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懺悔中
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「私たちは元々は帝国で伯爵領を治めていた貴族に仕えておりました。ですがあるとき・・・お館様とその娘、お嬢様が病気になられたことで、領地運営が難しいところまで体調を崩し、没落し爵位を返上して平民に下りました。奥方様はさっさと離縁してしまいましたが、私たちは大恩あるお館様に今でも仕えているのです。ちなみに私は執事長をしておりました」
シュウが「話せ」と言うので、リーダーの男は困惑しながらも自分達のことを話し始めた。
「え?元々は貴族に仕えていた人達だったんですか?」
山賊の面々を流し見ながらフローラは首を傾げる。
話を聞いて印象が変わってしまったのか、身なりが汚くゴロツキの風貌だったはずの彼らは、今となっては何故か誰もが「キリッ」と精悍な顔つきに見えた。
印象とは恐ろしい。
「つまり、病気で伏しているご主人様のために山賊にまで下り、略奪行為をしていたと・・・そういうことですか」
呆れたように言うシュウに、リーダーは渋面しながらも言った。
「心苦しいのは確かですが、これも仕方がなかったのです。お館様方は普通の病気ではなく、現状の維持だけでも途方もなく金がかかり、医者に見せても原因不明で治療の見込みのない状態でして・・・我々一同がまともに働いてもまるで追い付かない状態だったのです」
「ほう・・・?」
病気の内容に興味が深いのか、シュウが細い目を更に目を細めて反応を見せる。
「今の状態が何年も続くどころか病気のほうも悪化の一途で、我々もいつしか疲弊し身も心も完全に山賊に落ちそうになっておりました・・・」
「いや、なりそうも何も完全に悪党になってましたよね」
今なお失神して一方的にトラヌドッグに話しかけられているアポロを見て、フローラはジト目になって言った。とても元貴族の使用人を名乗るだけの品位はなかったように思う。
アポロの行動についてはリーダーも目の当たりにしていたので、どこか気まずそうに目を伏せる。
「ふむ・・・まぁ、それはどうでもいいとして・・・」
「ど、どうでもいい・・・」
自分達の境遇をどうでもいいと言われてガーンとショックを受けているリーダーに、シュウは続けた。
「やはり興味深いのはその病気ですね。その病気だという二人を私に診せてくれませんか」
そう言ったシュウの目は、どこか得物を見つけた野獣のようにギラギラし、そして息も少し荒くなっていた。
「えっ?この人に見せても大丈夫なのだろうか」という戸惑いが、そんなシュウを見て怪訝そうにしている山賊たちの間で広がる。
「私は元神官・・・これでも一応は回復術師の端くれです。もしかしたら、その病気を治せるかもしれません」
シュウの言葉に、腕を折られた山賊の男の一人が激昂した。
「なんでそんなことがわかる!?俺達は何百人と医者も回復術師もつれてきてお二人のことを診せたんだ!それでもダメだった!誰もが匙を投げた!お前みたいな閉じてるのか開いているのかわからない目をした狂暴サイコパスモンスターなんかに診せられるわけがねぇだろうが!!」
激昂した男の言葉に山賊たち一同がうんうんと頷く。
彼らの脳裏には先ほどシュウに手ひどく痛めつけられた記憶がまざまざと蘇っている。
確かにシュウからしてみれば正当防衛かもしれないが、山賊たちを痛めつけるときのシュウの顔つきは明らかに快楽に浸って狂気を笑みを浮かべていたのを誰もが見ていた。シュウは彼らにとって脅威の対象であり、決して心を許して良い相手ではなかったのだ。
「勘違いしないでくださいね」
こめかみ辺りに青筋を浮かべて黙って聞いていたフローラとは対照的に、シュウはいたって無表情で淡々と言った。
「私に診せられないというのであれば、このまま憲兵に突き出してあなた方のご主人様もろとも一網打尽です。あなた方の自己満足のために山賊行為を放置する理由など無いのですから」
