『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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賢者リノア

違和感に気付く

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(おかしい・・・)


トマスに対する恐怖、そしてゴウキ達が捕まったことへの絶望で心を叩きつけられたリノアだったが、一方でふと湧いた違和感が、彼女を少しばかり冷静にさせた。


(トマスの仕掛けた罠、この屋敷、かなりのお金が必要なはず・・・!一体どこからそのお金を・・・)


トマスは魔道具の開発者としては極めて優秀だ。将来はその才能を発揮して、そこそこの財を成す可能性だって十分にある。

だが、今はまだそこまでの財を成してはいないはず。
そうであるなら、リノアを迎えに来たときにここぞとばかりにそのことを話すだろう。

屋敷の購入もそうだが、スミレを油断させるためにあえて解除させたプロが仕掛けた罠にもかなりの金がかかっているはずだった。罠のプロはギルドで雇うと高いのだ。

そしてトマスの魔道具だって、いくら設計は出来ていても実際に物を作るには素材から何まで金がかかる。
これはかつて将来トマスの手伝いが出来ればと思って、魔道具のことをいくらか学んでいたリノアだからわかることだった。
ゴウキ達の転送に用いられた魔道具は、設計はわからなくても、実用するにはかなり高価な材を必要とするはずだとリノアは思った。

その金はどこから・・・?

いくらトマスがリノアを強引に連れ去りたかったと言っても、ここまで大がかりにやるには相応の先立つもの・・・そしてそれなりのバックボーンが無ければ出来ない。金もそうだが、リスクも大きいからだ。

恐らく、誰か協力者がいるのだとリノアは思った。

そしてまず最初に候補に挙がるのが・・・


「もしかして、今回のことはギルドが絡んでるの?」


「なっ・・・!?」


唐突なリノアの問いに、トマスは明らかに動揺する。ビンゴだ、とリノアは確信した。


「・・・何の話だ?」


動揺したのを隠そうと、努めて平静を装ってトマスは問う。
言葉遣いも僅かに違うし、態度もわざとらしい。トボけているのは明白だった。

ある程度まとまった金を用意し、大がかりな仕掛けが出来るだけの舞台を用意することが出来、なおかつゴウキと敵対しうる存在といえば、リノアにはセントラルギルドくらいしか思い浮かばなかったが、まさか本当にトマスを手を貸しているとなると驚きで声も出なかった。

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