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私の愛は狂暴です 10
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シュウとフローラが会ってから数年が経過した。
フローラは成長して思わず振り返るほどの美少女になり、シュウに習ったお陰もあり聖魔法使いとしても抜きん出た実力を誇る・・・完全無欠とされた教会のちょっとしたアイドル的な存在となった。
「なんと美しい・・・」
「この前災害で出た怪我人の治療を誰よりも早く、かつ多くこなしたのだとか」
「この前私、外でゴロツキに絡まれているところを恥ずかしながら彼女に助けてもらいましたわ。私より年下なのに、一瞬で彼らをねじ伏せてしまって・・・」
かつてフローラを虐げていた人間はもういない。異動させられたか辞めたか、だ。
絶世の美少女にして超優秀な聖魔法の使い手・・・そして男顔負けの腕っぷしの強さで支部内どころか帝都民でもそこそこ有名になっているフローラが台頭するようになると、かつて彼女を迫害していた人間は居所を失うことになった。
教会で著しく存在感を強めたフローラだが、決して彼女自身は驕ることなく、誰にでも分け隔てなく優しく接し、人気を博していた。今では非公式で親衛隊までいる有様である。
そんな影響力あるフローラ自身が虐めの経験者というのもあって、彼女はそういった悪習を払拭するよう努めたことで、支部そのものの空気も昔と変わり風紀が大きく改善する。
「そういえば、この前本部の将来を有望視されてる神官からの婚約の申し出を断っているところを見た。あの子がモテるのは当然だが、それにしても一体誰ならば彼女の眼鏡に適うのか」
そんなフローラは、当然ながらモテた。
いずれ大司教にまで上り詰めるのではと言われている神官の求婚にも首を縦に振らず、高位貴族の令息からのアプローチも華麗に躱す。
「あら?ご存じありませんの?彼女には昔から懸想している殿方がいらっしゃるのですよ?」
「ほぉ!それは一体誰のことですか?」
「あ・・・噂をすれば・・・」
教徒達がフローラを遠巻きに見ていると、彼女は誰かを見つけて突然小走りになってその人の元に駆け付ける。
フローラが見つけた人間とは、言うに及ばずシュウのことであった。
「シュウ様!」
瞳にハートを浮かび上がらせるほどの熱量を持って、フローラはシュウの元に駆け付ける。
ピタッ
フローラは吸い寄せられるようにシュウの目の前・・・ほぼゼロ距離の位置で静止した。直接触れてこそいないが、異様に距離が近い二人は目につくので、遠巻きに視線んを集めていた。
「あの、フローラ・・・もう少し距離を取ったほうが・・・」
視線にたじたじになり、シュウがそう窘めるが
「すみません・・・次からは気をつけます」
「今改善する気はないんですかね・・・」
のれんに腕押し。
フローラはとにかくシュウにアピールを続けていた。
「えっ、もしかして、あの目が閉じているんだか開いているんだかわからない顔した普通の神官が・・・彼女が懸想している相手だと言うのかい?」
「ええ。目は細いですが、彼はフローラにとても慕われていますわ。もう何年もああですの」
月とスッポン・・・とまでは言わないが、シュウとフローラの組み合わせは年齢差以上に異質だった。
シュウは回復魔法に長けているが、持っている絶対的な魔力量が少ないためにあまり聖魔法使いとしては注視されておらず、はっきり言えば周囲の評価としては凡人だった。
人脈も格闘術も非凡なるものがあるのだが、それはフローラ以外の教会の人間の知らぬところだからだ。
「はぁ・・・いやいや、まぁ世の中いろいろな愛のカタチがありますな・・・」
フローラがシュウを見る目、話す声質には溢れんばかりの愛が満ちている。見る人にはフローラの体から無数にハートの形をしたオーラが湧き出ているように見えるとも言われていた。
