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勇者ゼルスの性格
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「取りつく島もありませんでしたね・・・」
勇者ゼルスの屋敷を出た後、レイがぽつりとそう言った。
誘拐犯であるゼルスと直接対峙したものの、勇者としての特権を振りかざして抵抗し、全く付け入る隙をこの日を見せなかったことにレイは落胆する。
「まぁ円満に話し合いが済むとは思ってはいなかった。予想の範囲内だよ」
シンは淡々とそう返す。
強硬な態度の勇者ゼルスは、自身の身分剥奪のリスクを負ってでも抵抗を続けるだろう・・・明らかに面倒な案件であるのに、それでもへこたれているように見えないシンの姿にレイは感心した。
「これからどうすれば良いんでしょうか?やはり地道に証拠を集めていく・・・でしょうか」
「やり方はいくらでもあるが、あまり時間はかけられない。それに・・・どうやらそこまで悠長にやる時間もないくらいに向こうも仕掛けてきそうだしねぇ」
「仕掛けてくる?」
「向こうも状況が状況だけに余裕がないというのもあるだろうが、元々勇者ゼルスは挑発に弱そうなタイプだと見た。冷静なタイプに見えて、その実恐らくどちらかというと衝動的に動くタイプだ。そう思い、ちょっと発破をかけてみた」
「あぁ・・・」
言われてレイは確かにシンがゼルスに対して挑発的だったということを思い出した。
冷静にみれば、ゼルスも明らかに心をかき乱されていたと思う。
「事態はこれから動くと?」
「あぁ、多分ね」
「そうなんですか。てっきり全く切り口がなくて長丁場にでもなると思ったんですが・・・」
「・・・いや、そもそも今回の案件はどちらにしても時間の問題なんだよ。ただ、決着は早めにしないとゼルスのようなタイプはどんな行動に出るかわからないからね」
「時間の問題・・・?そうなんですか?」
レイの問いかけに、シンは答えることなく、ふとその場で立ち止まった。
「・・・どうしました?」
レイが訝しんでシンを見やると、シンは顰めた表情で立ったままだった。
「レイ、決して俺から離れないように」
「えっ・・・」
緊迫した雰囲気でそう話すシンにレイが唖然としていると、二人の前方から何者かが歩いてやってくるのが見えた。それはマントに身を包んだ、20代ほどの長髪の美しい女であった。
「なるほど。挑発の効果が想像以上に出ているようだ」
シンがそう言って護身用の短刀を抜いたのを見て、レイが息を飲んだ。
それと同時に女もマントを脱ぎ捨てる。その手には長剣が握られていた。
「お命頂戴いたします」
女はそれだけ告げ、シン達に向かって飛び込んできた。
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シンは淡々とそう返す。
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「これからどうすれば良いんでしょうか?やはり地道に証拠を集めていく・・・でしょうか」
「やり方はいくらでもあるが、あまり時間はかけられない。それに・・・どうやらそこまで悠長にやる時間もないくらいに向こうも仕掛けてきそうだしねぇ」
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「あぁ・・・」
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冷静にみれば、ゼルスも明らかに心をかき乱されていたと思う。
「事態はこれから動くと?」
「あぁ、多分ね」
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「・・・いや、そもそも今回の案件はどちらにしても時間の問題なんだよ。ただ、決着は早めにしないとゼルスのようなタイプはどんな行動に出るかわからないからね」
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「えっ・・・」
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それと同時に女もマントを脱ぎ捨てる。その手には長剣が握られていた。
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