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色香には勝てなかったよ
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「シュウ様?一体どうされたのですか?」
封筒を手に取って何とも言えないような顔をしているシュウをフローラは不思議に思った。
「ええと、『ホワイトゥール・キンケード・グレイ7世』・・・だそうです。誰か知っていますか?」
「・・・あぁ!」
知らないだろうな・・・と思いながらシュウが問うと、フローラはポンと手を叩き納得したようなリアクションをした。
「ホワイトキングの本名ですよ」
「えっ!?あの馬の!!?」
聞いたこともない長ったらしい名前で一体どこの貴族かと思えば、まさかの武骨な白馬の本名であると知り、シュウは愕然とする。
「名前が長いから呼びやすいように私が略してみたんです。ホワイトティー・キンケドゥ・グレンダイザー7世・・・略してホワイトキングです。丁度あの子は白いし、悪くないと思いませんか?」
「あの、さっきと本名違ってますよフローラ?!本当に覚えているんですか!?それに白馬だからホワイトキングって名前にしたわけじゃなくて?・・・って、それよりもあの馬が手紙を書いてよこしたということですか?」
「なんて書いてあるか読んでみますね」
フローラは手紙を手に取ると、最初は顔を赤らめていたが、そのうちに顔を真っ青にして呆然としだした。
手に持っていた手紙がはらりと床に落ちても、彼女はそれに意識を向けることはなく硬直したままであった。
「フローラ・・・?」
フローラの様子が気になったシュウは、彼女が落とした手紙を拾い上げる。
一体何が書いてあるのか?ドキドキしながらシュウは中身に目を通した。
「やだ・・・とっても達筆じゃないですか。一体蹄でどうやって書いたのやら・・・って・・・」
一通り手紙に目を通したシュウは、読み終えるとフローラと同じように呆然とする。
「な・・・まさか・・・」
手紙の内容はこうであった。
宿屋に泊まったシュウ達と別れて近場の森の中で夜を明かそうと思ったホワイトキングは、そこで自分好みの野生の雌馬と偶然出会った。
ついはっちゃけて雌馬とおたのしみしてしまい、すっかり雌馬に情が移ってしまったホワイトキングは責任を取って森でその雌馬と暮らすことにしたのだという。
つまり、もう逃避行にはホワイトキングは同行できなくなりましたよということで手紙は締めくくられていたのである。
「はあああああ!?」
楽観的といえるシュウもフローラも、流石にこの事態には唖然とせざるを得なかった。まだ逃避行を初めて間もないうちからのんきに宿屋で一泊したのも、ホワイトキングの快足に頼っていたところがあったからだ。
しかし、そのホワイトキングの足を逃亡に使うことができなくなった以上、シュウ達の間に流れていた過度なレベルの楽観的な空気は一気に消し飛ぶことになってしまった。
「ユニコーンじゃなかったんですかあの馬は!?色香に惑わされてしまうなど情けない!」
シュウは自分のことを棚に上げて怒り、手にもっていた手紙をべしっと床にたたきつける。
「あわわわわわわわわ」
余裕そうにしていたフローラも、今回ばかりは流石にこの事態に舌を巻いてテンパった。
便利な移動手段が色情に狂ってしまったがために、二人の逃避行にのっけから暗雲が立ち込めてしまったのである。
封筒を手に取って何とも言えないような顔をしているシュウをフローラは不思議に思った。
「ええと、『ホワイトゥール・キンケード・グレイ7世』・・・だそうです。誰か知っていますか?」
「・・・あぁ!」
知らないだろうな・・・と思いながらシュウが問うと、フローラはポンと手を叩き納得したようなリアクションをした。
「ホワイトキングの本名ですよ」
「えっ!?あの馬の!!?」
聞いたこともない長ったらしい名前で一体どこの貴族かと思えば、まさかの武骨な白馬の本名であると知り、シュウは愕然とする。
「名前が長いから呼びやすいように私が略してみたんです。ホワイトティー・キンケドゥ・グレンダイザー7世・・・略してホワイトキングです。丁度あの子は白いし、悪くないと思いませんか?」
「あの、さっきと本名違ってますよフローラ?!本当に覚えているんですか!?それに白馬だからホワイトキングって名前にしたわけじゃなくて?・・・って、それよりもあの馬が手紙を書いてよこしたということですか?」
「なんて書いてあるか読んでみますね」
フローラは手紙を手に取ると、最初は顔を赤らめていたが、そのうちに顔を真っ青にして呆然としだした。
手に持っていた手紙がはらりと床に落ちても、彼女はそれに意識を向けることはなく硬直したままであった。
「フローラ・・・?」
フローラの様子が気になったシュウは、彼女が落とした手紙を拾い上げる。
一体何が書いてあるのか?ドキドキしながらシュウは中身に目を通した。
「やだ・・・とっても達筆じゃないですか。一体蹄でどうやって書いたのやら・・・って・・・」
一通り手紙に目を通したシュウは、読み終えるとフローラと同じように呆然とする。
「な・・・まさか・・・」
手紙の内容はこうであった。
宿屋に泊まったシュウ達と別れて近場の森の中で夜を明かそうと思ったホワイトキングは、そこで自分好みの野生の雌馬と偶然出会った。
ついはっちゃけて雌馬とおたのしみしてしまい、すっかり雌馬に情が移ってしまったホワイトキングは責任を取って森でその雌馬と暮らすことにしたのだという。
つまり、もう逃避行にはホワイトキングは同行できなくなりましたよということで手紙は締めくくられていたのである。
「はあああああ!?」
楽観的といえるシュウもフローラも、流石にこの事態には唖然とせざるを得なかった。まだ逃避行を初めて間もないうちからのんきに宿屋で一泊したのも、ホワイトキングの快足に頼っていたところがあったからだ。
しかし、そのホワイトキングの足を逃亡に使うことができなくなった以上、シュウ達の間に流れていた過度なレベルの楽観的な空気は一気に消し飛ぶことになってしまった。
「ユニコーンじゃなかったんですかあの馬は!?色香に惑わされてしまうなど情けない!」
シュウは自分のことを棚に上げて怒り、手にもっていた手紙をべしっと床にたたきつける。
「あわわわわわわわわ」
余裕そうにしていたフローラも、今回ばかりは流石にこの事態に舌を巻いてテンパった。
便利な移動手段が色情に狂ってしまったがために、二人の逃避行にのっけから暗雲が立ち込めてしまったのである。
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