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哀れ先遣隊 その4
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「きゃあああああ!」
勇んで突入した騎士達は、思いがけない光景に出くわすことになった。
剣を構え、戦闘体勢に入った騎士達が部屋になだれ込むと、途端に部屋中に黄色い悲鳴が上がる。
「・・・あれ?」
そこは使用人達の着替えの場であった。男の。
目標であるフローラの姿はどこにもなかった。
「エッチ!出て行けよ!!」
「誰だお前ら!?この性獣が!!」
着替え中の男達はキャアキャア騒ぎながら、手元にある様々な物を騎士達に投げつける。
「し、ししし失礼したっ!」
当てが外れ、慌てながらも騎士達は部屋が飛び出す。
最初のこの部屋にあたりをつけた騎士は、呼んでかけつけた他の騎士二人に睨まれる。
「お前の目標ってアレか?俺達を呼んだのって、一緒に見て楽しむため?あのさ、お前はそうかもしれないけど、俺は全然ソッチの気はねんだわ」
「お前さ・・・前から、そっちの気があるんじゃねぇかとは思っていたが、今は大事な時なんだから真面目にやってくれよな?」
男の着替えを目当てに突入したと思われた騎士は、同僚から白い目で見られた。
「ち、違うっ!俺は別にあんなものを見たいために呼んだわけじゃない!あそこにフローラ様達がいると思ってだな・・・」
「はぁ・・・?どうしてあそこだと思ったんだよ」
必死で言い訳をする騎士に、同僚は溜め息をつきながら問う。
「なんでって・・・見張りがいたし、結界だって・・・」
(結界・・・そう、結界!)
わざわざ男の更衣室に結界を張る必要などない。
部屋に結界を張るのは、それだけ大事な人や物を守るためのもので・・・
そこまで考えて騎士はハッとした。
先ほど見たものは、本当に真実だったのかと。
白金の騎士団は、訓練により全員が認識阻害の魔法に耐性を持っている。
それ故に自分達が認識阻害されることなどあり得ないと決めつけてしまっているが、もしその裏をかかれたとしたら?
「固定概念を持ってはいけないのである。敵のまやかしは、そういったものに付け入ってくるものなのだ。常に柔軟に、臨機応変に。違和感を感じたのなら、そういったときは既存の概念ではなく、自分の勘を信じるのである」
騎士の頭の中でスコーンの教えの言葉が浮かび上がる。
最近はどうもさっぱり良いところがないし今現在も暴走中で迷惑を被っているが、それでも尊敬できる人間であることは間違いがない。そんな彼を言葉がふと頭を過ぎり、騎士は今出たばかりの部屋を振り返った。
「おいなんだ?もっかい男の着替えを見たいのか?いい加減にしろよホモ野郎」
同僚が呆れたように声をかける。
「いや、もしかしたら俺達・・・」
「認識阻害の魔法を使われていたんじゃないか?」そう言おうとした騎士は、次の瞬間には部屋の反対側に吹き飛んでいた。
バァァァァン
「なっ!?」
部屋に再度向かおうとしていた騎士は、扉を蹴破ったシュウの足によって蹴り飛ばされたのだ。
戦闘体勢を解いていた騎士達は、もろにシュウの不意打ちを食らうことになる。
「はぁっ!!」
シュウが狙いを定めたのは、次に距離が近い騎士だった。
相手は抜刀こそしているものの、構え切れておらず隙だらけである。
素早く懐に入り込んだシュウが掌を鎧に添えたかと思うと、ドンッと体に衝撃が走り、騎士は一瞬で意識を失った。
「なにっ!?」
鎧にはダメージはないが、中身の肉体にはダメージを与える『徹し』という技である。だがそんな技の存在を知らぬ騎士は、最強のオリハルコンの鎧を身に着けているにも関わらず、徒手空拳の一撃で昏倒した同僚を見て驚愕し動揺した。
最初に蹴り飛ばされた騎士が起き上がろうとするも、シュウはすかさずそちらに向かい、同じように『徹し』を繰り出す。
ドンッ
「カハッ・・・」
またも一撃で昏倒する仲間を見て、残った騎士の取った行動は『退避』であった。