そんなフローラのことを、周囲の教徒達はほっこりしながら見守っていたのであった。
しかし、そんな日も長くは続かなかった。
フローラは成長して思わず振り返るほどの美少女になり、シュウに習ったお陰もあり聖魔法使いとしても抜きん出た実力を誇る・・・完全無欠とされた教会のちょっとしたアイドル的な存在となった。
「なんと美しい・・・」
「この前災害で出た怪我人の治療を誰よりも早く、かつ多くこなしたのだとか」
「この前私、外でゴロツキに絡まれているところを恥ずかしながら彼女に助けてもらいましたわ。私より年下なのに、一瞬で彼らをねじ伏せてしまって・・・」
かつてフローラを虐げていた人間はもういない。異動させられたか辞めたか、だ。
絶世の美少女にして超優秀な聖魔法の使い手・・・そして男顔負けの腕っぷしの強さで支部内どころか帝都民でもそこそこ有名になっているフローラが台頭するようになると、かつて彼女を迫害していた人間は居所を失うことになった。
教会で著しく存在感を強めたフローラだが、決して彼女自身は驕ることなく、誰にでも分け隔てなく優しく接し、人気を博していた。今では非公式で親衛隊までいる有様である。
そんな影響力あるフローラ自身が虐めの経験者というのもあって、彼女はそういった悪習を払拭するよう努めたことで、支部そのものの空気も昔と変わり風紀が大きく改善する。
「そういえば、この前本部の将来を有望視されてる神官からの婚約の申し出を断っているところを見た。あの子がモテるのは当然だが、それにしても一体誰ならば彼女の眼鏡に適うのか」
そんなフローラは、当然ながらモテた。
いずれ大司教にまで上り詰めるのではと言われている神官の求婚にも首を縦に振らず、高位貴族の令息からのアプローチも華麗に躱す。
「あら?ご存じありませんの?彼女には昔から懸想している殿方がいらっしゃるのですよ?」
「ほぉ!それは一体誰のことですか?」
「あ・・・噂をすれば・・・」
教徒達がフローラを遠巻きに見ていると、彼女は誰かを見つけて突然小走りになってその人の元に駆け付ける。
フローラが見つけた人間とは、言うに及ばずシュウのことであった。
「シュウ様!」
瞳にハートを浮かび上がらせるほどの熱量を持って、フローラはシュウの元に駆け付ける。
ピタッ
フローラは吸い寄せられるようにシュウの目の前・・・ほぼゼロ距離の位置で静止した。直接触れてこそいないが、異様に距離が近い二人は目につくので、遠巻きに視線んを集めていた。
「あの、フローラ・・・もう少し距離を取ったほうが・・・」
視線にたじたじになり、シュウがそう窘めるが
「すみません・・・次からは気をつけます」
「今改善する気はないんですかね・・・」
のれんに腕押し。
フローラはとにかくシュウにアピールを続けていた。
「えっ、もしかして、あの目が閉じているんだか開いているんだかわからない顔した普通の神官が・・・彼女が懸想している相手だと言うのかい?」
「ええ。目は細いですが、彼はフローラにとても慕われていますわ。もう何年もああですの」
月とスッポン・・・とまでは言わないが、シュウとフローラの組み合わせは年齢差以上に異質だった。
シュウは回復魔法に長けているが、持っている絶対的な魔力量が少ないためにあまり聖魔法使いとしては注視されておらず、はっきり言えば周囲の評価としては凡人だった。
人脈も格闘術も非凡なるものがあるのだが、それはフローラ以外の教会の人間の知らぬところだからだ。
「はぁ・・・いやいや、まぁ世の中いろいろな愛のカタチがありますな・・・」
フローラがシュウを見る目、話す声質には溢れんばかりの愛が満ちている。見る人にはフローラの体から無数にハートの形をしたオーラが湧き出ているように見えるとも言われていた。
そんなフローラのことを、周囲の教徒達はほっこりしながら見守っていたのであった。
しかし、そんな日も長くは続かなかった。
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