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滑稽なるアモン
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「き、貴様ぁぁぁ~~」
シュウにぶん殴られ床を転げ回ったアモンは、すぐに身を起こすと怨嗟を声を上げながら睨みつける。
「ひっ!謝ったじゃないですか・・・」
居抜かれたシュウはあまりの威圧感に思わずビビってしまうが
「アモンさん!大人しくしてください!!」
「あ、はい」
ルーシエに言われると、反射的にアモンはビクッと体を震わせながら大人しくなった。
「ば・・・馬鹿な・・・!」
ルーシエに言うことに従うつもりなど全くない。それなのに体は言うことを自分の言うことを聞かずに、ルーシエに言われるがままになっている現状に理解が追い付かないアモンは、僅かにだが狼狽えたような表情を見せた。
(これは・・・想像以上に恐ろしいものかもしれない)
シュウはルーシエに逆らえずにいるアモンを見て、背筋に冷たい水が流れたような気分になる。
アモンはこれまでシュウが出会ってきたどの魔族よりも強力であり、魔人化したバフォメット達とて到底比較にならない脅威であった。だが、そんなアモンですら強制的に従えてしまうルーシエを見て、「この人誰でも従えてしまうのではないだろうか」と考えたのだ。
実際にルーシエの能力を体験しただけになおの事だった。
「何故だ・・・!何故俺の体は動かないんだ・・・!」
アモンは歯ぎしりしながら、必死に体を動かそうのしているようだが、それでも悔しそうに僅かに表情を歪めるばかりで体は動かせないようだった。
「あっ」
ふと見ると、アモンの綺麗な顔に火傷のような跡がついているのをシュウは発見した。その箇所はシュウが殴った左頬であるが、全力で拳に込めた聖の力が毒となり、アモンの肌を侵蝕して爛れさせている。
「おのれぇぇぇ!俺にここまでの恥を晒させるとは、ただでは済まさんぞ貴様!散々いたぶって地獄の苦しみを味わわせてから、最後に手足を一つ一つもいで泣き喚かせた後にたっぷり時間をかけて殺してやる!」
小者くさいアモンの怨嗟の言葉に、シュウは背筋がゾッとした。
「私のせいではないのですけど!?」と叫びたいところだが、まさかいたいけな少女であるルーシエを差し出して「彼女が全面的に悪いのです。恨むなら彼女をどうぞ」などとカッコ悪いことを言えるはずもない。
「アモンさん。大人しくしてください。余計なことを言うのも禁止です」
「あ、はい」
怨嗟の言葉を投げかけていたアモンは、ルーシエにそう言われただけでスッと憑き物が落ちたかのように大人しくなる。
目が先ほどのジャヒーのように焦点がどこか曖昧になり、どこか自我を持たぬ人形にようになった。
が、アモンはそこでハッと一瞬で我に返り、慌てたように首をブンブンと力いっぱい横に振って意識を保つ。
「はぁっ!あ、危なかった!意識を持っていかれるところだった!」
息も荒く、アモンはルーシエの支配から逃れた。しかし
「いいからまずは落ち着いてください!」
「あ、はい」
再度ルーシエが言うと、アモンは再び目の焦点が合わなくなり・・・
「って、もういい!」
またも強引に意識を取り戻したアモンは、今度はその場から飛びのいて一気にルーシエから距離を取った。
「ざっこ」
「なんだあれ、馬鹿じゃねーの?」
それを見ていた使用人達はアモンを嘲笑する。
ルーシエを前に、一人で何やら滑稽なことをやっているので無理もない。
「・・・プッ・・・ククッ」
バフォメットも顔を背けながら「笑っちゃいけないんだけど笑っちゃう」と言わんばかりに噴き出している。
嘲笑の的になっているアモンは、怒りでプルプル震えながらも、それでもどうにか抑え込んだのか、「フッ」と笑みを浮かべ、気丈に大物ぶった態度を取り繕ってみせた。今更であるが。
「なるほど、どういうことかわかったぞ」
