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理不尽な決まり
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「ごふっ・・・な、何を馬鹿なことを・・・!」
シュウはむせながら口元を拭う。
何の冗談だとシュウは思ったが、フローラの表情は真面目そのものであり、そしてルーシエも驚きに目を見張っているものの否定をしない。
「私にはわかるんです。シュウ様を狙っている泥棒猫の目は、見るだけで気付いてしまいます。私の目に狂いはありません」
フローラはそう言いながらスッと目を細め、じっとルーシエを見つめた。
(間違いない・・・あの女達と同じ目をしている・・・!)
フローラに脳裏に、かつてシュウと同じパーティーメンバーだったサーラとアリエスのことが蘇る。
かつてフローラはサーラ達がシュウを見つめる目を見ただけで、即座にその視線に熱い想いが秘められていることを察した。
危機感を感じたフローラは、影で先手を打つことで彼女達を出し抜くことが出来たのだ。その経験が、俊敏にルーシエのシュウに対する只ならぬ視線を感じ取らせた。
「フローラ、その、変な言いがかりをつけるのは・・・」
バロウやバフォメット達が困惑する表情を浮かべている中、「どうすんだよこの空気」と焦ったシュウがフローラに言うが、彼女は首を横に振って言った。
「いいえシュウ様。ルーシエさんからはシュウ様に対する並みならぬ想いを感じます。私と同じ、犯罪スレスレの反則を行ってでもモノにしてしまおうという、モラル無視の純粋で熱い想いを!」
「えぇ・・・それって果たして純粋って言うんですか?って、え・・・犯罪スレスレ・・・?フローラと同じ・・・?え、何の話・・・?」
フローラが手っ取り早く成果を得るために、追放されたあの日に一服盛ったことなどターゲットになったシュウは知らない。うっかり口を滑らしている彼女の言葉の内容が理解できずに、シュウはますます混乱した。
「大方『カリスマ』の力に味を占め、シュウ様に言うことを聞かせてモノにしてしまおうと考えていたのだと思います。彼女の瞳の奥に野獣の眼光を見ました!」
フローラがそう言ってビシッと指を突き指すと、ルーシエはこれでもかというほど露骨にビクゥッと体を震わせた。
「え・・・ルーシエさん・・・?」
押し黙っていつまでも反論しないルーシエを見て、シュウはいよいよ更に困惑する。
「あぁ、やはりルーシエ・・・そういうことか」
成り行きを見守っていたバロウが、溜め息交じりに言う。
「何黙ってみているんだ?止めてくれ」とシュウはバロウに言いたかったところだが、バロウはシュウの期待通りの言葉を投げかけてはくれなかった。
それどころか変な流れになりそうなことを察し、シュウは全身から嫌な汗が止まらなかった。
「そういうことかって、どういうことです?あまりに突拍子もなくてビックリしているのですが・・・」
もう一体全体何が起きているのかわからないシュウは、バロウに説明を求めた。
当事者のはずなのに、誰よりも状況が理解できていないのが彼である。
「代々ルーベンス家の女は、伴侶以外の男に肌の70%以上を見せてはいけないという決まりがある。既に我々は貴族ではないからルーベンスの名を持っていないが、それでもルーベンスの血を引いている誇りはまだ残っている。娘は、もしや肌を見られたシュウ様を伴侶に、と考えているのではないかと思っていたが・・・まさにその通りだったようだな」
「・・・は?」
「もはやこうなれば責任を取るしかないだろう、シュウ様よ。娘の肌を嘗め回すように見ておいて、責任を取らぬではルーベンスの者には通らないのだよ」
バロウがそう言った瞬間、バロウとルーシエの二つの強い目線がシュウを射貫いた。
「んな滅茶苦茶な!肌を見たって、医療行為ですよ!?嘗め回すように見てなんかいませんよ!」
ねぇ?とシュウはフローラに振るが、振られたフローラは「いや、客観的にはそう見えるかも・・・」と気まずそうに視線をぷいっと逸らしてしまった。
シュウはむせながら口元を拭う。
何の冗談だとシュウは思ったが、フローラの表情は真面目そのものであり、そしてルーシエも驚きに目を見張っているものの否定をしない。
「私にはわかるんです。シュウ様を狙っている泥棒猫の目は、見るだけで気付いてしまいます。私の目に狂いはありません」
フローラはそう言いながらスッと目を細め、じっとルーシエを見つめた。
(間違いない・・・あの女達と同じ目をしている・・・!)