一人で戦える相手ではない。ただちに隊長に報告し、本隊に異常発生を知らせる必要がある。彼の判断は素早く、そして適切だった。
勇んで突入した騎士達は、思いがけない光景に出くわすことになった。
剣を構え、戦闘体勢に入った騎士達が部屋になだれ込むと、途端に部屋中に黄色い悲鳴が上がる。
「・・・あれ?」
そこは使用人達の着替えの場であった。男の。
目標であるフローラの姿はどこにもなかった。
「エッチ!出て行けよ!!」
「誰だお前ら!?この性獣が!!」
着替え中の男達はキャアキャア騒ぎながら、手元にある様々な物を騎士達に投げつける。
「し、ししし失礼したっ!」
当てが外れ、慌てながらも騎士達は部屋が飛び出す。
最初のこの部屋にあたりをつけた騎士は、呼んでかけつけた他の騎士二人に睨まれる。
「お前の目標ってアレか?俺達を呼んだのって、一緒に見て楽しむため?あのさ、お前はそうかもしれないけど、俺は全然ソッチの気はねんだわ」
「お前さ・・・前から、そっちの気があるんじゃねぇかとは思っていたが、今は大事な時なんだから真面目にやってくれよな?」
男の着替えを目当てに突入したと思われた騎士は、同僚から白い目で見られた。
「ち、違うっ!俺は別にあんなものを見たいために呼んだわけじゃない!あそこにフローラ様達がいると思ってだな・・・」
「はぁ・・・?どうしてあそこだと思ったんだよ」
必死で言い訳をする騎士に、同僚は溜め息をつきながら問う。
「なんでって・・・見張りがいたし、結界だって・・・」
(結界・・・そう、結界!)
わざわざ男の更衣室に結界を張る必要などない。
部屋に結界を張るのは、それだけ大事な人や物を守るためのもので・・・
そこまで考えて騎士はハッとした。
先ほど見たものは、本当に真実だったのかと。
白金の騎士団は、訓練により全員が認識阻害の魔法に耐性を持っている。
それ故に自分達が認識阻害されることなどあり得ないと決めつけてしまっているが、もしその裏をかかれたとしたら?
「固定概念を持ってはいけないのである。敵のまやかしは、そういったものに付け入ってくるものなのだ。常に柔軟に、臨機応変に。違和感を感じたのなら、そういったときは既存の概念ではなく、自分の勘を信じるのである」
騎士の頭の中でスコーンの教えの言葉が浮かび上がる。
最近はどうもさっぱり良いところがないし今現在も暴走中で迷惑を被っているが、それでも尊敬できる人間であることは間違いがない。そんな彼を言葉がふと頭を過ぎり、騎士は今出たばかりの部屋を振り返った。
「おいなんだ?もっかい男の着替えを見たいのか?いい加減にしろよホモ野郎」
同僚が呆れたように声をかける。
「いや、もしかしたら俺達・・・」
「認識阻害の魔法を使われていたんじゃないか?」そう言おうとした騎士は、次の瞬間には部屋の反対側に吹き飛んでいた。
バァァァァン
「なっ!?」
部屋に再度向かおうとしていた騎士は、扉を蹴破ったシュウの足によって蹴り飛ばされたのだ。
戦闘体勢を解いていた騎士達は、もろにシュウの不意打ちを食らうことになる。
「はぁっ!!」
シュウが狙いを定めたのは、次に距離が近い騎士だった。
相手は抜刀こそしているものの、構え切れておらず隙だらけである。
素早く懐に入り込んだシュウが掌を鎧に添えたかと思うと、ドンッと体に衝撃が走り、騎士は一瞬で意識を失った。
「なにっ!?」
鎧にはダメージはないが、中身の肉体にはダメージを与える『徹し』という技である。だがそんな技の存在を知らぬ騎士は、最強のオリハルコンの鎧を身に着けているにも関わらず、徒手空拳の一撃で昏倒した同僚を見て驚愕し動揺した。
最初に蹴り飛ばされた騎士が起き上がろうとするも、シュウはすかさずそちらに向かい、同じように『徹し』を繰り出す。
ドンッ
「カハッ・・・」
またも一撃で昏倒する仲間を見て、残った騎士の取った行動は『退避』であった。
一人で戦える相手ではない。ただちに隊長に報告し、本隊に異常発生を知らせる必要がある。彼の判断は素早く、そして適切だった。
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