ルーシエに視線を向けながら、アモンは言った。
「お前は高位の魔族か、もしくは神族だな?」
シュウにぶん殴られ床を転げ回ったアモンは、すぐに身を起こすと怨嗟を声を上げながら睨みつける。
「ひっ!謝ったじゃないですか・・・」
居抜かれたシュウはあまりの威圧感に思わずビビってしまうが
「アモンさん!大人しくしてください!!」
「あ、はい」
ルーシエに言われると、反射的にアモンはビクッと体を震わせながら大人しくなった。
「ば・・・馬鹿な・・・!」
ルーシエに言うことに従うつもりなど全くない。それなのに体は言うことを自分の言うことを聞かずに、ルーシエに言われるがままになっている現状に理解が追い付かないアモンは、僅かにだが狼狽えたような表情を見せた。
(これは・・・想像以上に恐ろしいものかもしれない)
シュウはルーシエに逆らえずにいるアモンを見て、背筋に冷たい水が流れたような気分になる。
アモンはこれまでシュウが出会ってきたどの魔族よりも強力であり、魔人化したバフォメット達とて到底比較にならない脅威であった。だが、そんなアモンですら強制的に従えてしまうルーシエを見て、「この人誰でも従えてしまうのではないだろうか」と考えたのだ。
実際にルーシエの能力を体験しただけになおの事だった。
「何故だ・・・!何故俺の体は動かないんだ・・・!」
アモンは歯ぎしりしながら、必死に体を動かそうのしているようだが、それでも悔しそうに僅かに表情を歪めるばかりで体は動かせないようだった。
「あっ」
ふと見ると、アモンの綺麗な顔に火傷のような跡がついているのをシュウは発見した。その箇所はシュウが殴った左頬であるが、全力で拳に込めた聖の力が毒となり、アモンの肌を侵蝕して爛れさせている。
「おのれぇぇぇ!俺にここまでの恥を晒させるとは、ただでは済まさんぞ貴様!散々いたぶって地獄の苦しみを味わわせてから、最後に手足を一つ一つもいで泣き喚かせた後にたっぷり時間をかけて殺してやる!」
小者くさいアモンの怨嗟の言葉に、シュウは背筋がゾッとした。
「私のせいではないのですけど!?」と叫びたいところだが、まさかいたいけな少女であるルーシエを差し出して「彼女が全面的に悪いのです。恨むなら彼女をどうぞ」などとカッコ悪いことを言えるはずもない。
「アモンさん。大人しくしてください。余計なことを言うのも禁止です」
「あ、はい」
怨嗟の言葉を投げかけていたアモンは、ルーシエにそう言われただけでスッと憑き物が落ちたかのように大人しくなる。
目が先ほどのジャヒーのように焦点がどこか曖昧になり、どこか自我を持たぬ人形にようになった。
が、アモンはそこでハッと一瞬で我に返り、慌てたように首をブンブンと力いっぱい横に振って意識を保つ。
「はぁっ!あ、危なかった!意識を持っていかれるところだった!」
息も荒く、アモンはルーシエの支配から逃れた。しかし
「いいからまずは落ち着いてください!」
「あ、はい」
再度ルーシエが言うと、アモンは再び目の焦点が合わなくなり・・・
「って、もういい!」
またも強引に意識を取り戻したアモンは、今度はその場から飛びのいて一気にルーシエから距離を取った。
「ざっこ」
「なんだあれ、馬鹿じゃねーの?」
それを見ていた使用人達はアモンを嘲笑する。
ルーシエを前に、一人で何やら滑稽なことをやっているので無理もない。
「・・・プッ・・・ククッ」
バフォメットも顔を背けながら「笑っちゃいけないんだけど笑っちゃう」と言わんばかりに噴き出している。
嘲笑の的になっているアモンは、怒りでプルプル震えながらも、それでもどうにか抑え込んだのか、「フッ」と笑みを浮かべ、気丈に大物ぶった態度を取り繕ってみせた。今更であるが。
「なるほど、どういうことかわかったぞ」
ルーシエに視線を向けながら、アモンは言った。
「お前は高位の魔族か、もしくは神族だな?」
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