フローラに脳裏に、かつてシュウと同じパーティーメンバーだったサーラとアリエスのことが蘇る。
かつてフローラはサーラ達がシュウを見つめる目を見ただけで、即座にその視線に熱い想いが秘められていることを察した。
危機感を感じたフローラは、影で先手を打つことで彼女達を出し抜くことが出来たのだ。その経験が、俊敏にルーシエのシュウに対する只ならぬ視線を感じ取らせた。
「フローラ、その、変な言いがかりをつけるのは・・・」
バロウやバフォメット達が困惑する表情を浮かべている中、「どうすんだよこの空気」と焦ったシュウがフローラに言うが、彼女は首を横に振って言った。
「いいえシュウ様。ルーシエさんからはシュウ様に対する並みならぬ想いを感じます。私と同じ、犯罪スレスレの反則を行ってでもモノにしてしまおうという、モラル無視の純粋で熱い想いを!」
「えぇ・・・それって果たして純粋って言うんですか?って、え・・・犯罪スレスレ・・・?フローラと同じ・・・?え、何の話・・・?」
フローラが手っ取り早く成果を得るために、追放されたあの日に一服盛ったことなどターゲットになったシュウは知らない。うっかり口を滑らしている彼女の言葉の内容が理解できずに、シュウはますます混乱した。
「大方『カリスマ』の力に味を占め、シュウ様に言うことを聞かせてモノにしてしまおうと考えていたのだと思います。彼女の瞳の奥に野獣の眼光を見ました!」
フローラがそう言ってビシッと指を突き指すと、ルーシエはこれでもかというほど露骨にビクゥッと体を震わせた。
「え・・・ルーシエさん・・・?」
押し黙っていつまでも反論しないルーシエを見て、シュウはいよいよ更に困惑する。
「あぁ、やはりルーシエ・・・そういうことか」
成り行きを見守っていたバロウが、溜め息交じりに言う。
「何黙ってみているんだ?止めてくれ」とシュウはバロウに言いたかったところだが、バロウはシュウの期待通りの言葉を投げかけてはくれなかった。
それどころか変な流れになりそうなことを察し、シュウは全身から嫌な汗が止まらなかった。
「そういうことかって、どういうことです?あまりに突拍子もなくてビックリしているのですが・・・」
もう一体全体何が起きているのかわからないシュウは、バロウに説明を求めた。
当事者のはずなのに、誰よりも状況が理解できていないのが彼である。
「代々ルーベンス家の女は、伴侶以外の男に肌の70%以上を見せてはいけないという決まりがある。既に我々は貴族ではないからルーベンスの名を持っていないが、それでもルーベンスの血を引いている誇りはまだ残っている。娘は、もしや肌を見られたシュウ様を伴侶に、と考えているのではないかと思っていたが・・・まさにその通りだったようだな」
「・・・は?」
「もはやこうなれば責任を取るしかないだろう、シュウ様よ。娘の肌を嘗め回すように見ておいて、責任を取らぬではルーベンスの者には通らないのだよ」
バロウがそう言った瞬間、バロウとルーシエの二つの強い目線がシュウを射貫いた。
「んな滅茶苦茶な!肌を見たって、医療行為ですよ!?嘗め回すように見てなんかいませんよ!」
ねぇ?とシュウはフローラに振るが、振られたフローラは「いや、客観的にはそう見えるかも・・・」と気まずそうに視線をぷいっと逸らしてしまった。
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