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勇者エクスの経歴
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勇者エクスは不遇の少年だった。
勇者の家系に生まれ、父ロウトは勇敢で剛腕の剣士であり、母マーヤは高位の回復術師であったものの、両親から満足に教育を受けるわけではなく、むしろ育児放棄されていた。
そして両親は勇者の家系に王室より有事の際に活躍してもらうために準備金として支給される『勇者特別給付金』を食いつぶすだけの生活をしており、ろくに鍛錬すらしなかったのだ。
しかしそんなある日、辺境に現れた魔王と名乗る魔族が現れ、ラダーム国の侵略を開始する。
ここぞとばかりに王室は勇者であるロウト達を召喚するも、ロウト達は息子であるエクスを置いて恐れをなして逃亡したのだ。
怒りに震えた王はただちに追っ手をかけるが、怠惰によりすっかり弱くなっていた両親は、見つかったときには二人とも既に魔族に殺されており、ラダーム国は希望をいきなり失うことになった。
勇者の家系として残されたエクスに勅命を下したのは、半ば王の八つ当たりである。
両親の不義は息子が清算せよということであった。
なのでこれまでロウト達に散々金を出したこともあって、餞別もろくに出すことはなく、死んでしまうならそれはそれでという気持ちでエクスは送り出された。
しかし、エクスの勇者としての才能は、両親のそれよりも高いものであった。
貧相な装備であっても実戦を重ねることで戦闘スキルをめきめき上達させ、金が溜まった頃にまともな武器を振るえるようになってからは王国でも負けなしとされるほどの剣士に育っていたのだ。
王の予想に反し、エクスは魔王軍に一人で立ち向かうだけの勇気と戦闘力を身に着け、血統だけではない本物の勇者となる。
そして、ついには本当に勅命の通りに魔王を倒してしまうのであった。
王は考えた。
この逆境をはねのけるだけの精神力と実力を持つ者が国を治めれば、この国は安泰だと。
エクスに王位を譲位しようと考えるが、それは最初に彼を死んでもかまわない捨て駒として扱ったことへの贖罪の意図もあった。
しかし、エクス本人はそれを望まないという。
無欲というより、本当にこの国の統治に興味がないようであった。
落胆を感じた王ではあるが、それでも勇者であり事を成した者がそう願っているのであれば、それもまた仕方なし。これ以上は望むまいと考えていた。
しかし、エクスの消失からひと月後、一つの隠されていた出来事が発覚する。
それによってエクスはラダーム王室より追われることとなったのである。
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