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追跡者達 勇者パーティー4
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次から次へと袋から出したアリエスのシュウに纏わるアイテム数は最終的に十数点に及んだ。
シュウから貰ったお守り程度なら理解できるが、どう考えてもこっそりシュウの私物を拝借しただろう物などもあり、ライルはすっかり絶句してしまう。
「いや・・・シュウさん関連のアイテムがすぐに見つかったのは良かったが、まさかここまでとは・・・」
ライルも流石にヒいた。
そして「ここまでシュウに懸想しているアリエスを自分《ライル》のことで上書きできるのだろうか」と今後進めていくハーレム計画について不安を感じてしまう。
(いや、待てよ。ここまでシュウさんにのめり込んでいる彼女のことを、徐々に自分色に染めていくというのもこれはこれでそそられるものがあるな・・・)
が、いい感じに屑男の思考になっているライルは、こんな少し危ないアリエスですら口説き落とし甲斐があると思い直す。ライルは煩悩に忠実な馬鹿でありタフでもあった。
(まさか、ここまでアリエスがシュウのことを好きだったなんて・・・)
レーナはアリエスの少しばかり行き過ぎた愛を目の当たりにし、衝撃を受けていた。
父レウスの言いつけがあって、婚約内定者といえど過度の接触、物品のやり取りなどは禁止されていたので、レーナとてシュウとの思い出の品など片手で数えるほどしか持っていないのだ。
「探し人の匂いのついたものがそこそこあるようだね。早速羅針盤の下の収納スペースに入れてみるといいわ。空間圧縮の収納魔法が使われているから、今お嬢ちゃんが用意したアイテム全部でも入れることができる」
アリエスが「ここに収納しても取り出せなくなったりしないッスよね?」とマダム・テレサに何度も確認した後、大丈夫だとわかるやいなや恐る恐る羅針盤下の収納スペースにシュウグッズを収めた。
「あとは探し人のことを見つけたいと念じるのよ。思いが届けば羅針盤が発動するわ」
マダム・テレサの言葉を聞き、サーラとアリエスは目を閉じて一生懸命に念じた。シュウはどこだ?例え便所に隠されていようと見つけ出してやる・・・!と。
並々ならぬ念の強さに何か気圧されてしまったのか、ライル達は茫然としているだけでサーラ達二人だけが祈っていた。
「お、おおっ!?」
二人の念が強かったせいなのか、羅針盤が激しく振動して動き出す。
羅針盤の針はガタガタを震え、大体の方角を指しているのだが安定しない。
「ううむ。どうやら収納したアイテムの匂いがあまり残ってなかったみたいだね。こうなると羅針盤は大雑把な案内しかしてくれなくなるわ。音声案内もしてくれる機能があるんだけど、この分じゃあまり期待できないわね」
マダム・テレサがそう言った直後、今度は羅針盤から音声が流れる。
『探し人の場所は、・・・に300万歩くらい。・・・に26万歩くらいです。多分・・・』
羅針盤は針だけでなく音声案内機能もあるようだが、発せられた言葉はなんとも曖昧な内容だった。
しかも方角の部分が聞き取りづらく、なんとも自信なさげな声である。
無いよりはずっとマシだが、思ったより捜索に時間がかかりそうだとライルはげんなりした。
「うーん、もうちょっと羅針盤に収納するアイテムを足さないとダメね。まぁ、本当なら本人の体毛だったり体の一部なんかを入れとくと、格段に羅針盤の精度が上がるんだけどねぇ。そんなんがそうそうあるわけないでしょうし」
マダム・テレサが残念そうに言う。
体毛か・・・拠点を探せば一本くらいは見つかるだろうか?可能性にかけてみて皆で探してみるしかないかとライルは考える。
そんなときだった。
「シュウの体毛か・・・あるにはあるぜ・・・」
今度はサーラがおずおずと手を挙げると、その場の温度がグッと下がった。
アリエスですらドン引きだった。
シュウから貰ったお守り程度なら理解できるが、どう考えてもこっそりシュウの私物を拝借しただろう物などもあり、ライルはすっかり絶句してしまう。
「いや・・・シュウさん関連のアイテムがすぐに見つかったのは良かったが、まさかここまでとは・・・」
ライルも流石にヒいた。
そして「ここまでシュウに懸想しているアリエスを自分《ライル》のことで上書きできるのだろうか」と今後進めていくハーレム計画について不安を感じてしまう。
(いや、待てよ。ここまでシュウさんにのめり込んでいる彼女のことを、徐々に自分色に染めていくというのもこれはこれでそそられるものがあるな・・・)
が、いい感じに屑男の思考になっているライルは、こんな少し危ないアリエスですら口説き落とし甲斐があると思い直す。ライルは煩悩に忠実な馬鹿でありタフでもあった。
(まさか、ここまでアリエスがシュウのことを好きだったなんて・・・)
レーナはアリエスの少しばかり行き過ぎた愛を目の当たりにし、衝撃を受けていた。
父レウスの言いつけがあって、婚約内定者といえど過度の接触、物品のやり取りなどは禁止されていたので、レーナとてシュウとの思い出の品など片手で数えるほどしか持っていないのだ。
「探し人の匂いのついたものがそこそこあるようだね。早速羅針盤の下の収納スペースに入れてみるといいわ。空間圧縮の収納魔法が使われているから、今お嬢ちゃんが用意したアイテム全部でも入れることができる」
アリエスが「ここに収納しても取り出せなくなったりしないッスよね?」とマダム・テレサに何度も確認した後、大丈夫だとわかるやいなや恐る恐る羅針盤下の収納スペースにシュウグッズを収めた。
「あとは探し人のことを見つけたいと念じるのよ。思いが届けば羅針盤が発動するわ」
マダム・テレサの言葉を聞き、サーラとアリエスは目を閉じて一生懸命に念じた。シュウはどこだ?例え便所に隠されていようと見つけ出してやる・・・!と。
並々ならぬ念の強さに何か気圧されてしまったのか、ライル達は茫然としているだけでサーラ達二人だけが祈っていた。
「お、おおっ!?」
二人の念が強かったせいなのか、羅針盤が激しく振動して動き出す。
羅針盤の針はガタガタを震え、大体の方角を指しているのだが安定しない。
「ううむ。どうやら収納したアイテムの匂いがあまり残ってなかったみたいだね。こうなると羅針盤は大雑把な案内しかしてくれなくなるわ。音声案内もしてくれる機能があるんだけど、この分じゃあまり期待できないわね」
マダム・テレサがそう言った直後、今度は羅針盤から音声が流れる。
『探し人の場所は、・・・に300万歩くらい。・・・に26万歩くらいです。多分・・・』
羅針盤は針だけでなく音声案内機能もあるようだが、発せられた言葉はなんとも曖昧な内容だった。
しかも方角の部分が聞き取りづらく、なんとも自信なさげな声である。
無いよりはずっとマシだが、思ったより捜索に時間がかかりそうだとライルはげんなりした。
「うーん、もうちょっと羅針盤に収納するアイテムを足さないとダメね。まぁ、本当なら本人の体毛だったり体の一部なんかを入れとくと、格段に羅針盤の精度が上がるんだけどねぇ。そんなんがそうそうあるわけないでしょうし」
マダム・テレサが残念そうに言う。
体毛か・・・拠点を探せば一本くらいは見つかるだろうか?可能性にかけてみて皆で探してみるしかないかとライルは考える。
そんなときだった。
「シュウの体毛か・・・あるにはあるぜ・・・」
今度はサーラがおずおずと手を挙げると、その場の温度がグッと下がった。
アリエスですらドン引きだった。
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