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大苦悩司教
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「なに!?私がシュウに懸想し、彼をモノにしたいために聖女との仲を引き裂こうとしただと!!?どうしてそんな話になっているんだ!!?意味がわからないぞ!!」
レウスは気を落ち着けてから、再度神官に状況について報告を受けた。
ただし当然であるが落ち着いてから聞いても、再び激昂するような内容の報告でしかなかった。
「何やら聖女様がそのように仰ったようでして、それを聞いた市井の者が広めているといった状況でございます。既に帝都中に知れ渡っている可能性も否定できません」
「んな・・・」
馬鹿な・・・と、レウスは膝から崩れ落ちそうになって、どうにか踏みとどまる。
「ちっ、根も葉もない噂だ!だが一先ずは放っておく!先にやるのは聖女とシュウを捕らえることだ!とんだ醜聞だぞこれは!!どれだけの犠牲を払っても捕まえるのだ!!」
そう叫び気を取り直そうとするレウスの元だが、現状捕縛に苦戦している状況だけに沈痛な空気が漂う。
そしてそんなところに更にバッドニュースが飛び込んでくる。
「失礼します!第4支部のエルエム司教より言伝です。現在聖女様と逃走をしている元神官シュウを、一体どんな権限があって破紋にしたのかについてお尋ねしたいそうです!」
「げっ・・・!」
レウスは新たなやってきた神官の報告を聞いて、サッと顔を青ざめる。
『光の戦士達』を追放されたシュウの不甲斐なさに腹を立て、怒りのままに彼の聖紋を独断によって消し去ってしまったが、これは問題行為であった。
司教であっても、例え相手がいち神官であっても、私情でもって破紋することは厳密には越権行為になる。とはいえ通常ならばそこまで大きく問題視されることはないことだ。
だが、今回はその相手が聖女と逃避行をしているシュウなのだ。注目度が高い彼に対し、適正な処置をしなかったことによって今のシュウ達の行動があると思われてしまうと、この騒動の原因となったことの責任をレウスは追及される可能性が大いにあった。
「まずい・・・まずいぞ・・・」
自業自得とはいえ、レウスは一気に襲い掛かってきた不幸に胃が痛くなった。
どうにかしたいところだが、打てる手がまるで思いつかない。
教会の内からも外からも攻撃される要素を持っている今のレウスは、完全に孤立状態に陥っており、正常な思考が出来なくなっていた。
「こうなれば・・・どうせ破滅しかないのなら・・・ならば・・・」
俯き、ぶつぶつと呟くレウスを、神官達は怪訝な目で見つめる。
そこに更に新しい神官がやってきた。
「司教様、報告します!」
勢いよく執務室に入ってきた神官は、俯いてブツブツ言っているレウスと、おろおろする複数の神官達を見て戸惑い、一瞬口を噤んだ。
「なんだ?言え」
入って来た神官の方を一瞥すらせずに、レウスは先を促す。レウスはもう何を聞かされても驚かないという諦めの境地に達していた。
「は、はい・・・それが、このたびの騒動に対し、急遽『白金《しろがね》の騎士団』が動き出したとの報告が!」
神官が報告を終えると、レウスはピクッと体を奮わせた。
「し、白金の騎士団・・・?まさか・・・」
「何かの間違いでは・・・」
報告を聞いていた他の神官達が騒めく。
やや間を置いて、レウスは唐突に叫び出した。
「そうか!!白金の騎士団が動きだしたか!!何故かは知らんが、これでシュウ達を捕まえることができるのなら、一先ずはそれで良いわ!」
「フゥーッハハハ」と狂ったように笑いだしたレウスを見て、神官達は眉を顰める。
だが、「白金の騎士団が出るのなら、確かに事態は沈静化するな・・・」と納得もしていた。
白金の騎士団とは、レウスを始め神官達からしても、絶対にシュウ達を取り押さえることが出来るだろうと期待されている集団である。
重苦しかった執務室の空気が一気に変わった。
レウスは気を落ち着けてから、再度神官に状況について報告を受けた。
ただし当然であるが落ち着いてから聞いても、再び激昂するような内容の報告でしかなかった。
「何やら聖女様がそのように仰ったようでして、それを聞いた市井の者が広めているといった状況でございます。既に帝都中に知れ渡っている可能性も否定できません」
「んな・・・」
馬鹿な・・・と、レウスは膝から崩れ落ちそうになって、どうにか踏みとどまる。
「ちっ、根も葉もない噂だ!だが一先ずは放っておく!先にやるのは聖女とシュウを捕らえることだ!とんだ醜聞だぞこれは!!どれだけの犠牲を払っても捕まえるのだ!!」
そう叫び気を取り直そうとするレウスの元だが、現状捕縛に苦戦している状況だけに沈痛な空気が漂う。
そしてそんなところに更にバッドニュースが飛び込んでくる。
「失礼します!第4支部のエルエム司教より言伝です。現在聖女様と逃走をしている元神官シュウを、一体どんな権限があって破紋にしたのかについてお尋ねしたいそうです!」
「げっ・・・!」
レウスは新たなやってきた神官の報告を聞いて、サッと顔を青ざめる。
『光の戦士達』を追放されたシュウの不甲斐なさに腹を立て、怒りのままに彼の聖紋を独断によって消し去ってしまったが、これは問題行為であった。
司教であっても、例え相手がいち神官であっても、私情でもって破紋することは厳密には越権行為になる。とはいえ通常ならばそこまで大きく問題視されることはないことだ。
だが、今回はその相手が聖女と逃避行をしているシュウなのだ。注目度が高い彼に対し、適正な処置をしなかったことによって今のシュウ達の行動があると思われてしまうと、この騒動の原因となったことの責任をレウスは追及される可能性が大いにあった。
「まずい・・・まずいぞ・・・」
自業自得とはいえ、レウスは一気に襲い掛かってきた不幸に胃が痛くなった。
どうにかしたいところだが、打てる手がまるで思いつかない。
教会の内からも外からも攻撃される要素を持っている今のレウスは、完全に孤立状態に陥っており、正常な思考が出来なくなっていた。
「こうなれば・・・どうせ破滅しかないのなら・・・ならば・・・」
俯き、ぶつぶつと呟くレウスを、神官達は怪訝な目で見つめる。
そこに更に新しい神官がやってきた。
「司教様、報告します!」
勢いよく執務室に入ってきた神官は、俯いてブツブツ言っているレウスと、おろおろする複数の神官達を見て戸惑い、一瞬口を噤んだ。
「なんだ?言え」
入って来た神官の方を一瞥すらせずに、レウスは先を促す。レウスはもう何を聞かされても驚かないという諦めの境地に達していた。
「は、はい・・・それが、このたびの騒動に対し、急遽『白金《しろがね》の騎士団』が動き出したとの報告が!」
神官が報告を終えると、レウスはピクッと体を奮わせた。
「し、白金の騎士団・・・?まさか・・・」
「何かの間違いでは・・・」
報告を聞いていた他の神官達が騒めく。
やや間を置いて、レウスは唐突に叫び出した。
「そうか!!白金の騎士団が動きだしたか!!何故かは知らんが、これでシュウ達を捕まえることができるのなら、一先ずはそれで良いわ!」
「フゥーッハハハ」と狂ったように笑いだしたレウスを見て、神官達は眉を顰める。
だが、「白金の騎士団が出るのなら、確かに事態は沈静化するな・・・」と納得もしていた。
白金の騎士団とは、レウスを始め神官達からしても、絶対にシュウ達を取り押さえることが出来るだろうと期待されている集団である。
重苦しかった執務室の空気が一気に変わった。
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