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私の愛は狂暴です 17
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フローラが16歳になったとき、ついに念願の聖女となった。
史上最年少での聖女認定であり、聖神教会のみならず帝都中・・・いや、世界中にそのニュースは広まった。
法王デルスゆずりの膨大な魔力に、シュウ直伝の回復術の組み合わせは誰よりも多くの人を治療して救うことが出来たが、こうした努力と成果の積み重ねが人望を勝ち得た大きな要因である。
「良し・・・!」
念願の権力を手に入れたぞ!
フローラは歓喜した。これでシュウのことを多少は強引にでも自分で囲うことが出来ると。
聖女認定の式典では、父である法王デルスと直に会う機会があったが、フローラはデルスに対して何一つ関心はなく、面会を申し出ることもなかった。
どうせ相手も自分のことは忌々しい存在程度に考えているだろうし、そもそも本来親に捧げるはずだった愛情も関心も全てはシュウに捧げてしまっていて、デルスを気にかけるだけの心のリソースなど無いのだ。
(いつかシュウ様に親のことを話すときに、同情を引くネタ程度に活用させてはもらおうかな)
自分は聖女になっても親に気にかけて貰えなかった、訳有りの可哀想な女の子・・・
これでシュウに対して同情を売り込もうなどと考えていた。
「嗚呼・・・ついにフローラが、いえ、フローラ様が聖女様になられたのか」
「彼女ならば誰もが納得であろう」
「将来一体誰がフローラ様を伴侶とするのだろう。皇族レベルの人でなければ釣りあいは取れぬだろうな」
「歴史に名を遺す聖女となろうな」
誰もが偉大なる新たな聖女の誕生を称えた。
当の聖女は邪な考えを抱いていたとは知らずに・・・。
拝命の儀式が終わると、フローラは恭しく一礼をしてその場を去っていく。
法王デルスはそんなフローラに何か物言いたげな視線を向けていたが、当の彼女はそれに気付くはずもない。
-----
聖女となったフローラは、定期的に大事な御勤めがあるものの、それまでやってきたような普通の修道女があるような仕事をやることがない。
聖女とは聖神教会の象徴であり、極端に言えばどこか偉そうにしてふんぞり返って威厳を保っているのが仕事である。だから自由時間が増えた。
しかし、フローラは決して時間を無駄にすることはなく「力を使わずして、何のための聖女でありましょうか」と言ってそれまで通り怪我人や病人の治療、被災地への支援など地道な活動を続けた。
人々はそんなフローラを見て、更に熱狂的に彼女を支持することになるのだが、これもまたシュウを囲うための地道な作戦であり、また人脈づくりの一環であった。
人々の治療や土地の浄化を通して聖魔法の鍛錬を続けたことにより、フローラは異例の速度で「認識阻害」という高度の魔法を使用できるようになった。
人々の認識を歪み、術者の思うように変化させてしまうという恐ろしい魔法だが、フローラはこれをいずれ自分にあてがわれる政略結婚相手に使うために必死になって覚えたのだ。
聖女は絶大な権力を持つが、聖神教会のために政略結婚をしなければならないという不文律の義務もある。
しかし、フローラは政略結婚相手には自分の肌を一切触らせるつもりはない。
初夜でフローラを抱いたという誤認をさせるつもりだったのだ。その上でシュウを情婦として自分の手元に置く計画だった。
実態は白い結婚でも、世間的に夫婦でさえあれば義務は果たしたと言えるだろうと。
--こうして、長いフローラの計画通りに事は進み、ありとあらゆる方向からシュウを手に入れるための力と人脈をフローラは手に入れた。
聖女として実績を積む、あるいは政略結婚を済ませて今以上に権力と人脈を築いた時か・・・シュウ達が魔王を倒して冒険を終えた時か、シュウの入手に取り掛かるのは恐らく2年後・・・フローラが18歳のときくらいだろうかと彼女は漠然と考えて動いていた。
だが、フローラが考えてもいないハプニングが起きてしまった。
シュウが『光の戦士達』だけでなく、聖神教会を追放されたことである。
史上最年少での聖女認定であり、聖神教会のみならず帝都中・・・いや、世界中にそのニュースは広まった。
法王デルスゆずりの膨大な魔力に、シュウ直伝の回復術の組み合わせは誰よりも多くの人を治療して救うことが出来たが、こうした努力と成果の積み重ねが人望を勝ち得た大きな要因である。
「良し・・・!」
念願の権力を手に入れたぞ!
