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私の愛は狂暴です 2
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フローラは自身がシュウに話したように、聖神教会の現法王であるデルス・マクスエルの隠し子だ。
本来ならば法王の正式な子として認知されることも出来たのだが、後継者争いに巻き込まれることを嫌った母の方針により、フローラは隠し子として日陰の道を歩いていくことが決定された。
聖神教会の法王の座は実質マクスエル家の世襲となるがほとんどだ。
なのでマクスエルから複数の子が生まれた場合、それこそ見るに堪えないほどのおどろおどろしい後継者争いが繰り広げられることになる。
そのことを思えば、フローラの敷かれた道は必ずとも不幸であったと決めつけられるものではなかった。
だが、決して幸福であったとは言えない。
フローラは幼少期から母より疎まれ、ろくに愛情を知らず育った。一時の感情とはいえデルスと愛し合ったというのに、母は日陰者として生きることに疲れ、デルスの妻達からのけん制も兼ねた嫌がらせに心をすり減らし、デルスもその妻も、そしてフローラすらも恨むようになる。
だが、ある日フローラに聖魔法の素質があることが発覚した。デルスの子であることを改めて認識させられたこの皮肉に、フローラの母はもう限界とばかりに娘を自分から遠ざけることを決心する。
聖魔法の素質ある者は教会に属するか、冒険者になるのが帝国では一般的だった。
現法王の子であることを隠し通すなら、あくまで聖神教会とは距離を置くのが普通だろうが、あえてフローラは聖神教会に預けられることになった。
それはデルスとその妻達に対する意趣返しのようなものである。
それによってフローラが今後教会でどのようなことになるのか、そんなことまで母は考えることをせず、清々したとばかりに彼女は教会に送り出された。
だが、フローラは全く悲観しなかった。
家にいたところで母からは疎まれるだけ。どこで暮らそうが実態は同じなのだと。
幼少期から愛情を知らず育ったフローラは、早い時期から自身が自立できる年齢になれば家を出て行こうと考えていた。
母がフローラに愛情を持たなかったように、フローラもまた母に愛情を抱かなくなったからだ。
出て行くのが少しばかり早まっただけだ・・・フローラは教会へ行くことも、その程度にしか考えていなかったのである。
清々したというのは、母だけでなくフローラからしても同じだった。
しかし、フローラが教会に入ってすぐに彼女に関する悪い噂が流れるようになった。
「平民の中でも貧民街の子なんですって」
「あらあら、確かに聖神教会はいかなる身分の者も受け入れますが、そういった者はこの栄えある帝都ではなく、どこか地方に回してしまえば良いのでは?」
「・・・上の方々にはいろいろな好色家がいると聞きます。あの子も器量は良いみたいですから、ここに置くのは良からぬ下心があってのことではないでしょうか?」
「あら、実際ここの配属されるまでにあの子が既にそういった『接待』をしたという噂もありますのよ」
「あらあら、まだ子供なのに随分と恐ろしいこと」
フローラの出自だけでなく、全く関係のないことまで噂は流れていた。
デルスの支援もあるだけにフローラの過ごした家は決して貧困層ではなかったし、フローラ自身が実際に配属されるまで上の誰かに会うなどということも無かったが、それでも聖神教会に入ってすぐにフローラに対してこのような噂が流れた。
フローラが身を寄せることになった教会は、帝都の中でも下層の教徒達の風紀の良くないところであったが、それでも本来そこまで根も葉もない噂が湧くようなことはない。
フローラに纏わる悪い噂の全ては、彼女の入会を知ったデルスの妻達が攻撃として意図的に広めたデマだった。
それからはフローラは妻達の手勢と、そして噂に乗った陰湿な先輩らの攻撃を受け続けることになるのであった。
フローラにとって地獄の始まりである。
本来ならば法王の正式な子として認知されることも出来たのだが、後継者争いに巻き込まれることを嫌った母の方針により、フローラは隠し子として日陰の道を歩いていくことが決定された。
聖神教会の法王の座は実質マクスエル家の世襲となるがほとんどだ。
なのでマクスエルから複数の子が生まれた場合、それこそ見るに堪えないほどのおどろおどろしい後継者争いが繰り広げられることになる。
そのことを思えば、フローラの敷かれた道は必ずとも不幸であったと決めつけられるものではなかった。
だが、決して幸福であったとは言えない。
フローラは幼少期から母より疎まれ、ろくに愛情を知らず育った。一時の感情とはいえデルスと愛し合ったというのに、母は日陰者として生きることに疲れ、デルスの妻達からのけん制も兼ねた嫌がらせに心をすり減らし、デルスもその妻も、そしてフローラすらも恨むようになる。
だが、ある日フローラに聖魔法の素質があることが発覚した。デルスの子であることを改めて認識させられたこの皮肉に、フローラの母はもう限界とばかりに娘を自分から遠ざけることを決心する。
聖魔法の素質ある者は教会に属するか、冒険者になるのが帝国では一般的だった。
現法王の子であることを隠し通すなら、あくまで聖神教会とは距離を置くのが普通だろうが、あえてフローラは聖神教会に預けられることになった。
それはデルスとその妻達に対する意趣返しのようなものである。
それによってフローラが今後教会でどのようなことになるのか、そんなことまで母は考えることをせず、清々したとばかりに彼女は教会に送り出された。
だが、フローラは全く悲観しなかった。
家にいたところで母からは疎まれるだけ。どこで暮らそうが実態は同じなのだと。
幼少期から愛情を知らず育ったフローラは、早い時期から自身が自立できる年齢になれば家を出て行こうと考えていた。
母がフローラに愛情を持たなかったように、フローラもまた母に愛情を抱かなくなったからだ。
出て行くのが少しばかり早まっただけだ・・・フローラは教会へ行くことも、その程度にしか考えていなかったのである。
清々したというのは、母だけでなくフローラからしても同じだった。
しかし、フローラが教会に入ってすぐに彼女に関する悪い噂が流れるようになった。
「平民の中でも貧民街の子なんですって」
「あらあら、確かに聖神教会はいかなる身分の者も受け入れますが、そういった者はこの栄えある帝都ではなく、どこか地方に回してしまえば良いのでは?」
「・・・上の方々にはいろいろな好色家がいると聞きます。あの子も器量は良いみたいですから、ここに置くのは良からぬ下心があってのことではないでしょうか?」
「あら、実際ここの配属されるまでにあの子が既にそういった『接待』をしたという噂もありますのよ」
「あらあら、まだ子供なのに随分と恐ろしいこと」
フローラの出自だけでなく、全く関係のないことまで噂は流れていた。
デルスの支援もあるだけにフローラの過ごした家は決して貧困層ではなかったし、フローラ自身が実際に配属されるまで上の誰かに会うなどということも無かったが、それでも聖神教会に入ってすぐにフローラに対してこのような噂が流れた。
フローラが身を寄せることになった教会は、帝都の中でも下層の教徒達の風紀の良くないところであったが、それでも本来そこまで根も葉もない噂が湧くようなことはない。
フローラに纏わる悪い噂の全ては、彼女の入会を知ったデルスの妻達が攻撃として意図的に広めたデマだった。
それからはフローラは妻達の手勢と、そして噂に乗った陰湿な先輩らの攻撃を受け続けることになるのであった。
フローラにとって地獄の始まりである。
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