『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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賢者リノア

真面目故に

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所変わり、ゴウキ・ファミリーの拠点にあるゴウキの部屋でのこと。



「ゴウキ・・・俺は、とても悲しい気持ちでいっぱいだよ」


「わ・・・悪い・・・」


デニスは普段それほど表情を変化させないが、このときばかりは眉を下げて本当に心の底から悲しさが伝わってくるかのような表情で、ゴウキに詰め寄っていた。

リノアとの一件は、すぐにデニスの耳にも入ったが、デニスはゴウキとリノアが腕を組んで歩いていくのを見て、後は二人にしてやろうとその場を離れたことを後悔した。
まさか空気を読まないジャニスの横槍が入り、それにゴウキが迎合して折角出来上がった雰囲気が爆発四散することになるとは思ってもみなかったのである。
そしてゴウキがそこまで恋愛ごとにヘタレだったというのも計算外であった。


デニスは即座にゴウキの元へ押しかけ、そして今、ゴウキの部屋でデニスによるお気持ち表明をして責め立てている。
普段は口数の少ないデニスが、彼にしては饒舌にゴウキのヘタレた対応について責め立て、そのあまりの圧にゴウキもたじたじになってただただ話を聞いていた。


「リノアと心を通わせることが出来たと思ったら・・・まさかそれをキャンセルしてしまうなんて・・・こんなことが起きるとわかっているのなら、最後の最後まで二人から目を離すんじゃなかった。それなら横槍なんて煎れさせることはなかったし、入れようとしたやつがいるなら叩きのめした・・・」


「いや・・・流石にそこまでは・・・」


ジャニスの横槍は確かにギャラリーからしたら余計なことだが、それでもある意味でゴウキの心のつかえを代弁したに過ぎない。



「俺が、はっきりさせていなかった負い目があってのことだ。悪いのは俺なんだよデニス」


ゴウキがそう言うと、デニスははぁ、と小さく溜め息をつく。


「勢いで良いんだよ・・・ああいうのは。なし崩し的にうまくいくんだ。そういう流れだった」


「そう、かもしれねぇ・・・けどよ、やっぱ言われて思ったけど、それも不誠実というか・・・」


「ゴウキのそういう真面目なところ・・・好きなんだけどね・・・はぁ・・・」


仕方がないか・・・とデニスは目を細めて呟いた。

何にせよ、ゴウキとリノア・・・そしてスミレとのことはここにきて再び曖昧なことになってしまう。
しかし、このままで終わらせるわけにはいかなくった。

どうしたら良いかとゴウキは考えていたが、そんな彼の悩みを余所に、事態は急に・・・かつ大きく動くことになる。
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