「・・・っ」
山賊たちは息を飲んだ。
元より選択肢など自分達には無い、そう突き付けるように冷淡に言ってのけるシュウに対し、山賊たちは申し出を断るという選択をすることなどできなかった。
シュウが「話せ」と言うので、リーダーの男は困惑しながらも自分達のことを話し始めた。
「え?元々は貴族に仕えていた人達だったんですか?」
山賊の面々を流し見ながらフローラは首を傾げる。
話を聞いて印象が変わってしまったのか、身なりが汚くゴロツキの風貌だったはずの彼らは、今となっては何故か誰もが「キリッ」と精悍な顔つきに見えた。
印象とは恐ろしい。
「つまり、病気で伏しているご主人様のために山賊にまで下り、略奪行為をしていたと・・・そういうことですか」
呆れたように言うシュウに、リーダーは渋面しながらも言った。
「心苦しいのは確かですが、これも仕方がなかったのです。お館様方は普通の病気ではなく、現状の維持だけでも途方もなく金がかかり、医者に見せても原因不明で治療の見込みのない状態でして・・・我々一同がまともに働いてもまるで追い付かない状態だったのです」
「ほう・・・?」
病気の内容に興味が深いのか、シュウが細い目を更に目を細めて反応を見せる。
「今の状態が何年も続くどころか病気のほうも悪化の一途で、我々もいつしか疲弊し身も心も完全に山賊に落ちそうになっておりました・・・」
「いや、なりそうも何も完全に悪党になってましたよね」
今なお失神して一方的にトラヌドッグに話しかけられているアポロを見て、フローラはジト目になって言った。とても元貴族の使用人を名乗るだけの品位はなかったように思う。
アポロの行動についてはリーダーも目の当たりにしていたので、どこか気まずそうに目を伏せる。
「ふむ・・・まぁ、それはどうでもいいとして・・・」
「ど、どうでもいい・・・」
自分達の境遇をどうでもいいと言われてガーンとショックを受けているリーダーに、シュウは続けた。
「やはり興味深いのはその病気ですね。その病気だという二人を私に診せてくれませんか」
そう言ったシュウの目は、どこか得物を見つけた野獣のようにギラギラし、そして息も少し荒くなっていた。
「えっ?この人に見せても大丈夫なのだろうか」という戸惑いが、そんなシュウを見て怪訝そうにしている山賊たちの間で広がる。
「私は元神官・・・これでも一応は回復術師の端くれです。もしかしたら、その病気を治せるかもしれません」
シュウの言葉に、腕を折られた山賊の男の一人が激昂した。
「なんでそんなことがわかる!?俺達は何百人と医者も回復術師もつれてきてお二人のことを診せたんだ!それでもダメだった!誰もが匙を投げた!お前みたいな閉じてるのか開いているのかわからない目をした狂暴サイコパスモンスターなんかに診せられるわけがねぇだろうが!!」
激昂した男の言葉に山賊たち一同がうんうんと頷く。
彼らの脳裏には先ほどシュウに手ひどく痛めつけられた記憶がまざまざと蘇っている。
確かにシュウからしてみれば正当防衛かもしれないが、山賊たちを痛めつけるときのシュウの顔つきは明らかに快楽に浸って狂気を笑みを浮かべていたのを誰もが見ていた。シュウは彼らにとって脅威の対象であり、決して心を許して良い相手ではなかったのだ。
「勘違いしないでくださいね」
こめかみ辺りに青筋を浮かべて黙って聞いていたフローラとは対照的に、シュウはいたって無表情で淡々と言った。
「私に診せられないというのであれば、このまま憲兵に突き出してあなた方のご主人様もろとも一網打尽です。あなた方の自己満足のために山賊行為を放置する理由など無いのですから」
「・・・っ」
山賊たちは息を飲んだ。
元より選択肢など自分達には無い、そう突き付けるように冷淡に言ってのけるシュウに対し、山賊たちは申し出を断るという選択をすることなどできなかった。
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