『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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賢者リノア

更に煽るデニス

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デニスの言葉を聞き、ゴウキはおもむろに懐に手を伸ばし、煙草を取り出した。
そしてそれを口に咥え、火をつける。

無言で吸い続けるゴウキ。
デニスは何も言わず、ただ待っていた。

そしてたっぷり半分ほど吸ったころに、漸くゴウキが口を開く。


「いや・・・どうしたいというか・・・その・・・」


たっぷり時間をかけて出た言葉は、ゴウキにしては珍しい何とも歯切れの悪いものだった。
だが、デニスは穏やかな笑みを浮かべながら、更に紡がれるであろうゴウキの言葉を待ち続ける。


「倫理的にどうなのかなっていうのがな・・・」


スパスパとせわしなく煙草をふかし、ついに吸い終えた煙草を地面に落とし、踏みつける。


「どうしたい?話してくれよ・・・倫理的だとか、そういうのは置いといて・・・さ」


デニスはぐいぐいと聞いていく。
その先の答えは何となくわかっているが、それでもゴウキの口からはっきりと聞きだしておきたかった。
自分からあまり強く相手に質問を迫らないいつものデニスとは明らかに違う、極めて珍しい積極的な姿勢である。

そんなデニスの剣幕に、物珍しさもあってゴウキも気圧されてしまったのか、つい口が開いてしまった。


「今更調子の良い話なんだが・・・リノアを渡したくねぇなって、そう思うんだ」


顔を真っ赤にしながら、ゴウキはついにそう白状した。



「・・・そうか」


淡々とした声でそうとだけ返したデニスだったが、内心は小躍りしたいほど大はしゃぎであった。
ついにデニスが待ち望んでいた一言が聞きだせたからだ。


「ならリノアを渡さない、それでいいじゃないか」


「いや・・・話はそれほど単純じゃなくて・・・」


ゴウキは言い淀むが、デニスは彼が何を話したいのか既に理解している。



「スミレのことも、リノアと同じように大事に思ってたりしてだな・・・その最低だとは思うんだが」


「そうか、なら二人とも誰にも渡さない。自分のものにする。それでいいじゃないか」


「 え っ っ っ ! ? 」


自分の赤裸々な気持ちを吐露したゴウキは、てっきり詰られるものとして覚悟したのだが、淡々と普通にデニスにそう言われたことで驚愕のあまり素っ頓狂な声を出してしまっていた。
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