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キラの絶望
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「勇者たるもの、仲間を信頼し、助け合い、強い絆を築いて大敵に臨まねばならない。私情で切り捨てるなど言語道断です。マリアさんの追放の一件が貴方から勇者の称号を剥奪する致命傷となりました」
淡々とそう言うシンの前で、キラは茫然としながら「嘘だ・・・」「知らなかったんだ・・・」などと呟いた。
「まぁ、これに関しては冒険の書に記すまでもなく、常識の話なのですけどね」
続けてそう言うシンの言葉に、キラは口を閉ざした。
確かに、女絡みで信頼していたパーティーメンバーの入れ替えを行うなど、勇者どころか普通の冒険者としてもモラルの無い話だ。
「あとこれはオマケですが、バットンがパーティーから抜けたのも大失点ですね。信頼の厚いパーティーメンバーが不義理に抗議しての脱退というのは、勇者として資質が欠落していると言わざるを得ません」
「そんな・・・あれはあいつが勝手に・・・」
「彼の脱退さえなければ、まずは査問会を開いて審議してからの剥奪となりまして、このように問答無用でという形にはならなかったんですがね。あなたには勇者としての資質が著しく欠落していると判断され、このような厳しい形での処分となりました」
何もかもが足元から崩れていく・・・
そんな絶望感をキラが襲った。
これまで昇り詰める感覚しか味わったことのないキラにしてみれば、初めて味わう本物の絶望であった。
「さて、こちらからは以上になります。何かご質問はありますか?」
シンもレイも無表情でキラを見つめているのみ。
キラは縋るような目でシンに問う。
「剥奪の撤回は?」
「ありません。現時点で既にキラ様は一般人となっております」
「・・・復活の機会は?」
「復活というより、勇者認定試験の受け直しといったところですね。それは可能です。5年の欠格期間を終えてからということになりますが」
縋ったキラが望む助け船は出されなかった。
「何もないようでしたら、これにて失礼させていただきます。お邪魔いたしました」
シンとレイは一礼すると、颯爽と部屋から去っていった。
彼らがいなくなると、キラは腰が抜けたようにペタリとベッドに座り込んだ。本来なら今頃最高の気持ちで最愛の女と最高の思い出を作るために愛し合うはずだったベッド。今ではキラがただ一人腰を掛けているだけだ。
「はぁ・・・大変なことになったな、明日からどうしようか・・・。あぁ、でもまずはリリアナを抱いてからその後で二人で一緒に考えようか・・・一人で考えるよりそっちのがいいもんな・・・そろそろリリアナは帰ってくるかな?」
まだ現実を受け止めきれていないキラは、一人ベッドに腰掛けながら戻るはずもないリリアナを待ち続けた。
淡々とそう言うシンの前で、キラは茫然としながら「嘘だ・・・」「知らなかったんだ・・・」などと呟いた。
「まぁ、これに関しては冒険の書に記すまでもなく、常識の話なのですけどね」
続けてそう言うシンの言葉に、キラは口を閉ざした。
確かに、女絡みで信頼していたパーティーメンバーの入れ替えを行うなど、勇者どころか普通の冒険者としてもモラルの無い話だ。
「あとこれはオマケですが、バットンがパーティーから抜けたのも大失点ですね。信頼の厚いパーティーメンバーが不義理に抗議しての脱退というのは、勇者として資質が欠落していると言わざるを得ません」
「そんな・・・あれはあいつが勝手に・・・」
「彼の脱退さえなければ、まずは査問会を開いて審議してからの剥奪となりまして、このように問答無用でという形にはならなかったんですがね。あなたには勇者としての資質が著しく欠落していると判断され、このような厳しい形での処分となりました」
何もかもが足元から崩れていく・・・
そんな絶望感をキラが襲った。
これまで昇り詰める感覚しか味わったことのないキラにしてみれば、初めて味わう本物の絶望であった。
「さて、こちらからは以上になります。何かご質問はありますか?」
シンもレイも無表情でキラを見つめているのみ。
キラは縋るような目でシンに問う。
「剥奪の撤回は?」
「ありません。現時点で既にキラ様は一般人となっております」
「・・・復活の機会は?」
「復活というより、勇者認定試験の受け直しといったところですね。それは可能です。5年の欠格期間を終えてからということになりますが」
縋ったキラが望む助け船は出されなかった。
「何もないようでしたら、これにて失礼させていただきます。お邪魔いたしました」
シンとレイは一礼すると、颯爽と部屋から去っていった。
彼らがいなくなると、キラは腰が抜けたようにペタリとベッドに座り込んだ。本来なら今頃最高の気持ちで最愛の女と最高の思い出を作るために愛し合うはずだったベッド。今ではキラがただ一人腰を掛けているだけだ。
「はぁ・・・大変なことになったな、明日からどうしようか・・・。あぁ、でもまずはリリアナを抱いてからその後で二人で一緒に考えようか・・・一人で考えるよりそっちのがいいもんな・・・そろそろリリアナは帰ってくるかな?」
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