の騎士達の長
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シュウ達が追っ手を振り切った頃、白金の騎士団本隊では・・・
「報告します。目標を追跡していた騎馬隊との連絡が途絶えました」
伝令兵のその報告を聞いて、白金の騎士団の団長スコーンは「そうであるか」とだけ答えた。
腕組みをしたまま微動だにせず、そして必要最低限のそれ以外何一つ言葉を発しない。次々と入ってくる伝令兵から報告を聞いて、その都度相槌を打ち、必要ならば指示を出す。
無言で淡々と、まるでチェスをするかのように事を進めていくスコーンの姿は、白金の騎士団が任務で戦をするときの姿である。山のように動じず動かず、情報を精査し、任務の達成のために必要な道筋を導き出す。そんなスコーンの姿は、全ての白金の騎士団員の憧れであり、誇りだった。
だが--
このときのスコーンはいつもの彼とは違った。
「はぁはぁ・・・」
よく耳を澄ますと、スコーンは終始とにかく息が荒かった。
「フローラ様・・・もう少しでお傍に・・・」
「シュウめ・・・私がこの手で裁いて・・・八つ裂きにしてくれるのである」
無言・・・であると見せかけて、少し離れると聞こえない程度の小声で、ずっとブツブツ独り言を言っているのだ。無論、そんな姿はこれまで一度だってスコーンは部下達に見せたことがない。
しかし、部下達の戸惑いを引き出したのはそれだけではない。
「おい、またやってるぜ」
「団長は本当にどうしてしまったんだ?」
遠目にスコーンを見ていた団員達が囁く。
スコーンは無意識のうちなのかわからないが、しばしば右手でおもむろに自らの股間の辺りをまさぐっていた。言う間でもなくこんな姿を晒すことも初めてのことだった。
「フローラ様が卑劣で下賤な男シュウと逃避行をしている・・・もしこの場で私が捕まえることが出来なかったのなら、今夜も二人でおたのしみをするのであろう・・・フローラ様のあの可憐なお顔が汚らわしい快楽に歪み、そして柔肌はシュウによって下劣な欲望に染められ・・・無垢で清らかで美しかった彼女は・・・」
シュウ達捕縛作戦の遂行中だというのに、スコーンはずっとこうして早口で捲し立てながら妄想に浸り、小刻みに震えている。
側近として常に傍に控えている騎士ヘンリーはスコーンのその異様な様子に気付いていたが、心配して調子を聞いたところで
「二人のことを考えていると、お〇んちんがおかしいのである。私の体が落ち着かないのである。猛ってしまっているのである」
と返ってくるのはわかっているので、もう放っておくことにした。寝取られ性癖を全開にしている男の戯言は聞きたくなかったのだ。誰だってそうだ。
だからこのシュウ達捕縛作戦の成功を誰よりも祈っているのは、実のところこの作戦を決行するよう命令したスコーンではない。異常になってしまったスコーンを見ていることに耐えられない、ヘンリーを始めとした騎士団員達である。
「現在、他の騎馬隊が目標を捜索中。およその位置の割り出しは完了していますので、恐らく遠からず包囲することが出来るかと思われます」
伝令兵の言葉にも、スコーンは「そうであるか」と、だけしか答えない。
フローラ達を捕まえられたのならそれで良し、逃げられたら逃げられたで悔しくはあるが言いようのない興奮を覚え、妄想が捗るのでそれはそれで良いスコーンは返事もそぞろだ。ただただ、彼はこの状況を楽しんでいるだけである。
(駄目だこの状況・・・早く何とかしないと!)
白金の騎士達の心は一つだった。
さっさとシュウ達を捕まえて、この馬鹿らしい状況から抜け出したいと。
「報告します。目標を追跡していた騎馬隊との連絡が途絶えました」
伝令兵のその報告を聞いて、白金の騎士団の団長スコーンは「そうであるか」とだけ答えた。
腕組みをしたまま微動だにせず、そして必要最低限のそれ以外何一つ言葉を発しない。次々と入ってくる伝令兵から報告を聞いて、その都度相槌を打ち、必要ならば指示を出す。
無言で淡々と、まるでチェスをするかのように事を進めていくスコーンの姿は、白金の騎士団が任務で戦をするときの姿である。山のように動じず動かず、情報を精査し、任務の達成のために必要な道筋を導き出す。そんなスコーンの姿は、全ての白金の騎士団員の憧れであり、誇りだった。
だが--
このときのスコーンはいつもの彼とは違った。
「はぁはぁ・・・」
よく耳を澄ますと、スコーンは終始とにかく息が荒かった。
「フローラ様・・・もう少しでお傍に・・・」
「シュウめ・・・私がこの手で裁いて・・・八つ裂きにしてくれるのである」
無言・・・であると見せかけて、少し離れると聞こえない程度の小声で、ずっとブツブツ独り言を言っているのだ。無論、そんな姿はこれまで一度だってスコーンは部下達に見せたことがない。
しかし、部下達の戸惑いを引き出したのはそれだけではない。
「おい、またやってるぜ」
「団長は本当にどうしてしまったんだ?」
遠目にスコーンを見ていた団員達が囁く。
スコーンは無意識のうちなのかわからないが、しばしば右手でおもむろに自らの股間の辺りをまさぐっていた。言う間でもなくこんな姿を晒すことも初めてのことだった。
「フローラ様が卑劣で下賤な男シュウと逃避行をしている・・・もしこの場で私が捕まえることが出来なかったのなら、今夜も二人でおたのしみをするのであろう・・・フローラ様のあの可憐なお顔が汚らわしい快楽に歪み、そして柔肌はシュウによって下劣な欲望に染められ・・・無垢で清らかで美しかった彼女は・・・」
シュウ達捕縛作戦の遂行中だというのに、スコーンはずっとこうして早口で捲し立てながら妄想に浸り、小刻みに震えている。
側近として常に傍に控えている騎士ヘンリーはスコーンのその異様な様子に気付いていたが、心配して調子を聞いたところで
「二人のことを考えていると、お〇んちんがおかしいのである。私の体が落ち着かないのである。猛ってしまっているのである」
と返ってくるのはわかっているので、もう放っておくことにした。寝取られ性癖を全開にしている男の戯言は聞きたくなかったのだ。誰だってそうだ。
だからこのシュウ達捕縛作戦の成功を誰よりも祈っているのは、実のところこの作戦を決行するよう命令したスコーンではない。異常になってしまったスコーンを見ていることに耐えられない、ヘンリーを始めとした騎士団員達である。
「現在、他の騎馬隊が目標を捜索中。およその位置の割り出しは完了していますので、恐らく遠からず包囲することが出来るかと思われます」
伝令兵の言葉にも、スコーンは「そうであるか」と、だけしか答えない。
フローラ達を捕まえられたのならそれで良し、逃げられたら逃げられたで悔しくはあるが言いようのない興奮を覚え、妄想が捗るのでそれはそれで良いスコーンは返事もそぞろだ。ただただ、彼はこの状況を楽しんでいるだけである。
(駄目だこの状況・・・早く何とかしないと!)
白金の騎士達の心は一つだった。
さっさとシュウ達を捕まえて、この馬鹿らしい状況から抜け出したいと。
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