フローラは歓喜した。これでシュウのことを多少は強引にでも自分で囲うことが出来ると。
聖女認定の式典では、父である法王デルスと直に会う機会があったが、フローラはデルスに対して何一つ関心はなく、面会を申し出ることもなかった。
どうせ相手も自分のことは忌々しい存在程度に考えているだろうし、そもそも本来親に捧げるはずだった愛情も関心も全てはシュウに捧げてしまっていて、デルスを気にかけるだけの心のリソースなど無いのだ。
(いつかシュウ様に親のことを話すときに、同情を引くネタ程度に活用させてはもらおうかな)
自分は聖女になっても親に気にかけて貰えなかった、訳有りの可哀想な女の子・・・
これでシュウに対して同情を売り込もうなどと考えていた。
「嗚呼・・・ついにフローラが、いえ、フローラ様が聖女様になられたのか」
「彼女ならば誰もが納得であろう」
「将来一体誰がフローラ様を伴侶とするのだろう。皇族レベルの人でなければ釣りあいは取れぬだろうな」
「歴史に名を遺す聖女となろうな」
誰もが偉大なる新たな聖女の誕生を称えた。
当の聖女は邪な考えを抱いていたとは知らずに・・・。
拝命の儀式が終わると、フローラは恭しく一礼をしてその場を去っていく。
法王デルスはそんなフローラに何か物言いたげな視線を向けていたが、当の彼女はそれに気付くはずもない。
-----
聖女となったフローラは、定期的に大事な御勤めがあるものの、それまでやってきたような普通の修道女があるような仕事をやることがない。
聖女とは聖神教会の象徴であり、極端に言えばどこか偉そうにしてふんぞり返って威厳を保っているのが仕事である。だから自由時間が増えた。
しかし、フローラは決して時間を無駄にすることはなく「力を使わずして、何のための聖女でありましょうか」と言ってそれまで通り怪我人や病人の治療、被災地への支援など地道な活動を続けた。
人々はそんなフローラを見て、更に熱狂的に彼女を支持することになるのだが、これもまたシュウを囲うための地道な作戦であり、また人脈づくりの一環であった。
人々の治療や土地の浄化を通して聖魔法の鍛錬を続けたことにより、フローラは異例の速度で「認識阻害」という高度の魔法を使用できるようになった。
人々の認識を歪み、術者の思うように変化させてしまうという恐ろしい魔法だが、フローラはこれをいずれ自分にあてがわれる政略結婚相手に使うために必死になって覚えたのだ。
聖女は絶大な権力を持つが、聖神教会のために政略結婚をしなければならないという不文律の義務もある。
しかし、フローラは政略結婚相手には自分の肌を一切触らせるつもりはない。
初夜でフローラを抱いたという誤認をさせるつもりだったのだ。その上でシュウを情婦として自分の手元に置く計画だった。
実態は白い結婚でも、世間的に夫婦でさえあれば義務は果たしたと言えるだろうと。
--こうして、長いフローラの計画通りに事は進み、ありとあらゆる方向からシュウを手に入れるための力と人脈をフローラは手に入れた。
聖女として実績を積む、あるいは政略結婚を済ませて今以上に権力と人脈を築いた時か・・・シュウ達が魔王を倒して冒険を終えた時か、シュウの入手に取り掛かるのは恐らく2年後・・・フローラが18歳のときくらいだろうかと彼女は漠然と考えて動いていた。
だが、フローラが考えてもいないハプニングが起きてしまった。
シュウが『光の戦士達』だけでなく、聖神教会を追放されたことである。
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